現在位置:福岡市ホームの中のくらし・手続きの中の環境・ごみ・リサイクルの中の福岡市の環境の中の環境保全・自然環境の中の福岡市の環境影響評価の中の福岡市環境影響評価審査会から議事の要旨 平成27年2月24日
更新日: 2015年4月2日

平成26年度第1回福岡市環境影響評価審査会 
議事の要旨 平成27年2月24日

日時平成27年2月24日(火)13時30分~15時30分
場所福岡国際ホール16階「志賀」
議題1 会長等の選出
2 福岡空港滑走路増設事業に係る環境影響評価準備書について
3 その他
出席者浅野委員,小野委員,尾本委員,川口委員,佐々木委員,勢一委員,薛委員,津田委員,
野上委員,萩島委員,原田委員,藤本委員,二渡委員(50音順)
会議資料資料1 福岡市環境影響評価審査会委員名簿・規則
資料2 福岡空港滑走路増設事業に係る環境影響評価準備書
資料3 福岡空港滑走路増設事業に係る環境影響評価準備書に関する意見
資料4 福岡空港滑走路増設事業に係る環境影響評価準備書審査資料
参考資料1 福岡空港滑走路増設事業に係る環境影響評価の手続き
参考資料2 福岡空港滑走路増設事業に係る環境影響評価方法書についての環境保全の見地からの市長意見
参考資料3 福岡空港滑走路増設事業に係る環境影響評価準備書についての意見概要等

【議事概要】

議題1 会長等の選出

事務局今回は,委員改選後,初めての審査会でございますので,審査会会長の選出を行っていただく必要がございます。会長は,審査会規則によりますと,委員の互選によるということになっております。事務局といたしましては,前期会長を務めていただきまして,また今回中央環境審議会の会長となられました浅野委員にお願いしようと思いますが,いかがでしょうか。
委員(「異議なし」の声あり)
事務局ありがとうございます。それでは,浅野委員,会長席のほうへお願いいたします。審査会規則によりますと,会長代理につきましては,会長が指名することになっておりますので,浅野会長にご指名をお願いいたします。
会長それでは,会長代理につきましては,藤本委員に会長代理をお願いしたいと思います。
委員お引き受けいたします。
事務局代理席のほうへお願いいたします。

議題2 福岡空港滑走路増設事業に係る環境影響評価準備書について

会長本日は福岡空港滑走路増設事業に係る準備書に関する市長意見の形成のために当審査会としての審査を行いたいと思います。それでは,事務局から,どのような準備書であるのかについてご説明いただきたいと思います。
事務局[事務局説明]
会長準備書の内容,とりわけ,事前に事務局がチェックして,この点は少し問題かなという点を中心に説明をいただきました。さらに,資料3については,委員から事前に意見が出されておりまして,これについては,事業者から本日お答えがあるということでございます。それでは,手間を省くために,まず,事業者のお答えをお聞かせいただければと思います。資料3をご覧ください。
事業者では,資料3として委員よりいただきました質問への回答をさせていただきます。

6.3-76ページ,航空機騒音についてです。準備書には,環境保全措置ということで,航空機騒音をできるだけ抑える,あるいは,遮蔽するといった出てくる音の抑制――環境基準に達してしまっているのですけれども,達しないようにするための低減措置を書いております。航空機騒音については,そういった環境保全措置の実施以外に,騒防法――公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律というのがございまして,これによりまして,Lden62デシベルを超える地区については,防音工事などの工事を民家に対して行って,そこに実際に住まわれている方に対する環境影響を別の手段で何とか抑制しようという手立てを持っております。将来の航空機騒音につきましても,騒音対策事業を着実に実施していくことによって,騒音影響の低減に努めてまいりたいと考えているところでございます。

また,航空機騒音の状況については,環境監視調査として測定と結果の公表を行ってまいりますので,影響がだんだん大きくなってくることについては,そのあたりでモニタリングしていくものと考えております。

