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更新日: 2011年10月21日

平成23年度第1回福岡市環境影響評価審査会 
議事の要旨 平成23年9月27日



議事の要旨について
日時 平成23年9月27日午後3時~午後4時30分(1時間30分)
開催場所 福岡ビル9階 第1ホール
議題 (1)福岡都市高速鉄道3号線(天神南~博多間)環境影響評価方法書について
(2)その他
出席者 浅野委員,楠田委員,小島委員,近藤委員,島田委員,薛委員,田中委員,田村委員,
萩島委員,久留委員,平田委員,藤本委員,柳委員(50音順)
会議資料 資料1    福岡都市高速鉄道3号線(天神南~博多間)環境影響評価方法書についての意見概要
資料2    福岡都市高速鉄道3号線(天神南~博多間)環境影響評価方法書正誤表
参考資料1 福岡市環境影響評価審査会規則
参考資料2 福岡市環境影響評価審査会委員名簿
参考資料3 現地視察資料
参考資料4 博多駅部 開削区間の横穴掘削について
参考資料5 福岡都市高速鉄道3号線(天神南~博多間)地質縦断図


【議事概要】


議題1 福岡都市高速鉄道3号線(天神南~博多間)環境影響評価方法書について


環境影響評価方法書の説明
発言者 発言内容
会長本年度の第一回の審査会です。本日は七隈線延伸についてのアセスの方法書の審査です。たびたび申し上げているとおりですが,方法書ですから準備書そのものでありませんので,これからどのようにアセスを行うのかということについて,何を,どの項目を,どのようにアセスをするのか明らかにするのが方法書です。その前提としてどういう事業計画であるのかということが現段階で分かる限り書かれていて,こういう事業計画であるので,このような環境影響についての調査,予測,評価を行いたいということが示されておりますので,これでよろしいかどうか市長が意見を述べるために,この審査会で専門的な見地から意見を述べることになっておりますので,この点についてぜひご理解をいただきたい。今日言わないでおいて準備書の段階で言うことはルール違反ですから,これはぜひ調べておいてほしいということがあれば今日言っておかないといけません。その点もご留意いただきたいと思います。
局長からお話がありましたとおり,アセス法の改正が行われました。来年の4月までに第一段階の改正が施行され,再来年の4月までに第二段階の改正が施行されるということになりますので,今度の改正で新たに加わった計画段階での環境の配慮あるいは事後調査については2年後から効力を生じることになりますが,可能な限り改正の精神を盛り込んでいただくということは必要だろうと思いますので,その辺が必要であるならば意見としてお出しいただければと思います。
それでは早速ですが,方法書の概要,縦覧の状況について説明をいただきたいと思います。
事務局方法書の概要,縦覧の状況について説明
事前に送付された欠席委員の意見を読み上げ(意見のみを原文掲載)
地下鉄七隈線延伸アセス方法書について,1つだけ以下の内容が気になりますので,ご配慮をお願いいたします。
福岡市は,これまで長い間地下鉄の工事を進めてきました。これらの工事期間中あるいは工事後に,恐らく市民を中心にさまざまな苦情や意見が寄せられ,何らかの対応をしてきたと考えられます。これらの過去の苦情や意見の中から,環境に関するものをとりまとめ,それらへの対応を検討することが,環境への影響を評価する1つの有効な方法だと考えます。
会長それでは,ただいま方法書の概要について及び市民意見,委員意見について説明をしていただきました。早速これより方法書の審査を行いたいと思いますが,方法書の後半部分には今後調査,予測,評価をどうするかという部分,ページで見てみますと,139ページ以降が該当部分でありますが,議論が錯綜するといけませんので,まず方法書の前段部分,138ページまでの記載で何かお気づきの点あるいは質問したいという点がありましたら,お出しいただければと思います。
委員市民の方から意見がありましたが,地下水について方法書46ページに記載があります。今回の地下鉄工事は地下水調査をされているのでしょうか。それと市民の方に対する回答は,どのようにお考えなのかお教えください。
会長調べているかということに関していえば,これは既存のデータだけを記載するわけですから,既存のデータがあったかどうかということ以外は確認しようがありません。方法書のために調べるということはありませんので,それは答えにくいと思われます。要するに,これはデータの取りこぼしがありませんか,という質問として伺います。ほかには地下水に関するデータがなかったのでしょうかという質問として事業者の方で答えられますか。
