現在位置:福岡市ホームの中のくらし・手続きの中の環境・ごみ・リサイクルの中の福岡市の環境の中の環境保全・自然環境の中の福岡市の環境影響評価の中の実施状況から(仮称)福岡都市計画道路1・4・3号都市高速道路3号線延伸事業に係る環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見について(回答)
更新日: 2016年11月17日

(仮称)福岡都市計画道路143号都市高速道路3号線延伸事業に係る環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見について(回答)


環調第154
平成2811月10日


福岡県知事 小川 洋 様
(環境部自然環境課)


福岡市長 高島 宗一郎 
(環境局環境監理部環境調整課)


(仮称)福岡都市計画道路143号都市高速道路3号線延伸事業に係る
環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見について(回答)


平成28916日付け28自第1101号で照会のありました標記の環境影響評価方法書について,下記のとおり環境の保全の見地からの意見を述べます。




1 全体的事項


 事業実施区域の周辺は,博多駅と福岡空港との間に位置し主要幹線道路が集中しており,通常から交通渋滞が発生している地域である。主に準工業地域の事業所や倉庫などの土地利用であるが,豊ジャンクション付近等は住居としても利用されている。また,空港付近には多々良川水系の河川や水路,湿地が存在する地域であり,希少生物が確認されている。本事業は地下掘削工事を伴うものであり,道路線形やトンネル坑口の位置によっては河川や湿地の改変が想定される。
 上記の地域特性及び事業特性を踏まえて,適切な予測・評価を行うことが重要であり,それに当たっては,交通渋滞や生物の生息・生育の状況について十分に調査し,その結果を踏まえた道路線形及び地下掘削工法の検討を行うこと。


2 個別的事項


(1)大気質及び騒音・振動について


 本事業における地下掘削工事は,通常から交通渋滞が発生している地域において実施されるものであることから,工法によっては,工事の際の車線規制等により交通渋滞が増し,大気質及び騒音,振動の影響が周辺環境に及ぶ可能性がある。交通渋滞の発生に十分配慮して工法を検討し,影響低減を図ること。また,交通渋滞回避のために夜間工事を実施する場合は,周辺の住環境に十分配慮すること。




(2)地下水位及び水質について


 事業実施区域周辺は地下水位が地表面から2m程度と高い地域で,地下掘削工事の実施やトンネルの存在・供用の影響を受けやすいと考えられることから,これら工事等に伴う地下水位や流況への影響について,適切に予測・評価を行うこと。
 また地下掘削の工法によっては濁水が発生し周辺環境へ流出する可能性がある。更に地盤が比較的軟らかいため,土壌凝固剤の使用も想定され,水質の変化が生じる可能性もある。これら水質に係る影響について十分に調査し,必要に応じ適切に予測・評価を行うこと。



(3)生物(魚類・植物),生態系について


 事業実施区域周辺では地域を特徴づける生態系が確認され,既存文献によると,河川では過去にニッポンバラタナゴが確認された記録がある。他にも河川や水路ではメダカが,湿地では水生植物のコガマが見つかっている。河川等における調査については,希少度が高い種が確認されていることから,必要に応じ調査範囲を広げること。湿地については過去の調査頻度が少ない中でも希少生物が確認されていることから,十分に調査を行うこと。
 本事業では河川や湿地の改変が想定されることから,希少生物の生息・生育環境や生態系に影響が及ぶ可能性がある。また,周辺の地下水が河川,湿地等の水源になっている可能性があることから,地下掘削工事に伴う地下水位の変化により影響が及ぶ可能性もある。これら影響について,調査結果や市が所有する環境配慮指針などの最新の情報を踏まえ適切に予測し,環境保全措置の検討を行うこと。
 今後の調査においてニッポンバラタナゴの生息が確認された場合には,その繁殖環境について十分に配慮を行い,環境保全措置の検討を行うこと。



(4)温室効果ガスについて


 温室効果ガスについては環境影響評価の項目として選定されていないが,工事の実施に伴う温室効果ガスの発生が考えられる。温室効果ガスの発生を考慮し削減に努めること。また,地下掘削の工法によっては,工事の際に交通渋滞が発生し,更なる温室効果ガスの発生が想定されるため,交通渋滞の発生に十分に配慮して,工法について検討し,削減に努めること。