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更新日: 2011年3月9日

福岡市環境影響評価審査会 議事の要旨
平成17年3月3日


西南学院大学田尻グラウンド(仮称)整備事業準備書書



日時 平成17年3月3日午前9時30分から午前11時
開催場所 福岡国際ホール 九重
議題 西南学院大学田尻グラウンド(仮称)整備事業環境影響評価準備書
出席者 浅野会長,小島委員,近藤委員,島田委員,薛委員,田中委員,田村委員,久留委員,藤本委員,柳委員(50音順)
会議資料 西南学院大学田尻グラウンド(仮称)整備事業環境影響評価準備書,意見の概要および見解書,欠席委員意見,正誤表


【議事概要】

発言者 発言内容
事務局ただいまから,福岡市環境影響評価審査会を開催させていただきます。
本日は,委員総数14名中,10名のご出席をいただいておりまして,審査会規則第5条第2項の規定により定足数を満たしていることをお伝え申し上げます。
なお,本日は,当事業の事業者でございます西南学院大学にも,ご出席をいただいております。
それでは,会長,よろしくお願い申し上げます。
会長それでは,本日は,前回,方法書についての審査を行いました西南学院大学田尻グラウンド整備事業についての準備書について,審査会としての意見の取りまとめをするための審査会を行います。
本件は,これまでの福岡市の条例に基づく環境影響評価としては,初めての民間事業です。
方法書に対する審査会意見及び市長意見に基づいて,事業者が,準備書の作成にかなりの時間をかけて準備をされたということでありますが,直前まで準備書の訂正や,正誤表の大量な配付が行われたことは,大変遺憾であると申し上げたい。これは,事業者の責任と言うよりも,むしろ受託者の責任であると思います。今後,こういうことのないように,まず厳重に注意を申し上げたい。
それでは,準備書の概要と縦覧の状況について,簡潔に事務局から説明をお願いします。
事務局(準備書の概要と縦覧の状況,意見の概要及び見解書,欠席委員からの意見の概要説明)
会長ありがとうございました。手続的なことは皆さんご存じだと思いますが,準備書について,本日,審査会として審査を行い,意見を集約したいと思います。この準備書に基づいて,最終的に評価書が作成されるということになりますので,必要な場合には環境保全措置がさらに追加されるということを前提にしてご意見をいただきたい。
まず,ご欠席の委員からご意見をいただいておりますので,事業者から,ご意見に対する回答をお願いします。
事業者「池及び水辺環境ゾーン」の水位につきましては,1カ月も2カ月も高水位の状態で溜っているものではありません。10年に1回確率の強雨時において,常時水位より水位が約40センチメートル上がり,約9時間かけて,常時水位の20センチメートルまで下がります。
グラウンドの盛土についてのご意見につきましては,盛土の土取場が正式には決定しておりませんので,盛土搬入の際には,盛土材に含まれる異物や埋土種子により現況の植生を攪乱することのないよう気を付けていきたいと思っております。
フェンスにつきましては,本格的なプロ野球もできるようなフェンスの高さを設定しているわけではなくで,あくまで大学の課外活動としてのフェンスの高さを設定しております。
動物の重要種の現地確認結果が既存資料よりも少ないというご意見につきましては,既存資料を確認いたしましたところ,既存資料の現地調査と本調査で行われた調査結果と問題となるような差異がなかったという見解を持っております。
会長はい,わかりました。それでは,ほかのご出席の委員から,この準備書についてご意見があれば伺いたいと思います。できましたら項目に沿って,それぞれのご専門の委員からご発言をいただきたいと考えております。
委員方法書のときになかった環境保全ゾーンについてですが,疑似水田環境を設ける計画があります。水田と言えば一般的には畦などで区切られた直線的なものですが,本計画では,曲線を用いることで自然に見せようという感じがしております。また,環境保全ゾーンでは,いろんな樹種が植えられる計画になっていますが,これが疑似水田環境になるのか疑問に感じます。
