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更新日:2017年6月5日

平成29年度第1回福岡市環境影響評価審査会 議事の要旨
平成29年4月24日

日時

平成29年4月24日(月曜日)午後3時00分~午後4時30分



場所

九州大学箱崎キャンパス 旧工学部3階第1会議室



議題

  1. 九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業に係る環境影響評価方法書について
  2. その他

出席者

浅野委員,尾崎委員,鬼倉委員,小野委員,尾本委員,川口委員,坂井委員,佐々木喜美代委員,笹木委員,
佐々木浩委員,勢一委員,田中委員,津田委員,野上委員,原田委員,藤本委員,二渡委員,山田委員(50音順)



会議資料

  • 資 料1 九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業に係る環境影響評価方法書
  • 資 料2 九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業事業の概要及び方法書に係る住民等意見の概要
  • 資 料3 九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業に係る環境影響評価方法書 論点整理資料
  • 参考資料1 福岡市環境影響評価審査会委員名簿・規則
  • 参考資料2 九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業に係る環境影響評価の手続き
  • 参考資料3 九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業に係る環境影響評価方法書のあらまし



【議事要旨】

議題1 九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業に係る環境影響評価方法書について


会長

それでは,ただいま事務局から,方法書の内容と論点についての説明がございました。生態系について,ご発言があればお願いいたします。


委員

専門家からテングコウモリについてコメントがありましたので,そういった種が見つかる可能性があれば,バットディテクターの使用やハープトラップその他で捕獲といったことが必要になると思います。状況に応じた調査をしていただければありがたいと思います。
あと,理学部の圃場も調査地点に入れるのが自然と思いますが,選定していない理由は何でしょうか。
あとはアセスとは離れますが,こういった都心での大事業ですので,スマート・タウンだとかライフサイクル・アセスメントとかいったことも,少し念頭に置いていただければありがたいです。
以上です。


会長

今のご指摘のうち,理学部圃場を対象にしていない理由について,事業者から何か説明がありますか。


受託者

理学部圃場につきましては,動植物調査の定点としては入れておりませんが,調査ルートには入れております。


会長

ルート調査の対象にはしているということですが,委員のご意見はどうですか。


委員

本来ですと,捕獲その他も含めたほかの調査地点と同様の扱いがベターだと思います。必ずしもしなければいけないとは思わないのですが,ご検討いただいてもいいかと思います。


会長

位置関係から見て特に調べる必要がありそうなところがございますか。


委員

一箇所だけ離れて内側にございまして,今までの調査ポイントはJRの線路側に3ポイントありましたので,やはり内側に1ポイントあったほうがいいのではないかと思います。


会長

わかりました。


それでは,人と自然の触れ合いに関して,どうぞ。


委員

人と自然との触れ合いの活動の場ということで,資料3の27ページのところでご指摘,論点として提示がありました。貝塚公園を地域の人たちがどのように活用しているのかが重要だと思いますので,調査に加える必要があるのではないかと思いました。
あわせて,今回方法書に関する住民等の意見で,意見数がわずか2通しか出ていないことが気になりました。もちろん,方法書の後の手続でとお考えの住民の方もいらっしゃるかもしれませんが,やはり,公園等を含めた地域の利用状況を把握するという点では,住民の意見は非常に重要ですし,また,動植物とのかかわり,特に希少種のクロツラヘラサギなどは住民や地域で保護活動などをしておりますので,そういうところが把握している情報をきちんと受けとめるという点でも,やはり住民の意見聴取をもう少し活発にできるような工夫を次の段階でしていただけるようにお願いをしたいと思います。
以上です。


会長

人と自然との触れ合いという切り口でしか今のアセスは考えていませんが,公園の利用状況について調べるべきということと,人と自然の触れ合いという切り口の議論とのつながりを問われたときにどう答えればいいですか。


委員

公園の利用状況と自然との触れ合いですが,公園といっても,貝塚公園は木々がたくさんありましたし,そういうところで身近に自然と触れ合うという意味では,舗装をされた建物等が多い地域の中では貴重な場所の一つだと思います。そういう点では公園自体をどう利用しているのかという点も含めて,把握した上で検討する必要があると思います。


会長

ありがとうございました。貝塚公園の面積の一部を他の場所に移すという説明がありました。一定面積を移すということは規模が小さくなるということですから,それで影響が出てくる。その分が新たな移転先の公園の整備によって十分に賄えるかどうかという問題が出てくるというのが今の委員の問題意識ということでいいですね。


