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更新日: 2020年3月3日

九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業に係る環境影響評価準備書についての環境の保全の見地からの意見について(送付)

環調第273号
令和2年3月3日

独立行政法人都市再生機構九州支社 支社長 太田 潤 様
福岡市長 高島 宗一郎 様
(住宅都市局九大まちづくり推進部九大跡地整備課)


福岡市長 高島 宗一郎 
(環境局環境監理部環境調整課)



九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業に係る環境影響評価準備書に
ついての環境の保全の見地からの意見について(送付)




 令和元年9月9日に提出された,九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業に係る環境影響評価準備書について,福岡市環境影響評価条例第19条第1項の規定に基づき,下記のとおり環境の保全の見地からの意見を述べます。




1 全体的事項

 本事業は,九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくりのため,北エリアで福岡市が実施する土地区画整理事業と南エリアで独立行政法人都市再生機構が実施する土地の造成の事業の2つの事業を合わせて約56haの基盤整備を行うものである。

 また,本事業に先行して九州大学による解体工事,土壌汚染対策工事及び埋蔵文化財調査が実施されており,南エリアにおける都市計画道路整備とあわせて「関連事業」として位置付け,本事業と重複する期間の工事内容及びスケジュールを整理して一体的な環境影響評価が行われている。

 今後,評価書の作成,環境保全措置及び事後調査の実施にあたっては,以下に示す個別的事項を勘案し取り組んでいくこと。



2 個別的事項

(1)大気質及び騒音について

 航空機や自動車交通の影響が大きいという地域特性があり,複合的な環境影響について懸念する住民意見も寄せられていることから,環境保全措置の実施については現況及び将来予測の結果を踏まえ,必要かつ適切な対応を行うこと。さらに,住居の近傍における工事については一層の配慮を行うこと。特に,環境保全措置後の予測結果が目標値と同値である粉じんについては,事業実施区域内及び周辺の状況や天候等に応じて適切な環境保全措置を実施すること。また,事後調査に係る住民意見を踏まえ,調査結果については分かりやすい公表に努めること。


(2)水質について

 降雨時に生じる濁水に対する環境保全措置については,公共用水域までの排水経路を明示し,下水道を通じて博多湾に放流する区域についても必要な容量を計算して沈砂池を設置するなど,河川に放流する区域と同様の措置を実施するよう評価書に記載すること。


(3)動物及び生態系について

 鳥類に係る注目すべき生息地として整理されている事業実施区域内の樹林環境が直接改変される計画であることから,既存樹木の残置,移植(仮植を含む)や緑量の維持をはじめとする準備書に記載されている緑化計画及び環境保全措置の重要性は非常に高い。

 これらの具体化に係る検討にあたっては専門家の意見を十分に聴いて生態系ネットワークの保全に努めること。


(4)植物について

 アオイゴケの環境保全措置の実効性を高めるため,環境影響の回避・低減を優先し,その上で代償措置を行わなければならない場合においては管理地等適切な場所での生育などの安全措置も検討すること。


(5)残土について

 残土の再利用量については,その種類ごとに旧工学部2号館の解体工事等における実績値をもとに算出し,適切な予測評価を行うこと。



3 その他

(1)事後調査及び環境保全措置について

 事業実施区域内において,本事業,関連事業と後発の建設事業や供用後の車両交通が同時並行的に生じた場合,建設機械の稼働に伴う粉じん,資材等運搬車両の走行に伴う騒音などの環境影響は一体不可分であると想定されることから,区域内で工事を実施または施設を供用する事業者(以下、「区域内工事供用事業者」という)の自主的な環境保全措置を促すため,環境影響評価の内容について各事業者と必要な情報共有に努めること。

 また,森林性旅鳥の生息状況に関する事後調査の実施にあたっては,事業実施区域全体の自然環境の状況と深く関係があると考えられることから,事業実施区域内における緑化の状況等について十分に情報収集すること。


(2)まちづくりにおける環境配慮の取組みについて

 本市においては,気象災害の激甚化や,国内外における温暖化対策の緊急性,重要性の高まりを背景に,「脱炭素社会」の実現に向けて,市民・事業者と一体となった取組み強化のため,「福岡市地球温暖化対策実行計画」の改定を行う予定である。

 事業者はこの状況に留意するとともに,環境共生の取組みが記載された「九州大学箱崎キャンパス跡地グランドデザイン」(平成30年7月,福岡市及び九州大学により策定)や本環境影響評価の理念に則り,区域内工事供用事業者と協力し環境配慮に対する取組みがなされるよう努めること。