会長ただいまの委員のご質問については,棚田みたいな曲線を用いた水田もあるので,直線にこだわらなくてもよろしいとは思います。疑似水田環境については,底質も含めて土壌環境をいかに保全していくのかが問題であるように思えますが,疑似水田環境についての具体的な構想について質問されていますので,事業者の方,どうぞお答えください。
事業者疑似水田環境の趣旨といいますか,どういうことを狙ってこのような言葉を使ったかということから説明させていただきますと,水田環境を再現するということではなくて,水田の持っている環境,カエルがいたり,稲作以外のイネ科の植物が生育したりといった動植物にとって多様な生息環境を水田環境が持っておりますので,そういった水田の持っている多様な環境を再現するという趣旨で,疑似水田環境というのを使いました。
委員その場合,再現というより,今ある水田をそのまま残すというような方法はないのでしょうか。
事業者水田というのは,非常に手間のかかるもので,これを一事業者がやるのは非常に大変でありますので,水位が上下する調整池にて,水田の持っている環境を再現しようと考えました。現況の水田は,大雨が降った場合に冠水し,その冠水による攪乱が,周囲のイネ科植物や動植物にとって非常にいいものでありますので,そういった自然の攪乱をねらって,水位が上下する調整池,ここでは防災機能を持つ調整池を設置したといったことが趣旨でございます。
会長少なくとも疑似水田環境については,十分理解できます。水田を残せばいいというものでもないので,全く管理されていないところであれば,むしろこのようなものの方がよろしいと思います。例えば,豊岡では,コウノトリの繁殖のために,冬場に水田に水を張ることを行なっているわけですから,むしろ今のような冬に全く水が落ちてしまうという環境よりもいいということもあり得るということです。
それから,もともと方法書の審査会の議論の中で,大学がこういうグラウンドを作られる以上は,環境教育の場としても使えるようなものにされたらどうですか,それがやはり大学としての使命ではありませんかということを,申し上げておりましたが,それに対する誠実なお答えが環境保全ゾーンであると理解するならば,これはこれで一応の理解ができるのではないかと思います。
委員会長のおっしゃるとおりで,それについては評価しております。
先ほどの環境保全ゾーンの調整池に関して,もう少し具体的な作り方をお聞きしたいと思います。まず,調整池の底面の高さ,想定水面の高さが現況の水田と比べてどうなのかということと,畦は一旦壊して,底土だけを利用して均して作るのかということと,それから,水位の管理について,堅固な不透水層を作り,水位20センチメートルのところでオーバーフローをさせて排水を行うものなのか,それとも自然にしみ込むようにして,地下水との関連で水位20センチメートルと設定しているのでしょうか。また,1-7頁の丸印は,凡例どおり全て樹木を示しているのかどうかも併せてお聞きします。
会長堅固な不透水層を調整池の下に作るかどうかという点については,事業者へお聞きしますがいかがですか。
事業者まず不透水層についてですが,調整池底をコンクリートで固めた不透水層は設けず,粘性土を用いた池底を作ります。ここは非常に地下水位が高いので,じわじわと浸透していき常に常時の水位を保っていくという地下水を常時水位の水源の一つとしているという考え方です。
そうすると,水漏れにより調整池の役目を果たさないのではないのかというご指摘もあろうかと思いますが,粘土層で敷き詰めておりますので,じわじわと浸透したりすることはあるけれども,急激に水が漏れるようなことはないと考えております。
環境保全ゾーンの植栽については,1-13頁の模式図どおりです。まず草藪ゾーンにつきましては,ススキやチガヤなどの草藪を設けます。これによってカヤネズミとか昆虫類の生息場になることを期待しています。
緑地ゾーンの具体的な植栽ですが,まだ正式には決めておりませんけれども,その候補としましては,周辺地域の在来種である木本類,ハマビワ,シャリンバイ,低木ではタブノキ,ホルトノキ,クロガネモチといった高木や中木を緑地ゾーンの樹種として考えております。