事業者方法書の地域概況に整理しておりますのは,あくまでも公表されている文献ベースで整理しておりますので,この程度の内容となっている点ではご了承をいただければと思います。議論が後半の部分になってしまいますが,今後の予測,評価の中で既存の調査内容については整理をして,準備書段階で明らかにするという予定にしております。
会長よろしいですか。方法書作成の段階での調査はこういうことであります。しかし,既存のデータがまだ他にはないとは言えません。近傍で地下鉄工事をやっていますから,そのときのデータ等もありますから,それを今後精査願いたいということで,よろしいですか。
委員今の意見と関連しますが,地下水調査で44ページには,平成21年度の概況調査がありますが,概況調査はご存じのようにキロメートルメッシュで任意の箇所をやりますので過去にもたくさんの資料を福岡市は公表データとして持っているわけです。それの中から近くのものは利用しておく必要があるだろうと思います。それは環境影響が出たときに,前のデータがどうだったのかという資料になるわけですから当然必要になると思います。例えば上呉服町と下呉服町では平成12年と平成16年に硝酸性窒素が出たデータはあります。福岡市が公表しております。それから,住宅地から少し外れますがヒ素やふっ素が出たというデータも公表しております。それと同時に,そのときには水質まで調査しておりますので,それも当然収集して整理しておく必要があるかと思います。いかがでしょうか。
会長はい,ありがとうございました。この点は準備書の段階で十分に収集整理しておくようにお願いします。ほかにご質問,ご意見はありますか
委員関連しますが,82ページには地下水の利用で温泉を書いてあります。温泉は地下水の中で取り扱っているという理解でいきますと,ここに表にしていっぱい載せてありますが,雑餉隈あたりからかなり広い範囲で出ています。近いところで言いますと2カ所です。櫛田神社とドーミーイン博多祇園です。この2カ所だと思いますが,この2カ所の水質データは,やはり収集をしていただきたいと思います。櫛田神社は温泉でよろしいですね。
事業者今のご質問につきまして,櫛田神社は温泉ということで聞いております。櫛田神社とドーミーイン博多祇園の水質データですが,私どものほうでは調査をいたしておりませんので,既存のデータがあるかどうかは確認させていただきます。
委員県の自然環境課にデータがあります。
事業者ありがとうございます。
委員櫛田神社については2006年3月の西日本新聞に温泉の記事が載っております。
会長よろしいですか。他にございませんか。
委員事業区間が1.4キロメートルということで,引き込み線からの分の延長ということですが,どこからを1.4キロというふうにカウントされるのですか
会長事業者からどうぞ。
事業者現地視察の際に見ていただいたと思いますが,春吉橋付近に換気塔があります。あの辺が起点となります。既に天神南駅から約200メートルの部分につきましては建設しておりますので,新しく建設する区間につきましては春吉の換気塔付近から博多駅までの1.4キロメートルになります。
会長よろしいですか。要するに実質の工事をする区間が1.4キロメートルということです。営業上の延伸距離とは一致しないということです。つまり,すでにある程度出来ていて営業では使っていない区間も実際の営業の段階では延伸に含まれますが,アセス対象としては含まれないため約1.4キロメートルとなります。
それではよろしいでしょうか。ここまでのところについては,特にこれ以上のご質問がないようですから。それでは早速,以上の事実関係を前提として,今回の方法書に掲げられている評価項目,それから調査,予測,評価の手法についてご意見をいただければと思います。どなたからでも結構ですが,それでは騒音について何かございますか。
委員騒音については特にございません。地下鉄の工事ですので,一番心配されるのは振動ではないかと思います。振動について少し確認と質問をさせていただきます。168ページの図3.2-7とか,177ページで1とか2とかの地点の平面図はわかるのですが,断面的にどの位置で評価をされるのかということをお答えいただきたいと思います。
事業者詳細は表3.2-29調査内容のところの調査地域・地点の選定理由のところを見ていただければわかりますが,中間駅の建設と博多駅の建設に伴い,地上部において建設機械の稼働が考えられるということで振動の予測地点を設定しております。
委員ここでお聞きしたいのは断面の位置でして,平面的にもまだ決まっていないのでしょうが,トンネルが地下の中に埋設される構造物なので,どこの位置で振動の予測,評価をするのかということです。