次の地上騒音についてでございます。項目としては,リバーススラストによる騒音―着陸した航空機が減速するために行う逆噴射による騒音,タクシーイングによる騒音―航空機が誘導路を通って滑走路に向かうときのエンジンによる騒音,APUによる騒音―航空機に積んでおります補助エンジン―航空機のメインエンジンをとめているときに電気などを供給するために回すガスタービンエンジンの騒音,エンジンテストによる騒音―航空機の整備などの後にエンジンをチェックする必要がありますが,そのときにエンジンを回すために発生する騒音,その4種類を見込んでおります。それらについて,またそれぞれ細かい項目,例えば,離脱騒音はどこから出る設定にしているかとか,タクシーイングはこのように考えているということはありますが,項目としては4種類になります。

続いて,防音壁でございます。防音壁は2カ所にしておりますが,まず,福岡空港の滑走路増設事業は,西側に滑走路をもう1本,210メートル離してつくることになっております。将来の航空機の飛ばし方については,将来その1とその2で若干違うのですが,西側に幾分かの航空機を飛ばすという形で,振り分けるようになりますので,大まかに言って,西側に影響が広がるようなパターンになっております。空港の近傍においては,東側よりもむしろ西側のほうにより多く影響が出るような予測結果となっております。また,そのような航空機の飛ばし方になっております。その西側に民家などがございますので,そちらに対する地上音を低減させるために防音壁をつくるものです。西側には国際線のターミナルとか,遮蔽物になり得る大きな構造物もございますので,そういった影響も踏まえ,構造物がないために民家に音が漏れてしまう部分に壁をつくるという考え方で,南側と北側に2カ所つくるという形でございます。また,防音壁の諸元について,現時点では,予測評価を行う上での計算のための設定ということで,高さは5メートルないし15メートルです。ほとんどの部分は15メートルですが,一部空港の転移表面にかかるところがございますので,そこについては高さを抑えて5メートルにしており,基本,15メートルということで考えております。材質や遮音性能ですけれども,遮音性能そのものについては,あくまでコンターを引くための計算ということですので,音を通さない境界条件を設けているような計算をしております。遮音については100%で,高さ15メートルの壁が存在するという形になります。ただし,実際にどのような物をつくるかにつきましては,住民の方々からも意見をいろいろ頂戴しているところもございますし,また,今回の論点にもあったとおりでございますので,そのあたりは住民の方々と調整した上で,具体的な高さとか,そういったことについて検討してまいりたいと考えております。