委員水位の管理については,結論的に大変よろしいと思います。しかし,季節に応じて,雨の時期は水位がある程度高いけれども,冬場は水位が下がっていくという,その自然の水位の上下が周辺の水生植物の多様性を高めるためには重要でありますので,常時水位のあたりで水位が上下しながら排水できるのがいいとは思います。調整池の排水について,具体的にどうするのかをお聞かせください。
事業者この調整池は,防災的な側面も持っており,排水については,ポンプやスライドゲートを用いたものではなくて,下流の許容放流量に見合った小さな穴を設定して自然に抜けていくという放流形式でありますので,速く排水するための施設ではなくて,自然に抜けていく施設になっております。
委員計算上は9時間ぐらいで常時水位まで下がるということですが,生物のためには,もう少しゆっくり抜けてくれた方がいいかとは思います。
それから,環境保全ゾーンの植栽図ですが,樹木を水際まで植えず,草地をもう少し広くとり,池及び水辺環境ゾーンについては,西側にかけてもう少し広くとった方がいいと思います。実施設計の時には,もう少し検討が必要かと思います。
会長わかりました。現況は森林地帯とはなっていませんので,今のご意見も参考にしてください。
それでは,大気,騒音の分野についてご意見をお願いします。
委員騒音,振動に関してはきちんと予測されています。特に騒音では面的評価まで行われており,大変結構かと思います。
別の項目について,1-20,21頁の照明計画にて,これは方法書に対する市長意見において,夜間照明等の影響が出るのではないかということから加えられた項目だと思いますけれども,この頁のグラウンド照度分布図では,グラウンド面で明るさがどれぐらいになるかということを示しておりますが,それよりも,グラウンドを外から見たときに,どういうふうに鳥等が明るく感じられるかという,そういうデータを求めたものではないかと思います。そのあたりはいかがでしょうか。
会長光による鳥への影響については,回答しづらいかと思います。光の問題が大きいのは,周囲の環境への影響や,上方への光がどう抑えられているのかということに,むしろ当審査会としては関心があるかと思います。
しかも,光が上に行かないように,照明設備の光が極力下に行くようにすれば,低エネルギーでより大きな照明効果を上げることができるわけですから,極力本来照らすべき場面にしっかり光が当たるようにして,ほかのところには光が行かないようにすれば,それで経費も安くて済むことになります。そういうことにも留意をしていただきたいというのが,我々の側の意見だったわけです。
これについては,評価をやり直すということではなく,環境保全措置として,今のようなことを留意していただきたいということにしておきたいと思います。
それでは,騒音,振動については合格だそうです。他には,海洋への影響等についてはないでしょうか。
委員水質については特にございませんが,1-16頁「調整池計画の概要」について,調整池水深のところで,多自然型調整池のところは0~0.4メートルとありますけども,先ほどのご説明でいくと最大水深は60センチメートルになりますが,ここは0.6メートルではないでしょうか。
事業者ここで書いております調整池水深の0~40センチメートルといいますのは,あくまで雨が降った場合に調整する目的で水位の変動幅が40センチメートルということで,ここは多自然型調整池ということで,そういった調整池水位とは別に常時水がたまっている水深を20センチメートルとっておりますので,合わせて60センチメートルとなります。わかりやすいように評価書には記載したいと思います。
会長今,委員が言われるように,何も情報なしに準備書を読めば,矛盾する記載ということになりかねないので,これは表現ぶりに注意していただきたい。
それでは,次の項目について,土壌についてはいかがでございましょうか。
委員地盤沈下のところでよろしいでしょうか。結論には異存はございませんが,少し理解がしづらいところがございます。5-5-2頁で,地下水位が書いてありますが,この場所は,潮の満ち引きで地下水位が上下する場所かと思いますので,潮位が一番高い時の値なのかどうか,あるいは同じ時間帯に測ったのかどうかということをお聞きしたい。後の地盤沈下と非常に関係がありますので,もう少し詳しく書かれた方が,誤解がないかと思います。