委員

はい,そうです。


会長

わかりました。
それでは,同じ点について,どうぞ。


委員

済みません。まさに今も言われたのですが,私も,貝塚公園は東区の人たちにとってはとてもなじみのある公園ではないかと思いました。遠足で使われていたり,桜の名所になって近くの人が遊びに来たり,国道3号線を越えたところにマンションが多数存在していて,その住民の憩いの場にもなっているのではないかと思いました。また,移設するにしても,桜の木を動かすのは難しいとも思いました。ですので,現在の貝塚公園のよさ,植生などを活かした公園ができるのだろうかということも気になります。
六本松キャンパス跡地に建物が建っているのを見て,昔は立派な桜があったなと思うのです。しかし,今は建物が壁のように建っており,もっと既存の植生,植栽を活かすべきだったのではないかということも感じましたので,もし今のものを活かせるのであれば,活かしてほしいと思いました。
それともう一つ。アセスと関係あるのか,ないのかわからないですが,スマート・イーストというのはアイランドシティや千早,九大のことも含めたものだと伺っていますが,スマート・タウンだけではなく,自然のものを生かす,スマート・イーストとネイチャー・イーストとのような,そういう二つの最先端と自然,どちらも大切だということで,新しくつくるまちでもネイチャー・イースト,自然を生かしたまちづくりができれば,新しい福岡市の魅力になるのではないかと思います。


会長

今の指摘をお聞きして改めて思うことは,計画は単に面積の数字合わせだけで都市計画的に発想をしているのではないかという疑問です。事業者である福岡市から,この点を含めて何かコメントがありますか。


事業者

まず,貝塚公園については4ヘクタールございますが,現在の公園の部分に一部を残しながら,もともと公園がないキャンパスの南側のエリアにも配置しようとおおむね考えています。その中で,具体的な土地利用等を検討しておりますが,単に公園を配置するだけではなく,その公園と公園をつないでいく,キャンパスの中をずっと通っていくような,歩みの軸と私どもは言っておりますが,そういう空間も検討しようとしています。そういうふうに歩行者空間と緑空間のネットワークといった視点でも,土地利用を考ようとしているところでございます。


委員

これだけの大規模開発をこれだけ時間をかけてやるというのは,福岡市にとって,すごく大きなチャンスになると思います。そのときに何を開発すべきなのかと,もう一つは何を残すべきなのかということを議論すべきではないかと思います。
先ほども委員が言われたように,市民へのアピールというのが,質問が2件しかないのはやはり告知不足だと思いますし,もっと積極的に意見をとりにいくという仕組みまで考えて,議論をしながら考えることが必要ではないでしょうか。ほんとうに東区の新しいまち,アイランドシティや千早,九大キャンパスが一緒にイメージアップするためには,鳥のまちづくりというか,アイランドシティでもやられていて,まさに九大キャンパスと多々良川など,一緒に魅力づくりを考える。鳥の専門家や植物の専門家などに意見をお聞きするにしても,今から福岡市民を巻き込んで考えても遅くはないと改めて思いました。


会長

ありがとうございます。方法書の審査の話からはみ出している感じがないわけでもありません。しかしながら,貝塚公園の再整備の計画ついてしっかり地域と合意形成しておかないといけない。現在の貝塚公園の周辺住民が,新しく南にできる公園まで出かける可能性は低いでしょうから,なぜ公園がなくなってしまうのかといった議論になると,事業が反対に巻き込まれるおそれがありますので,それが心配です。今のお二方の委員のご意見はそういうことですから,今貝塚公園がどういう使われ方をしているのかをよく調べておいて,その機能はほとんど失われませんという説明を説得力もってできるようにしておく必要がある,例えば桜の木はちゃんと残っているので花見はできますよという類いの話が必要だろうと思います。


委員

済みません,関連して。貝塚公園は,今から高齢の公園利用者が多くなってくる,特に近くの高齢者の方が多くなるので,高齢者にとってどんな公園がいいのかを考慮に入れるべきではないかと思いました。


事業者

よろしいですか。今,地域の意見をもっと聞いて進めていったほうがいいという話をいただいたと思いますので,これまでの取り組みを少しご説明させていただきます。方法書の5ページ以降に土地利用の方針や,土地利用計画の案を掲載しております。
私どもは,九州大学と福岡市とで跡地利用計画というのを平成27年3月にまとめております。これは地元のキャンパス周辺の4校区の地元の代表の方々,あるいは経済界,学識の先生などが入った跡地利用協議会を設置して,その場で議論をしながらまとめてきて,それを踏まえて,さらに具体的な跡地利用を検討しています。
先ほどの公園の部分の話についても地域の方々からは,貝塚公園を含めて緑を大切にしてほしいだとか,キャンパス内の樹木もうまく利活用してほしいといったご意見等もいただきながら,現在大きく,公園をこういう配置にしながら,これを結ぶ,緑道ではないですけれども,歩行者動線を確保しながら,少しずつではありますが地域の皆さんの意見を聞きながら進めています。
引き続き,案の具体化に向けて地域の皆さんにしっかりご説明して,合意形成を図りながら進めていきたいと考えております。
以上でございます。