次に,4点目でございます。建設機械の稼働に伴う騒音についてのご質問に対して回答させていただきます。建設機械の稼働に伴う騒音については,敷地境界線上においては騒音規制法で規定されておりますLA5,騒音予測地点においては騒音に係る環境基準で規定されておりますLAeqで予測評価を行っております。騒音のコンター図については,建設機械の稼働による騒音の広がりの状況を示すために,LA5の予測結果を示しております。一方で,会長代理からご指摘がありましたこの図の中に四角形で予測地点というのを記載しておりますが,この地点に書いております数字については,環境基準と比較できるようにバックグラウンド―バックグランドはLAeqでございますが,これと建設機械の稼働による騒音の負荷LA5,これを実効騒音レベルに変換した値と足し合わせた合成値―これはLAeqでございますが,これで評価しております。合成値のコンター図は,計算点全てでバックグラウンドを設定することが難しいこと,さらに,バックグラウンドを足してしまいますと,事業による影響の程度がわかりにくくなってしまうということから,この環境影響評価のこのコンター図の中ではLA5で示させていただいているところでございます。次に,予測の条件でございます。建設機械の位置につきましては,図6.3.251)から(9)に示しております色を塗っている箇所―こちらが施工の範囲でございますが,そこで稼働する建設機械の種類,台数からパワーレベルを合成しまして,これを10メートルの一定間隔に配置した音源に置きかえております。また,遮音効果を見込んだ建物でございます。国内線ターミナルビル,国際線ターミナルビル,福岡空港事務所,電源局舎,消防庁舎,東側マウント,西側マウント,防音壁といった施設でございます。空港の中で貨物上屋ですとか,自衛隊の施設の建て替えがございますが,こういった途中で建て替わる施設の一部については,影響を見込んでいません。つまり,影響を見込めば遮音の効果はございますので,影響範囲は小さくなりますが,そういった施設については,今回の中では設定していない―安全側の設定をしているというところでございます。また,騒音コンターを求めるための計算方法でございますが,遮音による解析や発生源からの距離による減衰などを考慮した上で,メッシュ状に配置した計算点―これは50メートル間隔で設定しておりますが,その点においてLA5を計算して,その結果からコンター図を作成しているところでございます。以上です。
会長それでは,関係する委員の先生方から,それぞれのご専門の分野について,準備書に関するご質問をお出しいただければと思います。それから,意見に類することについては,事業者とは関係なしにこちらで考えればいいことですから,また後ほど,お出しいただいても構いませんし,今日出されたご質問を通じて,意見としてどういうことが必要になるかということもわかりますので,それは適宜整理させていただきます。本日,ご意見があれば,お聞かせいただいても構いません。
委員denの計算方法についてお尋ねしたいと思います。Ldenは,準備書の6.3-62ページあたりに定義式が載っていますが,普通は,これを1日分として,これを何日か求めて,それをまたエネルギー平均することでLdenになると我々は理解しています。準備書には1日の状況を計算されたコンターが載っていると理解してよろしいですか。
事業者航空機が1日に飛ぶ数を将来需要予測値に基づいて想定して計算しますので,日によって違うという計算になっておりません。そのため,何日か求めて平均をとるという計算ではございません。航空機の飛ぶ数を平均して,1日に何機飛ぶという想定を置いて将来値を出しております。
委員離陸の方向は一方向だけですか。
事業者離陸の方向も平均化して計算しています。南向き7割,北向き3割です。
委員夏場と冬場で離陸の方向は全然違うと思いますので,両方計算して,それをエネルギー平均するほうが正しい方法ではないかと思います。今,現状がわかるわけですから,離陸の方向は時間帯でも変わることを踏まえ,何割が北,何割が南といういくつかのモデルに対して同じ計算をして,それをエネルギー平均するのが正しいコンターの出し方だと思います。
事業者騒音の実測の場合は,委員がおっしゃるとおり,1週間測ってそれを平均化するという形ですが,航空機の騒音予測モデルの場合は,ある1日で北からの風,南からの風が年間平均の値で発生する条件でモデルを回していきます。例えば,1便の70%は北から来ます,30%は南から来ますという場合は,それを0.7便と0.3便として予測モデルを回していくという形にします。ですから,ある1日の予測ですが,その中に年平均的な事象は全て盛り込まれているという予測をするのが航空機の予測モデルのやり方になっています。
委員それは正しいのですか。正しい値になることはわかっていて,平均的なものになるということですか。
事業者これは航空局でつくっていますCABモデル―全国共通にこのやり方で予測してきています。
委員その方法は,国際的にも,大体,一緒ですか。私はそこは全然存じ上げないので教えてもらえますか。
事業者予測の評価指標自体が,国によって違うというところはありますが,特に,ほかの国と比べてやり方が特殊ということではありません。
委員せっかく,航空機騒音の現状がわかっているので,そのとおりに計算されると,もっと精度が上がるのではないかなという気もしました。