会長前半の166ページの話は,地下鉄の工事機械による振動について検討されているのですが,委員の質問は,177ページの供用後の列車の走行による振動についてということでよろしいですか。事業者の方で答えられますか。
事業者列車の走行時の振動ということでしょうか。
委員列車の走行による振動を予測,評価するうえで,一番振動が伝わりやすいのが当然のことですがシールドなどの壁の近くだと思いますので,その近くに問題となりそうな構造物があるようなところを地点として選ぶべきだと思います。実際七隈線の時にも敷設後にそういったような問題が起きたという話を聞いております。
会長今のところは走行中の振動については主に地表面のところを考えておられていて,たぶん軌道敷から何メートルかの範囲のところを考えておられると思いますが,現実にはそれよりもむしろシールドの構造物近傍の既存の工作物,建築物等に影響が生じる可能性が高いのでそちらを見たほうがいいのではないかというご意見ですね。その点はどうですか。
事業者ご意見ご指摘ありがとうございます。ごもっともでして,当然近傍に地下室があればそこが一番影響が大きくなるのは十分認識をしております。ただ,アセスという中でそういった個別の家屋を対象としてしまうというのが,いかがなのかということで悩んだところがありまして,あくまでも一般的な予測の手法ではありますけれども,地表面を代表としてまずは予測をしてみようと現段階では考えております。
委員明らかにこのビルをというような,そういう考えはやりにくいかと思うのですが,実際に一番影響が大きくなるのは地下のものだったら地下のすぐ近くということは誰が考えても明らかですし,それがおそらく現実には問題になりやすいというふうに思いますので,その辺はもう少し準備書の段階で再検討をいただきたいと思います。今の方法書では,この図面を見る限りではどこかというのは全く分かりませんので。
会長両面から考える必要があります。つまり,一般的な環境影響という観点から調べることはやっていくと同時に,もう1つはアセスを離れて事後の紛争の事前防止という意味がありますので,それは分かる限りやっておいたほうがよいので,ただいまのご発言はアセスというよりもむしろ工事全体に対するアドバイスというような理解をしていただければいいと思います。それも含めて調査地点については考えてくださいというご意見が出ました。ありがとうございました。
委員騒音振動は以上です。
委員地盤の項目の水にかかるところですが,地盤の地下水の影響は工事の実施中について予測・評価することになっていますが,地下鉄そのものは壁のごとく存在することになりますので構造物の存在による地下水流の影響というのが,終了後もモニタリングが必要ですので,丸印を構造物の存在の項目にも入れていただいて,建設後も地下水に影響がないかということを確認していただければと思います。以上です。
会長近傍の既存の1号線に関して,今の委員のご意見に関連する知見はありますでしょうか。
事業者マトリックスで工事中だけに丸をつけておりますが,あくまで予測だけの話として丸をつけております。供用後と比べまして工事中が一番地下水への影響が大きいという意味で,影響が一番大きいところに丸をつけております。あと今ご質問がありました,供用後につきましては基本的に予測の傾向としましては,工事中より当然影響が少ないものだろうということで丸はうってはおりませんが,モニタリングをするしないということにつきましては,予測評価の結果を受けまして事後調査計画の中で整理をしていく予定です。既設の七隈線につきましては,当然モニタリングは工事完了後まで実施しておりますので,今回も方法書の中でまず一番影響の大きいところについて予測の丸をうったという整理をさせていただいております。
会長わかりました。では,こちらでもう一度今の委員のご意見については審査会の意見として整理をして提示させていただきます。
委員既設線の工事について,九州大学のところで地下水の影響が出ていて,後で問題になったことがありますから,そのためには入れられた方がいいのでは思います。過去の実績があるかと思います。
会長それでは廃棄物はいかがでしょう。
委員残土と廃棄物含めてですが,まず調査内容の中で立地状況等と書いてあるのですが,処理施設の場合はまだよいのですが,残土処分場についてキャパシティがあとどれぐらい残っているのかを把握しないと処分する場所がないということがあると思いますので,そのあたりも調査の内容に入れていただきたいと思います。それと施設があってもそれはどういう施設だとか,どういう処理をしているのかということもありますので,残土の処理など品質の管理を加えた形で調査をしてほしいというのが意見です。それともう一点,既設線で工事をされた時に搬出がかなりあったと思うのですが,そのときはアイランドシティなどに埋め立て材として持っていったと思うのですが,現状は搬出が制限されていると思いますので,当時の発生量がどれぐらいでどこに搬出したという情報をあわせて調査した上で,容量が確保できるかということを検討していただきたいと思います。