会長5-5-2頁についてのご指摘ですが,何かコメントはありますか。
事業者これにつきましては,評価書で詳しく明記していきたいと思います。
委員地盤についての表現ですが,地盤高,現況高,計画高といろいろ出てきます。例えば,1-14頁本文の4行目は標高ですが,表になると計画高となっています。約2.8メートルというのは標高,計画高どちらになりますか。
事業者計画後の高さを標高で表記しているといった趣旨でございます。
委員1-14頁では,福岡市下水道局の基準点からの標高を取っているようですが,5-5-5頁の地層分布対比図では,標高が全部マイナスになっており,おそらくここは仮ベンチマークの高さが記載されて標高換算はなされていないのではないかと思います。
会長5-5-5頁ですが,これはどうですか。
事業者これは土質調査時の仮標高でございます。したがって,標高の基準となる高さが違っておりますので,整合性をとるために調整した数字を書く必要があります。
会長この点は評価書ではきちんと直してください。
それでは,生物系についてのご意見があれば伺いたいと思います。
委員方法書の審査会において,貯水機能を持たせることや,環境保全ゾーンを作ること,グラウンドをできるだけ芝生で覆うことなど提案をしましたが,それらに関していろいろと取り入れていただいているので,大変評価できると思います。しかし,先ほども出ました環境保全ゾーンを樹木で覆うというのが,周辺の今出第一池などの環境とあまりに違った,周辺の環境と不釣り合いな感じがしますので,検討していただきたいと思います。
それから,クロツラヘラサギについての評価ですが,5-6-53頁に,現況調査で水田の方はあまり来ないので,その水田がなくなっても反対側の川の対岸の方の水田に行くだろうとあり,影響の程度は小さいと予測されています。それについては,事前に事務局を通じて,今までの野鳥の会福岡支部のデータを差し上げて検討してくださいということをお願いしておりましたが,いかがされたのでしょうか。
会長では,今の件について,お答えください。
事業者まず,環境保全ゾーンの周囲の外周の植栽について,準備書でこのように計画した趣旨は,人の影響を軽減していこうといったことで,中高木の植栽で外側を覆うといったことが趣旨で記載しました。今,委員の方からご指摘がありましたように,周囲の環境との調和といったことに対して検討した方がいいと思っておりますので,これについては評価書の中で修正の検討をかけていきたいと思います。
クロツラヘラサギにつきましては,野鳥の会福岡支部より貴重な資料をいただきまして,どうもありがとうございました。今,その資料をもとに検討をかけており,準備書に関するクロツラヘラサギに関する記述につきましても,評価書にて変更を検討する方向で作業を進めております。
当初,既存資料でも,本準備書で行われた現地調査においても,クロツラヘラサギにつきましては,開発区域を含めて後背地の利用は,あまりなかったというような認識でおりましたが,野鳥の会福岡支部からの貴重な資料をいただき,後背地の利用についても,水田や今出の用水路で非常に生息活動を広げているといったことを教えていただきましたので,再度,そのクロツラヘラサギが後背地を利用しているという認識でもって,今,評価書に向けて作成中でございます。
会長これに関連することとして,工事工程の設定の仕方について質問があります。工事工程については,どういう配慮をされたのでしょうか。公共事業と違い,特に民間事業ですから,予算年度に拘束されないという印象を多少持っていますが,この準備書では年度で始まり年度で終わり,その結果として工事最盛期が一番冬場にかかっているように見えます。冬場というのは,ご存じのように今津干潟近辺の渡り鳥にとっては一番の活動期ですから,その時期が一番工事の最盛期にかかるような工事工程設定の仕方に合理的な配慮があるのでしょうか。どういう経過でこういうふうになったのか。そのあたりの工事工程の調整をすることによって,今の田村委員が言っておられることについても,若干でもミチゲーションという可能性がないのかという印象がありますが,どうでしょうか。