事業者例えば,ご懸念の状況が発生し得るのは,時間帯による加算の問題があると思います。午後7時から午後10時までは5デシベル,午後10時から翌午前7時までは10デシベル加算することになります。その時間帯によって風の向きが極端に変わるという状況が,もしあるのであれば,例えば,真夜中は南風より北風のほうが卓越するが,昼間はその逆であるということがもしあるのであれば,ご懸念の状況はあると思います。しかし,そうではないので,今,申し上げましたような方法で計算しても,結果は,数値から見て問題ないと考えております。
委員なるほど。どうかなというところです。この中に,どういう方式で計算したということは書かれておいたほうがいいかなという気がしました。今,全く情報は載っていないですよね。
委員今の点に関連した質問ですが,CABモデルで予測するというのは,やり方としてそれが定着しているわけだから,それで結構だと思います。現状の航空機の運航についてCABモデルで計算したときに,差が発生すると思います。将来予測にあたって,現状で誤差を少しアレンジする必要はないですか。つまり,CABモデルがいつもバイアスがかかっているような予測方法ならば,将来予測を一生懸命やってもあまり意味がないように思います。
会長つまり,全くの新設空港ではなくて,増設ですから,既に影響が出ているわけです。そのデータはあるでしょうというわけです。それを再現できるモデルになっているかということはわかるはずだということです。通常の新設の場合だったら,供用開始後しか,再現性のチェックはできないけれども,ここの場合は,ある程度のことはわかるのではないかという質問です。モデルそれ自体を補正するという余地はないかということです。つまり,増設であるということと新設であるということの違いをどこまで意識してアセスメントの作業をしておられるかという質問だと思います。
事業者方法書を受けて,準備書の段階で測定した結果は,実測データとしては存在するのですが,それ自体は1週間の限られたデータになっております。そのため,風向きのデータなどの偏りがありまして,そのままでは使えない状態になっています。一方で,年間のデータを何点かでとっているところがあるので,それを用いて,CABモデルが実態にあっているかということをチェックするべきではないかという理解でよろしいでしょうか。
委員そうです。
事業者現時点で,そのチェックをやったわけではないです。福岡空港の特性などもあるだろうから,そこをきちんと見て,キャリブレーションをやるべきではないかということだと思いますが,その可能性については検討してまいりたいと思います。
委員アセスメントの手続の中では,今,準備書に対して意見を申し上げています。そのため,現段階の問題点をとがめるという意図はなくて,この準備書を評価書にする段階でそういうところをきちんと整えていただきたいということです。
事業者技術的な限界が一つありまして,年間での測定をしているところでないと,おそらく,おっしゃっている件は満足できないのかなと思います。その測定ポイントは非常に限られていることもございますので,それだけをもってキャリブレーションができるのかについては,技術的な限界があるような状況ではございます。それと,関係ないことに聞こえるかもしれませんが,将来の計算にあたって,若干,大きめの評価になるような形になっているところがございます。というのは,現在の航空機と同じ航空機が将来も飛んでいきますという仮定を置いております。そうなりますと,今,既に就航してから20年,30年とたっているような,例えば,ボーイングの767といった航空機が30年後も飛んでいるという設定をしております。そういったことは実際にはあり得なくて,例えば,767であれば787に置きかわるということで,実際には音が下がるような方向なんですが,そういった効果は見込んでいませんので,ある程度,バッファーを見ているという面はあります。
会長厳密に数字をいじくりまわすのは,しょせん,モデルであって,将来予測をやる以上,意味がないですよね。前提として使われているモデルを現状に当てはめてみて,そこそこ再現性がありますと言えばそれでいいわけで,コンマ何分のずれがあるかを明らかにして補正しろとは一言も言っていないのです。しかし,もし,このモデルなるものが,福岡空港に実際当てはめてみてまるっきり違っていたら,前提が崩れてしまうわけでしょう。
事業者今,手持ちの情報の中で,おっしゃっている件を補強できるようなものがないか,検討してみます。
会長それでは,これはそういうことでご検討ください。ほかにありますか。
委員音の専門家ではないんですけれども,先ほどちょっと話が出ていた昼と夜で空港がという話です。福岡は海風と陸風がありますので,明らかに時間帯で風向は変わりますということを申し上げたほうがいいかなと思います。
委員地上騒音だけではなくて,防音壁とかそういうことも含めてなんですが,準備書ですから,細かいところまでは決まっていないということは承知しています。申し上げたい趣旨は,予測結果だけを出してオーケーですというシナリオの結論だけ言っていただいても,なかなか納得しがたいということを基本的には申し上げたかったということです。その予測結果を出すための根拠になるデータについて,そのデータがないと非常に信頼性が欠けるというものについてはきちんと載せないといけないのではないかというのが趣旨です。