会長

ありがとうございました。今のような経過は十分承知の上で,その上で懸念している点を言っています。あの協議会で議論した結論について別の場で議論してみると,やはりいろんな意見が出てきます。協議会メンバーが必ずしも代表性があるとは言えない面があります。ミニローカルな話とマクロで考える場合は違うのです。マクロで考えることができる人が考えても,ミニローカルの世界の人は納得しないこともあるのです。その辺を心配しているということです。


事業者

わかりました。


会長

それでは,廃棄物について,どうぞ。


委員

廃棄物について,今回,有害物質に関して配慮したほうがいいという論点整理をされていますが,残土のほうも,確かに土壌汚染対策法にのっとって対策をされると思うのですが,例えば,対策をした後に掘ることも工事の都合上,あるかもしれません。どういう建物をどうするかとかがまだ決まっていない段階ですので,できれば残土のほうも,アスベストはあまりないと思いますが,重金属等の有害物質に関しては,同じような形で混入しないように配慮するということを少し加えてほしいというのが1点です。
それから,リサイクルの中での基準や県や市の目標などとの整合性はとらない,何もしないと方法書に書いてありますが,現況について記載されているところでは県や市の循環利用に関する目標が記載されていますので,できるだけ整合性を図る形にしてください。この2点です。
以上です。


会長

ありがとうございました。
今の点はよろしいですね。アスベストの話が事務局から出ていますが,廃棄物関連との関係での議論はできますね。


委員

そうですね。


会長

下手な解体だと廃棄物のところに完全に影響しますので,それとの関係できちんと議論することができそうですが,重金属類混入というのは同じような文脈で考えることができるのでしょうか。


委員

はい。こちらはアスベストではなくて残土に係る重金属という形でお願いします。


会長

重金属類ですね。それもやはり解体作業のやり方をしっかりコントロールしておかないと危ないという理解ですね。


委員

はい。ほんとうはこうしなさいと言われていても,していない,できていないケースというのをつかれるとよくないので,出ていく残土に関してもチェック体制があったほうがいいのではないかと思っています。


会長

わかりました。それでは,温室効果ガスについてはいかがでしょう。


委員

資料3の最後のページになるかと思います。特段,この事業だからという内容にはなってないかと思いますが,方法書の基本方針をみると,工事での温暖化ガスの排出についてある程度考慮する,配慮するということが書かれているかと思います。ただ,実際の量的なことは準備書の段階である程度の数字が出てくるのかと思いますが,それをどう評価するかというところは,一つは市の地域推進計画等との整合性が図られているかを評価するという手法が説明されていますので,それが一つの方法になるかと思います。
あとは,工事の実施にあたり何も配慮しないときの排出量に比べて,こういうことを配慮すれば何%の削減になりますということを,少しでもうたっていただければと今の段階では思います。
以上です。


会長

工法でもどういう配慮ができるかについて検討してほしいということですね。


委員

はい。


会長

わかりました。この事業のアセスは上物についてやるわけではないので,上物との関係を考えるとものすごくやりづらいですね。しかし,将来のことを考えるならばこの再開発によって作られるインフラ施設をどうしていくかという大きな問題がありますが,現行制度ではなかなかそこまで踏みこんだ議論のしようがないですね。
それでは,現行アセス制度の中心的な部分に入りたいと思います。大気質について何かご意見がありますか。


委員

大気質に関してですが,一番問題になるのは,論点の部分に書かれているように造成工事の実施のときにどう掘り返すかです。この場合は単純に何か年平均が1個だけ出てくるわけでなくて,これだけ広い区域を工事するので,どの場所を施工するかによって影響は変わります。例えばこれに匹敵するのは,福岡空港滑走路増設事業のときは造成のおおむねのスケジュールを想定して,その敷地周囲の3から4地点について,大気汚染物質濃度がどう変化するのかと。要するに,年によってどの近くを工事するかが異なりますから,例えば,住民の方にとっては,自分が住んでいる地域に近いところはどういうパターンになるのかがわかるということです。
あとは,ある場所で重機が集中して動いており,気象条件が非常に悪いときに最大でどのくらいになるのかということもあわせて押さえる必要があると思います。だから,造成工事のスケジュールと建設機械がどう動くのかについて,もちろん完全な想定はできないと思いますが,幾つか典型的なパターンを想定して,短期の場合はワーストケースを押さえて,それでもこれぐらいの影響になりますよと示せば,その近くに住んでいる方は十分納得できると思いますので,そのあたりを考慮していただければと思います。
以上です。


