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更新日: 2017年12月26日

福岡空港回転翼機能移設事業に係る環境影響評価準備書についての環境の保全の見地からの意見について(送付)

環調第180号
平成29年12月22日

国土交通省大阪航空局長    干山 善幸 様
国土交通省九州地方整備局長  増田 博行 様

福岡市長 高島 宗一郎 
(環境局環境監理部環境調整課)


福岡空港回転翼機能移設事業に係る環境影響評価準備書についての
環境の保全の見地からの意見について(送付)


 平成29年7月25日に提出された,福岡空港回転翼機能移設事業に係る環境影響評価準備書について,福岡市環境影響評価条例第19条第1項の規定に基づき,下記のとおり環境の保全の見地からの意見を述べます。




1 全体的事項

 対象事業実施区域周辺は,多種多様な生きものが生息・生育し,市民の憩いの場等としても利用される自然豊かな場所であり,地形は平坦で見晴らしが良く音も伝わりやすい環境にある。ヘリポートは自然災害や事故等の緊急時の対応に必要不可欠な施設であるが,本事業に対しては地域住民から住宅地上空や夜間の飛行による影響等を懸念する声も多く,地域住民の事業への理解を深めることが重要であり,わかりやすい環境影響評価図書の作成に努める必要がある。 



2 個別的事項


(1)騒音について


 本準備書において,「予測に必要な騒音レベル等を把握するため実機飛行調査を実施し,当該調査の結果を予測に反映した」とされているが,具体的な記載がなされていない。反映の過程を環境影響評価図書に示すこと。
 ヘリコプターの飛行による騒音の予測については,場周経路及びその周辺の設定飛行経路のみが対象であり,それ以外の飛行によっては環境影響が生じる可能性がある。周辺環境に配慮して行うとされている事後調査については,その可能性を考慮して行い,調査結果と併せて飛行等の状況についても情報提供すること。



(2)動物について

1)陸生動物(哺乳類)について

 福岡県レッドデータブック絶滅危惧Ⅱ類のカヤネズミの球巣が対象事業実施区域において多数確認されているが,本準備書における区域内のカヤネズミへの影響予測では,「生息環境は消失する。しかし本種の生息基盤(草地)は区域外にも広範囲に確認され維持されることから,影響は極めて小さいと考えられる。」とされている。しかしながらカヤネズミの生息圏は20m程度で,想定される草地までは距離があり,一部は海水淡水化センターで隔てられ,アクセス道路付け替え工事も同時期に実施されることから,自力で移動することは困難と考えられる。移動先の草地について,事前に生息適地であるか等の調査及び必要に応じた整備を行ったうえで,専門家の意見を聴いて可能な限り捕獲等により移動させること。また,定着状況の確認のため事後調査を実施すること。


2)陸生動物(鳥類)について

 方法書市長意見についての事業者見解において,「既存文献や類似事例と比較して鳥類への影響の予測・評価を行った」とされているが,本準備書においてはその過程が示されていない。ヘリコプターの運航による鳥類への影響について,既存の調査データも参考にし,既存文献等との比較の過程を環境影響評価図書に示すこと。
 バードストライクの予測については,鳥類は種によって飛翔の特性が異なり,また,内海と外海との間を低空で飛翔するものもいることから,特性を考慮して経路や高度を再整理するとともに,東西断面における予測・評価も行うこと。
 さらに,内海と外海との間を飛翔する種は陸地の狭い部分を飛翔すると考えられるため,より西側にも事後調査地点を設置し,予測・評価の検証を行うこと。



(3)生態系について


 対象事業実施区域東側のアクセス道路に沿う緑地帯が雁の巣側と海の中道側それぞれに広がる緑地・生態系を繋ぐコリドーとなっている可能性があるため,事業や工事によって分断することがないよう留意すること。また,その状況を事後調査により確認し,必要に応じて保全措置を検討すること。



(4)その他


 ヘリコプターの飛行経路は状況により変わるという特殊性があり,地域住民には騒音等の環境影響を懸念する声が多いため,供用後において緊急時等に対象事業実施区域周辺の住宅地上空を飛行した場合には,その目的等についてできる限り速やかに情報提供を行うとともに,騒音等の問い合わせや苦情を受け付けた場合の対応について体制を整えること。