会長はい,ありがとうございました。残土と汚泥以外はありますか。
委員汚泥と残土くらいだと思います。
会長私のほうで気が付いたことはこのぐらいですが,粉じんのほうで何かありますか。
委員141ページから142ページですが,建設工事に伴う粉じんを一般測定局の値からどういうふうに予測していくのか,実施区域まで遠いように思いますが,どういうことがモニタリングで予想できるのかというのが分かりにくいのでご説明をお願いします。
会長これは大事な質問です。事業者の方で答えられますか。
事業者粉じん等につきまして144ページのところに予測内容を書いておりますが,今ご指摘がありましたように,一般局からの測定結果を用いますのはあくまでも風向・風速の地域の代表のデータというのを参考にさせていただきます。それに基づきましてここに今いろいろ書いておりますが,用います工事をここではユニットと書いておりますが,どういった工事の内容を実施するかにより粉じんの発生が異なります。発生した粉じんが,その地域の風向風速の状況によってどのように拡散するかというのを定量的に予測していきます。
会長何もない大平原で工事する場合は容易に理解できますが,あんなにビルが複雑にあり,局地的には風向きが大きく変わるような場所で,それを言われても理解できるはずがありません。
事業者今の委員長のご指摘のとおり,たしかにビルの中ということで現地計測を行う必要性があるのかどうかというのは内部でもいろいろ議論しましたが,測定をしてそれをどこまで再現できるのかを考えたときに,あくまでも一般的ですけれども,地域の代表として一般局のデータを用いてエリア全体でどのような傾向があるのかどうかをつかむのがここの地域では限界かな,というのがここで示している手法の内容です。
会長発生量が大してないから,シミュレーションをやっても基準以下ということになるので,コンピュータをまわす費用は無駄になりませんか。むしろ発生量をきちんと押さえて,これだけの発生量ということであれば,ミュレーションがいらないと言えませんか。無駄な調査をすることはないので,アセスは必要な情報が手に入ればよいと考えますが,その点は答えられますか。
事業者今の委員長の意見を踏まえまして,まず現地調査の必要性という意味では,そこまで再現できる可能性もないという意味も踏まえまして省力化をして,一般局のものを用いるというのが1つあります。あと予測の中で過去の事例の中で定性的に処理しているものもたくさんありますし,最近このように道路の手法等を用いて定量的に実施しているものもあります。あくまでも技術指針を参考に定量的にできるものはまずは定量的にしようということでこういった式を使っています。いずれにしましても今回の事業,こういった予測の手法の中で定量的あるいは定性的,どこの地点で風向・風速等々の問題がありますけれども,あくまでも工事の中でどのように保全していくのかということを評価していきたいという部分で準備書に記載していきたいとイメージを持っています。
会長福岡の粉じんの最大の原因は,海の塩と大陸からの微粒子が圧倒的に多いわけです。ですからそれを前提にして考えれば,発想を変えないといけないかもしれないですね。要するに,よそで用いている式をそのまま持って来てもだめで,工事区域も1.4キロメートルと決まってビルの高さも分かっているわけですから,それこそ立体の地図で分かるのではないですか。意見書で述べるまではありませんが,ここで申し上げればおわかりいただけると思います。必ずしもモデルを使って予測することがいいとは思っていません。面積的にこの程度の規模の工事では,もっと状況に応じて実施対応するほうがよほどいいでしょうし,定性的でもかまわないので何か問題があるなら,どう対策をたてるのかということのほうが事業者に対して適切な情報提供になると当審査会は考えています。
事業者検討させていただきます。ありがとうございます。
会長他にございますか。それでは項目については関係の先生方のご意見を伺ったわけですが,こういうことが気になるという部分がありましたら,ご自由にご意見を伺いたいと思います。