会長

ありがとうございました。最大ピーク時でどのぐらいの機器が入り込むのですか。これだけの面積を同時に施工するわけではありませんよね。


事業者

おっしゃるとおりです。工事自体は,都市計画道路の整備,それに伴う地下埋設物,周りの道路の拡幅等もございます。合わせて4カ年程度かかると考えておりますので,今先生がおっしゃるようにポイント,ポイントでないと,風向きも違いますし,裸地のままなのか,落ちつかせるために多少は植生を施すのかといった条件が違いますので,広い範囲に調査ポイントを設けたほうがいいと思っているところです。


会長

騒音も同じような状況であると思いますが,いかがでしょうか。


委員

全く同じことで,発生源から距離が離れれば減衰していきますので,大気汚染より騒音・振動のほうがよりローカルになります。そのため,工事の内容やスケジュールをある程度絞った段階でないと予測できないと思います。今申し上げておきたいことは,事務局が論点の中に書いていますように,様々な箇所で工事を同時に行うと,より望ましくないと思いますので,周辺環境への影響が小さくなるよううまく整理をしていただきたいと思います。
それから,3号線からこちらに出入りするのが小松門の1カ所で,既に解体工事が行われていて,現状では大きな問題ではないと思いますが,工事の規模がより大きくなったときに,あの1カ所だけで出入りしたとき,騒音・振動だけでなく交通渋滞の発生が心配です。これは調査・評価項目の中に直接出てくるものではありませんが,同時に多くの工事関係車両が出入りしないように,上手に交通整理することが大事かと思います。
以上です。


委員

私も,今おっしゃったことと同じ考えです。これだけ大規模な長期にわたる工事なので,この影響を1つの予測値だけで評価しても,説得力が低下するばかりだと思います。論点整理していただいて,建設機械の稼働率が最大になる時期と言われても,それが複数回あったり,ローカルには,ここでは最大でもこちらは影響は小さいなど,いろいろなパターンがあると思うので,それをどう整理していくかが問題になると思います。大気質と同じで短期的なもの,長期的なもので,ほんとうは時系列が示せるといいとは思いますが,4年にわたる工事に1つの予測値では厳しいと思います。
また,先ほどのお話ともつながりますが,現在は解体工事が大分進んでいて,これから工事のスケール感がどれぐらいアップするのかを知りたいと思います。もっとうるさくなるのか,台数も増えるのかといった計画については。


事業者

現在は杭打機が入ったりしていますが,騒音はほとんどしなかったと思います。今は低騒音,低振動の機械が結構発達しています。お近くの道路工事もそうだと思いますが,それを使うように国からも指示がありますので,いろいろなところで動いてはいても,例えば飛行機の音よりも大きいことは絶対にありません。それと,先ほど,小松門の1カ所しか出入口がないから交通整理が大事だという話がありました。若久団地の建て替え工事の際に,あそこも出入口が1カ所しかありませんでしたが,信号のあるT字路が一つなので渋滞が起きないように,工事業者と打ち合わせをして,場内にダンプが待機して,信号や渋滞の状況を見ながら,ガードマンが交通整理をしておりまして,その点では周辺住民の方からは感謝されております。
今回も小松門の1カ所,それと,サブをどこかに設けるかもしれませんけれども周辺の渋滞状況などを加味しながら,それと通学路であれば朝の通学時間を避けてダンプを出し入れするというやり方を考えているところです。


委員

ありがとうございます。


会長

よろしいですか。多少のノウハウをお持ちだということで,少し安心しました。
それでは,次は水質についてはいかがですか。


委員

私が一番気にしたのは,工事土砂の流出です。特にゲリラ豪雨で予想しない大雨が降り,それに伴う流出が問題になるかと思います。実際に伊都キャンパスの造成の中で,かなり土砂流出が激しく,伊都キャンパス内の調整池などにも多量に堆積したということがありました。箱崎キャンパスの場合は多々良川や博多湾も近く,影響負荷が非常に大きいところですので,工事土砂の流出防止に関しては想定範囲外の雨量についての対応も強く望みたいところです。
あと,地下水に関しては私の専門ではないのですが,観測井戸等でモニタリングをされていると思います。これまでの実績として,このあたりの地下水の流動の解析,シミュレーションなどを行って,その結果を踏まえた影響評価をやろうとしているのでしょうか,そのあたりを教えていただければと思います。
もう1点,水質絡みで言いますと,下水,汚水処理のあたりはどのような対応をされるのでしょうか。例えば,西のほうでは西部水処理センターだけでは処理能力を超えるということで,もう一つ新しく処理施設が整備されましたが,それも踏まえて箱崎キャンパス跡地の基盤整備をされていくのでしょうかということです。
水環境の立場としては,いわゆる大雨に対する洪水や,生活排水の処理について十二分に対応していただきたいと思っております。
以上です。