地上騒音に関しても,どういう条件を考慮したかについては,先ほど説明していただいたのですが,そういうものが準備書を読んだだけではわからないので,評価書をつくる段階では,そういうことをきちんと1点1点上げて,これはこういう形で考慮していますということをきちんと記載していただきたいという趣旨です。数字一つ一つで,細かいパワーレベルの値を記載していただくのではなく,どういうものがこの辺にできて,どれぐらいの大きな音が出ますよとか,こういうコースで地上を航空機が動いていくのでこの辺に少し音が出ますよといった情報はきちんと書いていただきたいという趣旨です。

防音壁に関しても,いきなり騒音対策として二つの塀が出てきて,今の段階で高さとか,いろんなことが決まっていないということも理解しています。しかし,計算しないとコンターを書けません。コンターを書かれているのですが,何も前提条件がわからなくてコンターが出てきたら,まるでだまされたような気になってしまいます。最低限,こういうところには音が強くなる可能性があるから,こういうところに防音壁を2カ所考えているという基本から始まって,大体,これぐらいの性能の防音壁にしようと思っているから,この程度の仕様になるということを評価書では書いていただきたいと思います。それから,防音壁の仕様を決めるにあたっては,もちろん,景観とか,そういう問題もあるので,住民の方のご意見をいただくなど,やっていただけるものはやっていただきたいのです。ただ,音響の側面から注意すべき点は,塀を乗り越えて行った音だけではなくて,透過していく音がすごく気になりますので,評価書ではこれらについての検討を加えていただきたいと思います。以上です。
事業者評価書にわかりやすく表現したいと思います。一つ目,二つ目は,特に,よりわかりやすく表現するべきだろうということだと思います。可能な限り表現を工夫し,必要な情報をきちんと入れて,わかりやすい評価書をつくりたいと思っております。三つ目についても,透過音について,きちんと検証してまいりたいと思います。
会長よろしくお願いします。この工事に関しては,通常の一般的な公共工事の場合と,相当,前提条件が違います。そこをはっきりさせる必要があるという気がします。夜間工事で,建設機械というと,やたらとトラックやブルドーザーが走り回るというイメージがあるが,多分,ここの工事の場合はそういうタイプじゃないと思います。ポイントで次々にやって,固めていくような形でしょう。まず,コンクリートなんかを全部破砕したりするときは,相当,音が出るだろうけれども,そのときでも,そんなに一遍に相当広い範囲を一日中動き回っているということはないですよね。ポイント,ポイントで,次々に作業が行われていって,コンクリートだって,物の性質上,一遍につくるわけにいかないから,ある程度,枠をつくって少しずつ固めていきますよね。そうすると,結局,音源というものについては,広く単発的に音が出るというよりも,それが一定の時間によってずれてくるというタイプだろうと思います。だから,全面的に音が何カ月も,何年も同じところに暴露されるという形態ではないような気がします。準備書でのやり方が最も安全側に寄った予測になります,これが最大値でこれより高いということはまず考えられませんという出し方が必要なんだろうと思います。それがわかるようにするということが大事なことだろうと思います。多分,工事にあたっての地元説明でも,起こることは起こることとして,ちゃんと言っておく。こういう特徴があるということもよくわかってもらう。我慢しなければいけないのは比較的短期間で,その期間を過ぎると,音源がこっちにずれてきますから,ここのところの影響はかなり少なくなるとか,そういう話だろうなと思って聞いていました。
事業者今,会長におっしゃっていただいたとおりでございまして,今回の前提条件の中でも少し触れておりますが,運用しながらの工事になりますので,どうしてもかなり小分けに施工の区画を分けて工事をしていく形になります。結果,会長がおっしゃったように,少しずつ工事のエリアがずれていきます。空港の場合,今回の施工全体の区域もかなり広いものですから,そこについては今回の環境影響評価のときは,ちゃんと施工区分ごとにしっかりと評価するようにしています。しかも,その施工区画でやっているときのピークの工事量でどういった影響になるのかについて,今回,検証しておりますので,そういう意味では,しっかり適正な評価をしているのではないかと考えているところでございます。
委員特に質問ということではないのですが,工事年数がすごく長くて,8年間といった年数なので,できたら,工事の様子みたいなものの過程を市民に見せていく,最初からではなくて途中からでも見せていくということができないかと思います。そのときに,先ほどの防音壁の高さといったものも含めて,市民とか,福岡空港を利用する人たちとかにも開放できるような,見学できるようなそういう工事になればいいかなと思います。それは防音壁の高さといったものも含めてです。いわゆる,見せる工事現場と言ったらいいのでしょうか。そういうことができると,市民の理解も深まるのではないかなと思います。