委員気になるというよりも余計なことかもしれませんが,表3.1-1のマトリックスの中では全く出て来ないのですが,工事を実施すれば環境への影響があるだろうということでアセスメントをしていますが,地下鉄ができあがった後は道路を走っている車が減るというようなことを想定して事業を実施していると思います。そうすると道路の周辺等も騒音が少し下がるとか,良い側の影響が出て来ると思います。アセスメントは悪くなりますということを書くだけでなく,どこにどう書くかというのはなかなか難しいかとは思いますが,良い効果も期待されるというようなことを,特に当該事業では騒音などは非常に大きなファクターとして記載されていますので,そういうのもぜひ今回考慮していただければと思います。
会長ありがとうございました。他にございますか。
委員欠席委員のコメントがありましたが,先ほどから既設線の工事ではこういうものがありましたと委員のご発言を聞いておりまして,私は全く情報がありませんので,過去の苦情や意見についても参考にしないといけないのかなと思います。それから,委員から地下水質の問題が取り上げられましたが,市民意見のほうでも水質のことが取り上げられていて,方法書には水位だけあって水質がないという状況がありますので,欠席委員と市民の意見ついてどういうふうに取り扱うのかということについてお聞きしたいです。
会長これは準備書の方で回答ということになるとは思うのですが,現段階で答えられることがあったら答えてください。
事業者それでは欠席委員にいただきました意見に対してですが,これまで地下鉄の工事で周辺の住民の皆さんから苦情等をいただいております。そのときのデータというのは,これまでの経験として蓄積したものがありまして,やはり工事ですので工事中の騒音ですとか,あとは振動に関するものがほとんどです。そのほかにも地下水,井戸等に関する苦情も出ておりますので,これは考慮いたしまして今回の予測項目として騒音,振動,あるいは地盤の中で地下水等を項目として選定することで考慮しています。今後準備書としてとりまとめていく上でも,過去のデータ等を参考にしながら整理はしていきたいということで考えております。
委員地下水質は調査対象とされるのでしょうか。
事業者水質につきましては,方法書の12ページのほうに環境保全の方針ということで,工事中の環境保全対策を書いておりますが,開削工事につきましては剛性及び止水性の高い土留壁の採用を行うことといたしております。またトンネル工事におきましては,止水性の高いシールド工法を基本とする等の保全措置を講じてまいりますので,工事が水質に及ぼす影響は小さいと考えておりますので,水質については評価項目として選定いたしておりません。
委員気になる点で,専門外なんですが,遺跡調査ですね。93ページに埋蔵文化財は今まではないと書いてありますが,オープンカットのところは教育委員会の遺跡調査が必要になると思います。大博通りも広げるのに遺跡調査が何年もあったのでずいぶんと時間がかかりました。この11ページのスケジュールには,そこは考慮していないのか,あるいはアセスと関係無いから入れてないのですか。
会長これはアセスに直接関わる話ではないけれども,疑問だし心配だからというお尋ねです。
事業者埋蔵文化財につきましては,文化財保護法に基づき,所管が教育委員会になりますが,そちらに対して今回の計画区域の照会をしております。所管課の審査の結果,試掘確認が必要とされた場合は試掘を行いまして,遺構が確認された場合は発掘調査となる可能性がありますが,周辺でキャナルシティなどの開発などが行われておりまして同様の手続きがなされておりますが,特に重要な遺構が確認されて現存保存が必要という判断だったケースについては聞き及んでいません。
委員地下鉄自体は地下ですから景観というのは関係ないと思いますが,工事中の景観ということでは,いろんなやはり機械類,それから塀ができたり囲まれたりとか,そういう景観の問題や,交通上の視界の問題などはアセスの対象ではないのでしょうか。
会長いいご質問だと思います。本当は対象になりますね。今まで福岡市が実施している工事なら心配はしていません。囲いにきれいな絵を描いたり写真をつけたり,できる範囲で配慮されているかと思います。地上での工事という場合には景観の問題があるでしょうから,ご指摘があったことはお受けいたします。それから交通影響に対しては,アセスのやり方ではどうしても大気などに細かく分けてしまいますが,全体として工事中の交通渋滞を最小化してほしいという声が絶対出て来ると思います。だから,交通渋滞をとにかく起こさないようにということで,工事の時間帯や場所の選定などの配慮を行うなど,意見としてつけたいと思います。
委員工事は何年もかかりますからいろいろ市民からも意見が出ると思います。塀が出来ることによる交通の視界自体についても市民意見としてはあるのではないかと思います。