会長

ありがとうございました。最後の点は工事中の影響ではなく,供用後の上物ができた後ということですね。


委員

そうですね。


会長

これはアセスで扱うことでないにせよ,心配ではありますね。事業者である福岡市住宅都市局は,その点は大丈夫だと見ておられますか。


事業者

1点,汚水につきましては,伊都キャンパスなどのように市街化調整区域を新規に市街化区域に編入して造成する際には,雨水の処理も汚水の処理もゼロから構築する必要がありますが,こちらは既に市街化区域内にございますので,汚水については周辺の管網をもって処理できると聞いております。また,この周辺地域は汚水と雨水を一緒に処理する合流式になっていますが,ここでは分流式で処理するという方針で今のところ進めております。また,多々良川が近いということもありまして,雨水の処理につきましても,特に洪水調整池を設ける必要はないと聞いております。


会長

よろしいですか。


委員

はい。


会長

それでは,土壌も含めて地下水について,どうぞ。


委員

私からは旧工学部2号館の汚染土壌の件でご質問したいと思います。ここを190区画に分けられて,そのうちの50区画が水銀汚染であるとか,13区画でヒ素汚染がある,それから六価クロム,鉛汚染なども見つかっており,汚染土壌については洗浄処理施設で対応する方針が示されているということですが,具体的にどういう洗浄方法なのでしょうか。


九州大学

洗浄の方法につきましては,現在は業者選定をしており,それが確定しなければ詳細な内容はご説明できません。業者についての審議を学内で進めているところです。
以上です。


委員

水銀と鉛は陽イオン,ヒ素と六価クロムは陰イオンです。これらをどういうふうにして取り除いていくのでしょうか。いずれも重金属なので最終的に分解するわけではありませんから,どこかに濃縮するという操作になると思います。その後,高濃度重金属汚染土壌をどのように,どこへ持っていくのでしょうか。旧工学部2号館の例が出ていますが,まだ,実験系の建物が残っているところが多くありますので,同様の調査をして,同様の対策をしていくことになると思います。例えば,アルカリ処理して陰イオンを除去する場合は,濃縮されたものを外に持ち出すと思いますが,それ以外の成分は,濃度は薄くとも溶出しやすくなっている可能性もあると思います。ですので,処理法の中身について見る機会が欲しいと思います。
以上です。


会長

土壌汚染については心配な点があります。福岡市やURが実施するこの事業そのものは,それは処理済みという前提ではありますが,土壌汚染対策法は完全に浄化することを義務付けるものではありません。適切に管理して人の健康影響が生じないよう義務付けている法ですし,再開発後にここにできる建物が頻繁に建てかえられるなら別ですが,インフラとして完成後50年,60年利用されるのであれば,汚染の内容にもよりますが,上手に封じ込めるということも考えられます。地下水汚染のおそれがないのであれば,封じ込めたほうがいいかもしれません。
それを全て九州大学の責任で浄化して,それから事業者に引き渡すという計画ですが,果たしてうまくいくのでしょうか。事業の期限が決まっているのであれば,かなり無理をすることになるのではないかという心配があります。土地を売る側としては,土壌汚染は全て浄化したので何の問題もありません,と言いたいところかと思いますが,計画が10年,20年,30年延びることも有り得るのではないでしょうか。それより,最初からどういうものをつくるかをはっきり決めておいて,汚染が外部に広がらないよう適切に管理するという方が,よほどコストも安いし,安心できるということがあるかもしれません。福岡市住宅都市局は,事業の全体をハンドリングする立場から,どう考えていますか。
将来的に期限に間に合わなくなって何とかしなければならないということになって,事業の計画が変わるのであれば,それまでのアセスが無効になる可能性があると思います。そうであれば,今から考えておいたほうがよいかもしれません。
先々,箱崎キャンパスの土壌調査を続けていって,全部同じ程度の汚染が出てくる保証はないでしょう。アセスの側から言うと,非常に気になる事柄ですし,最初に考えておいたほうが良いと思いますが,いかがですか。


