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更新日: 2011年3月9日

福岡市環境影響評価審査会 
議事の要旨 平成14年10月28日



日時 平成14年10月28日午後2時から午後4時15分
開催場所 今宿出張所2F大会議室
議題 西南学院大学 田尻グラウンド(仮称)整備事業環境影響評価方法書
出席者 浅野会長、井上委員、鵜野委員、楠田委員、近藤委員、重松委員、島田委員、薛委員、田村委員、中園委員、久留委員、藤本委員、柳委員(50音順)
会議資料 西南学院大学田尻グラウンド(仮称)整備事業環境影響評価方法書、市民意見の概要、(環境局環境都市推進部環境調整課で閲覧可)


【議事概要】


発言者 発言内容
会長本日は、西南学院大学の田尻グラウンドの整備にかかる方法書の審査となる。方法書は、環境影響評価の実施の中身について予め考え方を示すものであり、これ自体が評価書そのものではない。手戻りをなくして、方法書の段階できちんと調べておき、準備書の段階で後戻りがないようにするというのが方法書の趣旨である。最終的には、当審査会は意見を述べ、それに基づいて市長が意見を述べることとなる。しかし、審査会の意見に基づく市長の意見それ自体が、直ちに法的拘束力をもつというわけではない。もっとも、事業者は、市長意見を十分参考にして、準備書を作れば、次の準備書の審査の段階で、無駄なやりとりをしなくてすむことであるから、事業者は、審査会の意見について、留意して、この後のアセスメントの準備作業を進められたい。それでは方法書の内容とこれまでの手続きについて事務局から簡単に説明をお願いします。
事務局(方法書の概要説明)、市民意見概要の紹介、欠席委員からの意見の紹介。市民意見の概要は次の通り。1. 鳥類では、アカガシラサギなど、植物ではミズオオバコが記載されていない。デンジソウといっているものはナンゴクデンジソウであるというもの。2. 既存資料だけではなく、現地調査が必要であるというもの。3. ナンゴクデンジソウの自生地を存続させる方策を考える必要があるというもの。4. 生態系については、現地調査をもとに総合的な考察をすることが必要であるというもの。5. 大雨の雨水対策を心配するもの。欠席委員からの意見は次の通り。1. 生態系の現況の把握については、デンジソウの現地調査を除き、既存資料で調査することになっているが、現地調査を行わない理由を明確にし、必要に応じて現地調査を行い、その結果も踏まえて予測・評価をすべきである。2. 動物については、工事中の影響に関しての予測項目としては選択されていないが、選択するべきでないか。3. 今津干潟と後背地の重要性を十分考慮した環境評価を行っていただきたい。
会長欠席委員からのご意見は、当日出席の委員の意見とあわせて取り扱いたい。概況について何か質問、意見がありますか。
委員計画地周辺は、今津干潟、水田、ハス田が一体となって、水鳥、渡り鳥、湿地の動物、植物にとっても、景観にとっても重要な場所となっている。方法書の中でも計画地周辺は、生態系の良好な地域、多様な活動の場が多数存在し、福岡アメニティー百選に選定されているなどとある。この計画は、こういった重要な場所の中心地に位置し、計画は自然を喪失させることとなり問題がある。
会長方法書の中の重要性の記述と、後の予測・評価との繋がりが良く分からない構成となっている。
委員方法書に記載されている既存資料以外の既存資料について説明してもらいたい。もう一点は、瑞梅寺川の河口の干潟と水田地帯は、鳥にとっては一体の所なので、満潮時にはこの水田地帯がどう使われているのかというようなもう少し細かいデータを収集しないと、水田地帯がなくなった場合、鳥がどうなるか評価できないと思うので、この辺は現地調査をやってもらいたい。
会長その意見については、欠席委員からも同じ指摘をうけている。
 話が混乱しないように、確認したいが、制度的な欠陥があり、現行制度は総合的なアセスをやっているわけではない。本件計画と新西部水処理センターの計画は全体としてあわせて考えると、かなりのインパクトを与えるとは言えるだろうが、今回のアセス方法書では、西南のグラウンドだけで環境影響を予測・評価しようとしている。委員のみなさんは個々に見ることは困難であると言っている。それを事務局はどう考えるか。
事務局新西部水処理センターはバックグラウンドして、予測、評価すべきだと考える。方法書に記載されている既存資料以外に資料として利用できるものとしては、平成12年度の調査があり、平成13年2月1,2日と3月23,24日にそれぞれ24時間、2時間間隔で、鳥の餌場等、鳥の変化を調査している。調査範囲は干潟の部分と、その西側の水田部分と、干潟の東側の新西部水処理センターと西南グラウンドを含んだ辺りで、干潟にいた鳥が潮の満ち引きに従ってどの様に行動したかについて調査している。
委員2,3月の調査はいいが、その他の季節にシギ、チドリがどう利用しているかわからない。