会長視界は大変だとは思いますが,いずれにせよ交通の影響というものはあちらこちらで出てくるだろうと思います。工事区間でないところに影響も出てくるでしょうし,その辺は十分予測をしなければならないと思います。
委員残土の処分場は存在しませんということですが,残土をどこかに置かなければいけないので,そこでの影響というのはどう考えるのでしょうか。
会長アセスの中で残土をどうするかということについては予測・評価することになっておりますが,事業者からは何か答えはありますか。
事業者今のご指摘は140ぺージの文章についてということでよろしいですか。今回の対象事業実施区域内には指定処分場が存在しないということです。
会長1.4キロの範囲内にないということですね。
事業者そうです。
会長天神から博多駅までの範囲内には置くようなところはありませんという意味ですから,地域内でいうと無いわけではありません。
委員どこかに置くわけですから,そこの影響はほとんど考えられないのでしょうか。
事業者福岡市の公共工事で残土が発生した場合の搬出先として,処分場ということで数カ所指定されている場所があります。今回の事業につきましても基本的には指定処分場のほうに搬出するということを想定しておりますけれども,搬出量あるいは搬出先の候補地につきましては,準備書の段階で示していきたいというふうに考えております。
会長結局1.4キロ延ばして,シールドで穴が二つできて,そのトンネルの中の土はどこかに持っていかないといけません。それと周りにも若干あります。それから,あと駅を作ると建屋部分の空間ができたところの土だけは丸ごと出てきますが,建設後は埋戻しをしますから,一時的に保管しておいても,埋め戻すことになりますので実質的に最終的に処分しなければいけない土の量はそんなに多いわけではないと思います。そうすると西区の処分場がもうそろそろ埋め終わってしまうとしても,さほど他都市にご迷惑をかける工事ではないだろうという気はします。そのへんは十分アセスの中でも検討して,準備書が作られると思います。よろしいですか。
委員今の意見に関連しますが,結局この評価では適正な処分場や中間処理施設に出すことで軽減されているということで評価になってしまうことが問題だと思っております。そういう面では今回の工事では使わないが,福岡市全域の公共工事の中で中間処理された汚泥などを利用するところがあればその量も把握していただいて,そういうものを含めて負荷軽減だとしていただけると良いと思います。
会長その点はタイミングが合うかどうかは別として,可能な限り検討していただきたいと思います。別の事業ではできるだけ区域内で処理をして場外へ出さないように指摘した事例もあるみたいですが,比較的この場所では仕方がないと思いますので,そういう意味では委員のご指摘も考えないといけないだろうと思います。
委員は何かありますか。
委員私は何もございません。
委員140ページにあります低周波のことですが,換気塔から出る低周波ですが,施設見学の時に既設線の換気塔を見ましたが,これは実際にできてみないとわからないということですか。七隈線のデータを参考にされるのでしょうが,今回できるところには住居もあるので,設置しますということしか書いていないのは理解しにくいように感じます。
会長これは将来的に問題となる可能性がないとは言えないので調べましょうということです。ところが,調べるといっても工事が完成しないと調べられないというのではアセスの対象になりませんので,調査をするならば既設線で換気塔があるところになります。供用の仕方は,電車が走って風圧がかかって排気されるので同じといえます。既存の場所を調べて,できればカーブの似たような場所を調べて計算すれば,だいたいの予測はつくだろうということが書かれていると私は理解しています。
委員そうしか理解しようがないですね。既存のものでしか計算しようがないと。
会長そうだと思います。専門の人によると構造がどうであるかによってずいぶん低周波は違うという事です。そうなると,おそらく換気塔の構造を全く変えなくて同じ構造でつくるとすればほぼ同じ状況になるわけです。だから,今回の予測は大きくはずれることはないと思います。
委員住宅がある付近に設置ということを考えると,そのへんのところは計算上だけでは心配です。
会長それよりも心配なのは換気塔の低周波音をいくら調べても,今までの現況でどうなっているのかというデータがないんですね。今までも低周波音があったかもしれませんが,それを全部工事に起因するものとされてしまうということもあります。アセスとして予測というのはありますが,現況がどうなっているかというのはもっと徹底的に調べてみる必要があると思います。同じことを言うと,ここはもともと海の底でしたので,自然由来のふっ素やほう素が出るかもしれませんし,場合によっては基準を超えるかもしれません。もともとあったものを掘り出して基準を超えていたから工事に起因するものだと言われることもありますから,先に調べておく必要があるのかなと思います。