事業者

持ち帰り検討いたします。


事業者

済みません,私のほうからもう一つ。今,会長がおっしゃったように汚染土壌の封じ込めとか覆土というのがあります。例えば,公園などはそのような手段を使うとほんとうに安くできます。あともう一つ,今つくっている建物の杭を引き抜くとどうなるか。例えば,砂地なので地盤が緩むことがあり得ます。道路の下とかは難しいかもしれませんが,ゆくゆく事業者さんに譲渡する部分については,例えばここにはどれだけ杭があるという情報を示したうえで公募するのも一つなのかなと思っています。これについてはいろいろな法律が絡んできますので,また関係する福岡市の部局と調整しながら進めたいと思っています。


会長

それでは,次に進みたいと思います。植物についてはいかがでしょう。


委員

方法書の中では,植物に関しては,イソホウキギ等7種が特に既存資料でいわゆる留意すべき種となっていますが,今回の論点整理資料の中にも書いていますように,専門家のヒアリングで重要な種が生息している可能性もございますし,また,地域別のエリア面積の検討もあるということですので,特に希少種といいますか,重要な種に関しては再度調査していただけたらと思いますし,希少な種に関しては動かすことも検討すると書いていますが,植物の種によっては,土性――土の種類や生態的な条件とかによってなじむ場合とそうではない場合がありますので,時間的な余裕を持ちながら計画すべきであろうと考えます。
以上です。


会長

ありがとうございます。別の委員からどうぞ。


委員

私が一番心配なのは,中に樹木がたくさんありますので,基盤整備が樹木に何らかの大きな影響を与えることは避けてもらいたいと考えています。農学部の森林系の先生の情報で,キャンパス内の樹木は全て名前もわかっていると思いますので,重要種などの情報は研究室によって持っていると思いますので,十分打ち合わせをしていただいて,なるべく影響を避け,場合によっては保存するような対策を検討してください。
それは樹木の場合ですが,水生植物については私も少し情報を持っていますので,相談していただければ,お力になれるかと思います。
もちろん,上に何が建つかということと大きな関係がありますから,この基盤整備事業の中で言うのは難しいですが,論点整理に書いてありますように,貝塚公園も含めて,なるべく樹木は残すような形で進めていただきたいというのが私の希望です。
以上です。


会長

ありがとうございました。それでは次に,水生動物についてどうぞ。


委員

水生動物という視点では,環境影響評価方法書については,水生生物の生息環境への影響評価の方法は概ね妥当だと思っています。ただ,1点気になっているのは,多々良川の場合は魚類の保全だけでなく様々な面で干潟が重要なのですが,濁水発生によって干潟にシルトが堆積するとが問題になってくると思います。しかし,シルトがたまる原因は濁水だけではなく,河川の出水などで上流から土砂が流出して干潟に堆積するということも起こり得ますので,その切り分けが出来るように調査計画を検討する必要があると思っています。河川流量などもしっかりとチェックしておかないと,事業着手後に干潟の上にシルトが堆積して,例えばエドハゼが消失したような場合,この事業の影響であると指摘される可能性があります。でも実は,例えば50分の1確率の出水によって土砂が大量に流入したために一時的に魚が姿を消したということもあり得ますので,そのようなデータもしっかり調査しておくことが必要だろうと思っています。
あと,河口域に干潟が出る博多湾への流入河川はそう多くありません。しっかりした干潟が出るのは多々良川と瑞梅寺川ぐらいで,クロツラヘラサギが飛来することもあります。そういうところはベントスだけでなく魚類も非常に多様です。そのような見方をしたときに,今せっかくこういう開発の計画があるのですが―,多々良川の左岸側は水辺へのアクセスが悪く,そこで自然観察会をやりたくても難しい状態です。今日,公園のお話も出ていましたが,そのようなことも少しイメージしていただけるとすごくいいと思います。また,将来的に水辺の利活用がどう変化していくのかなどがわかるようなデータがとれたらいい良いのではないでしょうか。
以上です。


会長

ありがとうございました。
どちらの事業者にやっていただくかの問題がありますが,今言われたように異常な降雨によって起こったことと,この工事によって起こったことが不明な状態で,環境の変化が工事の影響だと言われないようにきちんと予防策を講じるというのはいいアドバイスだと思います。多々良川についてどこまで既存の情報があって,どこが足りないかというのは見ておいたほうがいいかもしれません。その辺はいかがですか。


事業者

今の段階で豪雨時における調査というのは検討しておらず,その時点での調査というのも必要に応じて追加して,干潟の形状等は調査に入れておりますので,干潟の変化についても準備書段階で示したいと思います。