委員会長のおっしゃるとおりです。例えば,ダムや高速道路など公共事業でも,猛禽類の場合は繁殖の兆候が見られたら工事は一旦中断するなどいろんなところで配慮されています。ここの場所は,世界的に非常に数の少ないクロツラヘラサギが日本中で一番数の多い場所なので,クロツラヘラサギが渡来する期間,あるいは水田を利用するような時期は,工事に対して配慮することはやはり必要だと思います。
会長何かそのあたりのご検討があって,この日程になったのか。それとも,これはあくまでも事業者側の事務レベルの話としてこのように決まったのか。そのあたりの事情を,もしお差し支えなければ,お答えください。
事業者工事工程につきましては,工事工程を設定する一番のポイントとなりますのが田尻ポンプ場の供用開始の時期でございます。平成19年4月に田尻ポンプが供用されますので,それに合わせて土工事を開始するように設定した工程でございます。
また,現在,干隈校地の方が既に都市公園用地として譲渡されて,グラウンドがない状態でありますので,少しでも早くということで,グラウンドの部分供用を予定しております。
会長もっと早めに工事を始めれば,最盛期を冬場から少しでもずらして,夏場に最盛期というふうになるのではないかと思ったのですが。ポンプ場との関係で非常に問題があるのであれば,どちらを優先するかの問題ですから,仕方がないと思いますが,検討の余地があるのではないかと思います。
事業者その点につきましては,再度検討させていただきます。
委員新しく作る環境についてですが,例えば,現況の水田とは異なる芝生などの創出は,同じ緑でも今までの緑とは質が異なる緑となりますので,ムクドリなど相当これから増えてくると思います。今まであまりいなかった種が増えてくるということが,評価の段階で記載されていないように思いますが,いかがでしょうか。
事業者新しい生息環境が出てくることの影響について,確かに記載が不足しておりますので,評価書で記載していきたいと思います。
委員廃棄物のところで,適正に再利用できるので影響ないというふうに書かれていますが,できれば,近隣の中間処理施設の処理能力のようなものがあれば,適切に処理ができる範囲内だということが評価できそうなので,文章では書かれていますけれども,本当にそれが可能かどうかというのはまだわからないので,そういう内容を入れていただけるといいかと思います。
事業者かしこまりました。
会長その点はどうぞご検討ください。
委員2-26頁表2-1-19の生態系ピラミッドの文言で少し気になったのが,一番下の「分解者」のところで「微生物,バクテリア等」と書いてありますが,バクテリアも微生物の一種ですので,どちらかに統一された方がいいかと思います。
会長それでは,人と自然との触れ合い活動の場や景観についてありませんか。
委員他の点ですが,本計画は,準備書ですけれども,いろいろ本当に配慮されたというのがよく見える準備書だというふうに私は評価しております。しかし,その上で,先ほど夜間照明については,配慮のやり方として遮光板の設置や,光量を落とすということがあるかと思いますが,いろんな貴重種がいる場所ですので,照明が貴重種にとってどの程度の許容の範囲内になるのか,もしこれが十分従前と同じような生育環境として問題ないという範囲であることが言えればいいのでしょうが,この準備書ではわかりませんでした。
また,さきの欠席委員の意見書5番目ですが,フェンスの高さは2メートルということを踏まえられた上,動物の移動を十分に考慮したフェンスの構造にしてほしいということだったと思います。その意見に対する事業者の回答が,フェンスの高さでしたので,そうではないように思います。
それから,同意見書の7番目,動物の重要種数が減少していることについて,それをどういうふうに評価したらいいのかということを,もう少し説明していただきたいと思います。
会長わかりました。意見書の7番目について,私が直観的に思うのは,もともと,下水道局の調査が既存文献調査ぐらいしか行っていないのではないかと思いますが,その点どうなのですか。
事務局ただいまの意見について補足させていただきます。今,会長がおっしゃったとおりで,新西部水処理センターのアセス書では,確かに貴重種として62種を挙げておりましたが,こちらは現況調査で確認した種というわけではなく,既存文献,福岡市の『環境配慮指針』に記載されていた貴重種をピックアップした数となっておりまして,今回のアセス書の中で,現地調査をした結果の数値とは直接的な比較はできない数字でございました。