動物のところでは、既存の資料を使うことになっているが、既存資料の調査時期から5年たっており、水鳥の変化や、都市化もすすんでいることから、5年前の調査結果を使うことは乱暴な気がする。
事務局その既存資料のほかには、アイランドシティのモニタリング結果と平成12年度の今津地区の調査結果がある、それで足りなければ現地調査が必要だと考える。
委員グラウンドのレベルはどういう計画になっているのか。
事業者グラウンドのレベルについては、道路計画が決まっていないので、具体的には定めていない。排水とも関係するので、新西部水処理センターの計画との整合性をとっていきたい。市民意見でも高くしないようにとの意見もあり、県道、進入道路の高さに合わせ、また環境に影響のない範囲内で、考慮した整備をすすめていきたい。
委員レベルよっては、沈下の問題もある。グラウンド施設としてはそれほど荷重がかからないだろうが、地盤沈下の問題についても検討しておいたほうがいい。

今の地盤のレベルが低く、ここには遊水池の機能がある。グラウンドのレベルを浸水しないレベルにまで上げるとすると、多量の降水を排水しないといけなくなる。浸水の問題もあるが、強制的に排水を行うと、今津干潟が干潮か満潮かによって変わるが、今津干潟の塩分の分布が変わり、干潟の生物の塩分環境に大きく作用することがある。排水淡水によるショックが底生生物を含む動物への影響が考えられるので、瑞梅寺川の河口付近を調査すべきである。
会長それでは、次に予測及び評価の手法、評価に入りたい。ここでは、制度上、総合的なアセス評価することはできない建前であるが、バックグラウンドとして新西部水処理センターの計画があるものとして評価せざるを得ないだろう。本件のグラウンドと新西部水処理センターの両方をみるわけにはいかないが、西部水処理センターの計画を踏まえて影響を見ていく。時期的に同時であったとしても、水処理センターを無視するのではなく、前提として考えるということというわけである。
委員調査項目として、本件のグラウンドの場合、夜間照明は入るのか。
事業者現計画では、300ルックス程度の照明の計画がある。
委員後背する水田が、どのくらい必要なのかがあれば考えやすい。自然の保全上、かん水、遊水池の機能を含めて、自然を何割残せればいいのかがあれば、考えやすいが、今津干潟の後背の水田的な湿地環境がどの程度あればいいのかということについて環境局として考えはあるのか。
事務局今津干潟は大事であるとは認識しているが、どういう形で保全するかの計画は、今の段階ではない。今津干潟の背後地には、農業振興地域、農用地区域があり、農用地は、今後とも農地として保存されていくと思われる。今回の用地の周辺には、農業振興地域の農用地でない部分があって、ここが、今後開発されることはありうる。鳥による農地の農作物被害をどうするかという問題もあり、そういったことについては、これから整理していかなければいけない。
委員環境基本法とか環境影響評価法の理念から考えると、あと何割残すという考えはおかしい。まず保全があって、そして回避、どうしても回避できない場合はミティゲーションといって代替するものである。ここに大学のグラウンドをつくることについて疑問がある。
会長これまでの各委員の意見でいわれていることは、既存データだけで十分であるかということである。また、これまで遊水池となってきた所に、土盛りをして土地の形状が変わるわけだが、その結果、例えば排水の結果、干潟の塩分濃度が変わるのではないかという指摘があった。この指摘については、定量的に調べることができるなら、その方がいいと考える。このような観点から他にご意見があればお願いします。
委員和白干潟は、干満の差がある干潟だけで、周辺は市街地になっていて満潮時に鳥の休む場はあまりない。一方、今津干潟では水田地帯が後背地として有効に働いている。生態系の重要な部分を担っている。今回の事業予定区域はどう利用されているのかについて、きちっと把握しなければならない。どんな鳥がいたかということだけでは、予測のときの材料としては足りないのではないか。きちんと現地調査して評価してほしい。
会長どういう鳥がいるかだけではなく、機能面でどういう役割をしているのか、生態系のなかでどういう位置づけか、採餌場であるのか、休息場であるのかを、きちっとみる必要があるということですね。
委員干潟の環境と一体となっていれば、どちらかがダメになれば全体の機能が下がる。どうような比率でどのような使われ方をしているのか、はっきりおさえた方が判断しやすい。
会長それはどうやったら分かるのか。
委員事務局から説明のあった平成12年の調査結果を見て、検討したい。
会長事務局は既存の調査結果を専門の委員に見てもらってください。必要な場合、どのようなミティゲーションを選択するのかという考え方も準備書の中に記載することが望まれる。既存データでだけでは不足だというのが、多くの委員の意見である。グラウンドレベルの問題と遊水池機能があったところを造成したときの影響、生態機能の重要な輪を切るのかどうかということは調べなくてはならない。騒音関係の予測・評価については問題はないか。
委員駐車場が652台分できることになっている。これについては、アクセスルートも含め、騒音環境の環境影響評価が必要である。