会長

それでは,鳥類についてどうぞ。


委員

野鳥の関係では,年5回,しっかりラインセンサスで調査することになっておりますので,よろしくお願いしたいと思っておりますが,実は時期によっては,昼間調査しても意味がない場合があります。移動時期の関係で,夜間調査が必要になる場合もありますし,干潮時に見るのと満潮時に見るのは,全く意味合いが違います。クロツラヘラサギが採餌していましたが,おそらく,和白のほうにも行っているのではないかと思います。これは潮が満ちてきたら多々良川の中州に入ることが十分にあり得ますので,潮の位置と,渡りの時期の関係では,春と秋の渡りの時期は夜に渡っている鳥が随分いますので,その辺も調査していただければ非常にありがたいと思います。
以上です。


会長

それでは,陸域の生態系についてどうぞ。


委員

生態系,特に昆虫も私はやっておりますので,そこら辺に関してコメントいたします。重要な昆虫種ということで,ミカドアゲハやトンボ類が確認されていますが,これらはきれいな飛ぶ昆虫で,比較的大型なので確認もしやすいということで,指標生物としてはいいと思いますが,昆虫類の多くは小さくて数が多いものが多いのです。むしろこのチョウやトンボのように移動能力のあるものは,環境が悪くなっても,移動先として適したところがあれば,ほかに飛んでいける可能性があります。むしろ問題なのは,特定の生息地にいる移動能力があまりない小さな昆虫など小動物類は,一度生息環境を破壊されるとどうしようもないということが一番危惧されます。福岡空港の滑走路増設のときも湿地でしか産卵できないような希少な昆虫が見つかったのですが,今回,そのような水辺での調査地点が設定されていないこと気になりました。もちろんシラミ潰しに調べる必要はありませんが,典型的なハビタットに生息する昆虫をある程度カバーしたモニタリングが必要ではないでしょうか。ここでは調査地として森が2地点選定されていますが,それに加えて,河川敷の植生で昆虫類が見つかることが多いので,そのようなところも調査地点に加えたらいいと思います。


会長

具体的には事業区域のどのあたりを想定しておられますか。


委員

箱崎中学校のところは写真では河川敷に植生があまりないようなので,むしろ宇美川の魚類,底生動物,汽水域の環境で4になっている地点がいいのではないかと思います。


会長

その辺りの昆虫を調査することによって事業の影響を把握できるという因果関係は説明できますか。


委員

事業実施区域と距離が少しありますが,この河川敷は箱崎中学校までずっと続いていると考えると,そこを一つのハビタットとしたときの代表地点という形でどこか1点調査したらいいかと思います。


会長

この地点で計画されている調査は,魚類と底生動物だけですね。今のご要望は,それに加えて昆虫類も見てほしいということですか。


委員

そうですね。


委員

今のお話を後押しするような話ですが,底生動物調査の中でハンミョウの仲間がとれる可能性があるのではないでしょうか。そういう意味で,この地点で昆虫をしっかり調査してくださいと言われているのだと思います。護岸や,礫の傾斜が少し出ていて,ヨシが群生して塩性湿地の植生が結構出ているので,特別なハンミョウの仲間などが出てくる可能性があると思いますので,ぜひ検討していただきたいと思います。


会長

よろしいですか。


事業者

かしこまりました。


会長

それでは,水域の生態系についてどうぞ。


委員

やはり水系の生態系として心配なのは濁水です。濁水の処理は,仮設沈砂池で処理し,その後公共下水道に流すと書かれていますが,仮設沈砂池の性能や,分流式で処理するという説明がありましたが,再度,大丈夫かどうかをご検討いただければ幸いです。


事業者

工事の際に発生する水については産廃として処理すべきものと雨水で処理できるものとがありますので,沈砂池の詳細が決まった時点で慎重に取り扱いたいと思います。


委員

わかりました。私が心配しているのはSS成分で,ここで砂として沈積するものはいいのですが,表面に浮いて流出するもの,それが先ほどのお話しにもありました干潟を埋める浮泥になりますので,そういったことをご留意くださいという一つのお願いです。
あとはメダカですが,方法書の217ページに出てまいります。217ページにメダカは動物種の特殊性の種とされております。その分布が204ページに,ミナミメダカという名称でしめされております。このメダカですが,確認地点がよくわかりません。メダカというのはどちらかというと淡水産種ですよね。淡水産種か汽水産種がいると。メダカの確認地点は伏せておられるのかもしれませんが,なぜ特殊性の種として掲げられたのかが不鮮明なのですが,ご説明いただけますか。