委員やはり市民感覚で言うと,できないとわからないので計算上でしましたというのは理解できません。
会長現況を調べるというのはアセスの大事なポイントでありまして,それがあれば工事でどう変わったかというのが分かりますから,それで影響があるかないかということは言えます。何も調査していなくて,影響がありますと言われたときになって調査して,そこで影響があるようにみなされてしまうのはおかしいと思いませんか。
委員次の段階では,そういう現況調査結果が出て来るというふうに理解してよろしいでしょうか。
会長今までの事例ではあまりしていませんので今回はぜひ調査をしていただきたい。
委員はい,それはわかりました。お願いします。
会長委員どうぞ。
委員特にありません。
委員地下水のところでお願いがあるのですが,方法論のところまで入り込むので躊躇していたのですが,開削区間はおそらく矢板を打つと思います。そうすると,矢板を引き抜くというのか埋めたままにするのかというのがあります。開削区間で矢板を埋めたままにされると地下水の流動阻害が起こる可能性があります。それを事前にチェックをしていただいてから,矢板を引き抜かないといけないのか,埋めたままでも大丈夫かを確認して工事を進めていただきたいと思います。そういう意味でも,構造物の存在を項目として選定していただきたい。
会長他にございますか。よろしいですか。
委員欠席委員の提案に対しては,どうお考えですか。
委員先ほどお答えをいただいたのですが,今までの苦情を調べて,それを踏まえて項目を選定しているということです。
委員参考資料5の説明はないのでしょうか。
趣旨は,先ほど委員長が言われたようにふっ素,ホウ素は自然由来で出るのははっきりしていますが,この地質が正しければあまり出ないと思われます。つまり,ここは砂とか砂礫ばかりなんです。ところが,実際に予想されるのはこの砂のac層の下に博多湾シルト層という縄文時代の粘土が出るのが普通なんです。それが出ていないから不思議な地層だなと思っています。これはどれぐらいの精度でやられたんですか。調査はもうこれでお仕舞いですか。
まず,簡単に説明してください。
事業者地質につきましては,22年度に今回の延伸区間の調査を実施しております。まだ検討途中でして,今後,構造ですとか工法を詳細に検討していきますので,それに必要なデータとして追加でボーリング調査を実施する予定にしております。今日お示しておりますのは現段階で判定しているということでご理解いただければと思います。
今日お示ししております資料ですが,この図面の左側に緑色の線で記載しておりますのは,天神南駅の駅部の構造物の外枠です。そこから右端に終点と書いておりますが,こちらの博多駅のほうに向かって今回建設を予定しております地下鉄のトンネル部分を赤で示しております。ご覧いただけますように天神南駅を出ますと春吉橋という橋梁がありまして,この橋梁の基礎が赤色で橋の下に示しておりますが,こういった橋の基礎を避けるためにここで下がったような構造になっています。博多駅のほうに向かいながら,さらにまた下がっておりますが,これは既存の下水道ですとか地下埋設構造物を避ける,あるいは博多駅の方では既に駅ビルの地下ですとか,地下街,地下車路等の構造物がありますので,こういったものを避ける意味からもだんだん下がっていくような構造となっています。先ほど委員のほうからありましたように,この地層の中で緑の部分以外は砂礫層が主体となった地層でして,この緑の部分が大きな区分けでいきますと岩盤構造です。
会長それでは,地質についてもさらに詳細調査ができるようであれば調査して,さきほど懸案しているようなことが起こらないかどうかということを十分検討していただきたい。ほかに特にご意見もございませんようでしたら,方法書の審査については以上で終わらせていただきまして,今日いただきましたご意見の中で地下水についての調査を供用後についても考慮する必要があるという委員のご意見,あるいは廃棄物についての委員のご意見については,審査会意見としてまとめる必要があろうかと思いますので,最終的に当審査会が提示する意見については,私にとりまとめをご一任いただけますでしょうか。
一同異議なし
会長ご協力ありがとうございます。それではとりまとめまして後日確認をいただきます。それでは,本日の審査は以上です。


議題2 その他


発言者 発言内容
会長今後のスケジュールについて事務局から何かありますか
事務局(説明)
会長それでは,以上で方法書の審査を終わります。