かなり大きなグラウンドができ、強い風が吹く場所でもある。グラウンドの砂が舞い上がる可能性がある。これも検討項目に入れた方がよい。

植物の調査は夏季において1日とあるが、複数日の調査が必要である。

景観予測地点選定の根拠は、主要な眺望点からの景観となっているが、グラウンドいえども600台の駐車場となれば異様な光景だと思う。景観の評価はむずかしいとは思うが、これは景観上よくないとかいいとかどう判断するのがいいのだろうか。
会長従来からフォトモンタージュ法でいっているが、この場所が平坦地であるので、はたして、フォトモンタージュ法でいいかどうか。
委員バックネットも景観の要素として考えないといけない。地点もふやす必要があるのではないか。
委員フォトモンタージュ法では現況の写真のなかでどう見えるかであり、よくなるかどうかではなくて、評価側の判断がなければ、いくら地点を増やしても仕方がない。高さを制限しようとか、色を統一しようとかいう判断がなければいけない。
委員眺望点から眺めた景色の中に、どう映るかを検討する手法だが、本来、景観というのは、土地利用そのものである。
会長もっと違う手法があっていいような気がするが。
委員今のやり方は一点から眺めとして捉える狭義の景観の手法ですね。

人と自然の触れ合いの活動の場についても、年に1回しか調査しないというのはよくない。春夏秋冬、ゴールデンウィークとそれ以外で使われ方が違う。季節を考える必要がある。
会長今津運動公園の調査と本件事業による人と自然とのふれあいへの影響とがどうつながるのかわからない。
ここまでの意見をまとめると、もう少し広域的な生態系の調査が必要であること、騒音に関しては、車がこれだけ集まるということであれば、供用開始後の調査も必要であるということと、グラウンドからでてくる砂塵による予測も必要であるということ、鳥の生息場所であることを考えると鳥と照明との関係も検討しておく必要があるということ。これは事例調査でいいのでやっておくべきであるということになるか。
委員照明に関しては、稲に対する影響も調べておく必要がある。稲は短日植物なので、照明が煌々としていれば稲に対する影響も考えられる。