一方,鳥類の重要種数が減っているのではないかというご意見につきまして,今津地区では,アイランドシティの環境モニタリング調査の一環といたしまして,経年的な調査を行っております。その結果を見ますと,毎年おおむね100種前後で推移しており,ご意見いただいておりますような平成10年以降に減少しているというような状況は,現在のところ,見られておりません。
今回のご意見につきましては,準備書のつくり方の問題ということで,過去の資料の数値を示すときに,どのような求め方をした数値であるかをきちんと説明していなかったことが原因でございますので,評価書の作成に当たりましては,そのところを十分に注意して指導してまいりたいと思っております。
会長フェンスについては,私も同じことを考えていて,高さではなく,下の方にイタチぐらいの大きさの小動物などが通れる空間を作ってくださいという趣旨ですから,誤解のないようにしてください。
委員人と自然との触れ合い活動の場の関連で,環境保全ゾーンというのは環境教育の場にもなるという位置付けですが,これは一般の市民,この周辺を散歩する人が気軽に入れるような構造なのでしょうか。それとも学生のみが対象なのでしょうか。事業者の方,よろしかったら教えてください。
事業者環境保全ゾーンにつきましては,まず鳥などの生息場所であることを期待しておりますので,管理以外の人員はなるべく遠慮していただきたいと思っておりました。しかし,近郊には今津湾という雄大な自然がありまして,バードウオッチング等に来られる方もおられますので,環境の見地から環境保全ゾーンを見学したいといった方については入って観察していただき,それ以外の目的で入る方は遠慮していただきたいと,今,そういった方向で検討しております。環境保全ゾーンに一般の人が立ち入れるかどうかにつきましては,評価書の中で明確に記載していこうと思っております。
委員人と自然との触れ合いの活動の場に関連してですが,この準備書には,このグラウンドと周辺との関係や,それから人との関係,市民との関係,そういうところが記載されていないのにかかわらず,西南グラウンドが上げられていますが,何のためにこれが書いてあるのかというのが,いまひとつよくわかりません。
もう一つは,これも何度も出ていますが,照明の問題で,例えばどれくらいの時間,夏場だったら何時から何時まで,冬場だったら何時から何時まで,そして365日の中の何日ぐらい夜間照明を使うことによって,周りの自然環境や,動植物などに影響がないと予測できるのかどうか,そういうところがよくわかりませんので,次の評価書で,ある程度予測されて出てくるのかお聞きしたいと思います。
会長まず前半の質問については,これはアセスのマニュアルにこういうものを行うよう書いてあるから行っているという以上に,事業者としては答えようがないとは思います。ただ,マニュアルとして書いている理由は,当該事業によって人と自然との触れ合いの活動の場が減ったり利用しにくくなったりすることになるならば,必要な環境保全措置をやりなさいということです。
それから後半部分については,評価書で評価しなさいと言ったとしても評価できないと思います。経験的に言うと,福岡タワーができたときに,随分渡り鳥との関係を心配して,かなりの議論になりましたが,結果的にはそんなに影響を受けていないということがありました。例えばイリオモテヤマネコの写真を撮るときには電気を点けっ放しにしておいた方がよく撮れます。イリオモテヤマネコが来たので,さっと電気を点けると,逃げるということがあります。だから,光そのものというよりも変化の方が生き物に影響を与えます。自動車のヘッドライトが頻繁に点滅するというような状態の方が,むしろ生き物には影響を与えるというのが私の理解であります。
けれども,これは確かに一般の市民感覚から言うとご懸念の面もあるわけですから,やはり事後調査の対象として,夜間照明の影響をさらに広めに調べていただけると,尚いいという気はします。たぶん,そのことによってそんなに大きな影響が生じるというような結論は出てこないだろうと思いますが,確かに今の段階で影響ありませんと言い切る自信はないし,行ってみないとわからない面もあります。