事業者

メダカの確認情報は福岡市の環境配慮指針から引用したものです。細かいポイントは明記しておらず,このメッシュの中のどこかでミナミメダカが確認されたという調査結果でございます。
特殊性として記載されている点でございますが,こちらは上位性や典型性に入れられないということで,特殊性のほうに今回は入れております。


委員

メダカは現在日本では,福岡県でも,貴重種の一つになっております。その意味でメダカを保全,保護していこうという考えでこれを書かれたのでしょうか。


事業者

そうです。今回調査をいたしまして,今後,準備書段階で調査結果をお出しして,環境保全措置についてはまたその段階で必要があれば検討していくということで考えております。


委員

それで,メダカを調査して発見できた場所ですけれども,メッシュで書かれてわからないということでしたが,調査地点としてはどこを設定されるのでしょうか。ここに書かれている調査地点の付近一帯を調査する,メッシュで書かれているところ一帯を調査するのでしょうか。


事業者

福岡市の公表データとしてはこのような形で出しておりますが,実際の発見場所は明らかになっておりますので,そのあたりは環境局とも連携して場所等の情報をいただきながら,そこを中心に調査をしたいと思います。


委員

汽水産種の魚類や甲殻類の調査とは別にメダカの調査地点を組まれると理解してよろしいでしょうか。


事業者

メダカだけということではございませんが,こちらの実施区域とその周辺を任意に調べ,そこで発見した種を準備書段階で記載することになります。


会長

それでは,最後になりました。景観についてお願いいたします。


委員

景観について少し一言質問をさせていただきます。
おおむねここは航空法の制限がかかっており,60メートル以上の高い建物は建たないので,おおざっぱな全体のシルエットを語る上ではそんなに影響がないと思っているのですが,視点場の選定で質問です。225ページの3の視点場「住宅等」はどういう理由で選ばれたのでしょうか。おそらくこれは駅前で必要な交差点だと位置づけられていると思いますが,ここから中景,遠景で建物群が跡地にできていくときの見え方をチェックする必要があるかと思いますから,そこよりも少し近づいて,もう一つ北側の交差点で見たほうがいいのではないかと思います。


受託者

今の住宅地の視点場3につきましては,箱崎駅から出てご自宅に帰られる,仕事に行かれたりする方にとって,身の周りの景観がどのような見え方をするのかということで,現在大学の取り壊しが進んでいるのですが,それが工事の過程でどうなっていくのかを予測するためにこの地点を設けています。


委員

わかりました。視点場は建物の上ではなくてグラウンドレベルですね。


受託者

はい。


委員

わかりました。そのほかは,ポートタワーとか,多々良川のところとか,北側の小学校を選ばれていますので,このあたりは誰が選んでもこういうところになると思います。以上です。


会長

もう一辺確認しますが,3は,要するにどこかのビルの屋上というわけではないということですね。


受託者

そうです。細い道から大学が見えるような路地の中です。


委員

多分大学通りなので,ほとんど見えないです。


会長

何も見えないですね。


委員

手前の住宅に隠れて見えてこない。だから,上に建物がのぞくかどうかのチェックかなと思いましたが。


会長

既にこの間に2階建て,3階建ての建物が並んでいるので,もともと何も見えないので,何も変わりませんというだけだと意味がないような気がします。そのご指摘はもっともだと思いますから,この地点で予測することについて,もう一度合理性があるかどうかを含めて検討してください。無駄ならやめればいいですし,先ほどの説明では目的が不明瞭だと思います。また,上物の形状が不明な段階で景観アセスを行うことに意味があるのか疑問ですので,それも検討した方が良いと思います。
それでは,一通りご意見いただきましたが,何かまだほかにございますか。どうぞ。


委員

この方法書の全体的なレイアウトなどですが,例えば,131ページの廃棄物のところで県のデータを入れられています。上は県の廃棄物総排出量,下は国だと思いますが,そういう区分がない不親切なところが結構見えるので,次回のアセス図書ではもっと住民にわかりやすい表現してほしいと思います。
以上です。


会長

ありがとうございました。それでは,一通りご意見をいただきましたので,以上のご意見に基づいて方法書に対する意見を形成することにしたいと思いますが,文章については私にご一任いただけますでしょうか。


(「異議なし」の声あり)


会長

ありがとうございます。では一任いただきましたので,事務局と相談をして,方法書に対する意見,今日いただいた皆様方のご意見を踏まえたものをまとめていきたいと思います。
それでは事務局,どうぞお願いいたします。


事務局

本日は長時間にわたり熱心なご審議を賜りまことにありがとうございました。




議題2 その他

特になし