鳥の飛翔に対するネットの影響も心配される。
会長どのくらいの高さまでが鳥の飛翔に対して影響がないかというようなことは分かるのか。
委員周りに学校や今津運動公園もあり、そこにはネットがあるので、その高さと計画しているグラウンドのネットの高さを調査してみればいいのではないか。

今度のネットは内陸部に計画されている。どの場所にあるかも問題である。
会長ネットの鳥に対する影響については見る必要があるのではないか。基準があるわけではないので、事例によって判断することになるかもしれない。
委員ふれあいの場の選定はもっと計画地の近くでとるべきである。人と自然の触れ合いは計画地域の中で見ていくべきではないか。現地調査1回では少ないのではないか。
会長なぜ方法書で記載されている地点を調査しなければいけないのかについては疑問である。
委員行政や科学者は、長い時間軸で将来を見通して物事を判断する役割を担っている。これからのゆとり、生涯学習や青少年のボランティア活動などを考えると、広々とした田園地帯、そこに生息する生物とふれあいの場の貴重な場所であるので、科学者、行政は残すかどうかの判断をする義務を負っている。

低地の排水が、従前の排水機能を果たさないときは、どこが責任をもって排水するのか。
事務局下水道局になるだろう。
会長アセスの側でも環境負荷を与えるかどうかについては考えなければならないだろう。
委員傾斜地を開発するときには、調整池とか沈砂池を設けるが、平坦地であれば要らないのか。

山の調整池の場合は、一気に流れないように、いったん調整池にためこんで、ゆっくり排水するが、それの平地版みたいなものがないのか。

これまでの遊水機能と同じ物を敷地内に作ることは考えられないのか。

遊水池の機能は他に対する影響、排水機能は、自分のところへの影響。雨の日はグラウンドは使わないだろうから、数時間水没してもいいということで造る考えもある。
会長瑞梅寺川河口の塩分濃度の変化を含めて調査することが必要であるということだろうか。
委員第3章の第3節は廃棄物と公害苦情の概況となっているが、第3章は、周辺地域の概況を書くところなので、ここの北側には、今津埋立場があって、以前埋立を行っていたというようなことを書いておくべきである。
会長廃棄物の予測の手法で、どういう廃棄物の予測をしようとしているのか不明である。他方、地球温暖化については予測・評価の項目に選定されていないが、選定すべきではないか。
委員事業計画の箇所には、できれば園路、緑地が何%あるか記載してほしい。施設概要についてももっと具体的に書いてほしい。観客席は考えられているのか。車の台数は細かく書いてあるが、年間の使用人数は書かれていない。

計画では周辺に緑らしきものが植えられているだけで、失われるものに対する補償が計画されていない。植える木についても整備方法によってはその種類が制限されるが、それを把握しているのか疑問に感じる。
会長欠席委員から出された意見の中に、動物について工事中の予測評価をして欲しいというのがあるが、この件について何かありますか。
委員シギ、チドリの移動時期に、土砂入れすれば、相当影響が出てくるかもしれない。
会長工事期間の慎重な選定が必要ということですね。今日の議論を踏まえて、他に意見として取り入れたいことがあれば、来週の火曜日までにいただきたい。今回議論した内容は方法書に対する意見なので、今日の意見が全部入ることにはならないが、方法書に対しての意見書は私の方でとりまとめて意見を作りたいがよろしいか。
委員方法書に記載されている計画図は固まったものか、それとも緑地、環境教育の場などの話を聞いて、施設を縮小したり、土地利用計画の変更がありうるものか、これだけの施設を必ず造らないといけないものか。
事業者現在、地形測量が完了したところで、地権者との境界測量を行っているところで、この任意の縮尺の上に機能面をふまえて施設の配置を図におとしている段階である。
会長他にご意見がなければ、本日はこれにて終了します。