それから,おそらく事業予定地付近は,今後,開発がどんどん集積していくでしょうから,そちらの影響の方が大きいという気もします。九大移転に伴って相当な開発が進んできますので,必ずしも西南のグラウンドだけに全部責任を負わせるわけにもいかないという気もしますが,できれば夜間照明の影響について,調査ができるものなら調査をしていただきたいと思います。この準備書でも鳥の生息状況については,事後調査の対象になっていますから,その中で見ていただくということしかないのではないかという気がします。ご意見としてはよくわかります。
委員人と自然との触れ合いの活動の場に関連して,方法書の審査会において,聞き取りなどで事前の情報を得て行ってくださいという話をしておいたと思いますが,それで,調査期間が方法書では現地踏査1回を4期としたということは評価できます。しかし,バードウォッチングについては,野鳥の会では毎月第一日曜日に定例的にバードウォッチングを行っていますが,一回も同じ日に調査がなされていません。野鳥の会のバードウォッチングというのは,玄洋高校から,まさに西南大学のグラウンドの水田地帯をずっと観察会を行っていますので,現地調査結果は変わると思います。ほかにも,ここの地点というのはいろんな鳥類がいるので,バードウォッチングの場として全国的にも有名な場所ですが,そういう認識がないようなので,そのあたりのところも検討していただきたいと思います。これは要望です。
会長いかがでしょうか。ほかに何かございますか。
委員5-9-4頁の景観のところで,それぞれの眺望点からの評価が5段階でされていますが,これはここを担当された方が評価されたのですか。また,予測の結果の記述では,その結果があまり触れられていないような気がしますが,その点はいかがでしょうか。
事業者まず,眺望点の5段階評価ですが,これは評価書の作成担当者が評価したものでございます。また,この結果を直接的には記載しておりませんが,この評価をもとにして予測の結果を記述しております。
会長ほかに全体を通じて何かご意見ございますか。
委員環境保全ゾーンというのを今回設定されており,これがこの事業の目玉になるような気がします。その環境保全ゾーンの作り方において,調整池の面積のみで,遊水機能を持たせるだけではなく,草地なども遊水機能を持たせることができる場所であると思いますので,必要ならば,ご検討いただきたいと思います。
会長もう少し付け加えますと,別に校地としての利用形態が,校舎を建てる,講義棟などをつくるという利用形態ではない以上,周囲に雨が降ったときに,少しこの中に水がたまるような構造にしておけば,全体の敷地が遊水池的な機能を果たし得るし,要するに雨水の浸透性を高めるというようなことがあるので,そういう点も配慮してほしいというのが,今の委員のご意見だと思います。これはちょっとした工夫でできると思いますから,ご検討ください。
委員今の意見に関連し,この環境影響評価項目には入っていないですが,今言われた地下水への浸透について何も記述がされていませんが,現状は水田ですので,地下水への浸透があります。グラウンド等はそれなりに浸透するような形になると思うので,そういうのをどこかに記述しておく必要があるのではないでしょうか。それが少し気にかかります。
会長もし計算可能なら現況における浸透係数みたいなもので,定量的に表せるならば努力をしてみてください。厳しいようであれば定性的なものでも構いません。他にございますか。よろしいでしょうか。
総じていろいろご意見が出ましたが,前回の方法書の段階で,審査会が出した意見については,比較的よく考えて対応しておられるということは言えると思います。なお,本日,委員から出されました要望があります。どの部分を書面として意見にするかについては会長にご一任をいただくということでよろしいですか。趣旨については,今日,事業者には十分伝わっていると思います。
それから,国の方の環境影響評価の指針の改定が行われて,春先には多分,規則改正が終わると思いますから,それが出ましたら,また委員の皆さんにはお示しすることができると思います。
それでは,今日は,早朝からお集まりいただき,ありがとうございました。これで終わりたいと思います。

閉会