それと,これも質問ではなくて,意見です。環境影響評価とは直接関係がないのですが,アジアのゲートウェイということで準備書の第2章にも書かれています。実際,福岡・博多は太古からアジアのゲートウェイでした。皆さん方の中では行かれたこともあるでしょうが,福岡市埋蔵文化センターとか,板付遺跡とか,準備書にも書いてありましたが,福岡空港付近というのは,実は,遺跡の宝庫なのです。また,福岡空港で2時間とかトランジットで待つといったときには,ほとんど何もすることがないのです。そのため,福岡市教育委員会とかと話をして,福岡空港内で昔ながらの遺跡を見せるといったことをする。福岡空港の中で,観光客として来られた方に向けて,実は,中国,韓国との関係がこのように昔ながらにあったんだということを文化財含めて見せられないかということを考えています。以上です。
会長ありがとうございました。工事が,今,どんな状況になっているかについて,工事が始まった後に上手にPRする方法はありそうですね。
事業者維持管理の工事とか,国内線ターミナル再編の関係の工事とか,福岡空港では,現在も工事が行われているところですが,特に,周辺の方々に与える影響が大きいものですから,周辺の町内会の皆様には,これからこんな工事をやっていきますということを既に丁寧にご説明させていただいているところでございます。これについては,滑走路増設事業についても,同様の形で説明していきたいと考えているところでございます。
会長空港のラウンジで四六時中いろんな映像を流しているじゃないですか。ぜひ,うまく映像化するような形にして,その中に時々,今の工事はこういう状況だということが流れるようにして,それをまた公民館などに全部流せるようにしてみてもいいと思います。どんどん進んでいるな,でも,ここは終わったなとかがわかるということはとても大事なことでしょう。だから,先ほどのご意見は,アセスメントとは直接関係ありませんけれども,そういう意味で少し検討して採用されたらどうでしょうか。

事務局のほうで論点として上げておられた点が幾つかありますが,これらについてはいかがでしょうか。資料4で,事務局としては,こういうことが気になるということについて,先ほど何点か指摘としてありました。この点についてはいかがでしょうか。工事中の音に関して夜間工事であるということと住居との間に遮蔽物がないということをどう考えるかということがありました。それで,私もさっき言いましたように,工事そのものがずっと継続的に行われるわけではなくて,スポットがどんどん動いていくということについてどう考えるかということがありそうなのです。下手すると,非常に無駄な対策を立てることになってしまいますよね。つまり,音源の側で対策を立てようと思うと,猛烈に金をかけて,その対策が実質的な意味を持つのは1カ月しかないというのは大変な無駄ですから,そこは無駄のないような方法がありそうな気がします。ですから,一つは,しっかりと理解いただくということ。それから,本当に睡眠障害になりそうな音が出そうな場合に,方法は幾らでもありますよね。一時的にどこかに移っていただくという方法かもしれないし,この種の工事の場合には,他の例もあるわけでしょう。その1カ月の間だけどこかに住んでいただいて戻っていただく。そしたら,音源の側で対策を立てるより,はるかにコストが安く済んでしまうということがありそうですよね。だから,対策を立てるときに,音源の側だけの対策ということにこだわってしまうと,大変なことになるのですけれども,そこにいる方々が納得して,これはしょうがないと受忍できるかどうかということでしょう。建物の側に防音シートを張ってしまうということもないわけではないと思います。事業者は何か考えたことがありますか。
事業者まずは,発生源の対策ということで,できる限り低騒音型の施工機械を使っていくということを考えております。ほかにも,ちゃんと機械のメンテナンスをしていくとか,今,とり得るものは,環境保全措置という形でまとめさせていただいております。施工場所がずれていくという前提でどれぐらいの音になるのかについて予測評価した結果,環境保全目標については全てクリアできるという結果になっております。準備書に記載している対策をしっかりやっていく,そして,周辺の住民の皆様にしっかりご説明させていただくというところかなと考えているところでございます。仮に,工事のやり方,特に,民家の近くで何の遮蔽物もないといったところで行う工事について,影響が大きくなるような変更が生じた場合には,追加の対策についても考えていかないといけないかなと思っているところでございます。ひとまずは,今,準備書に記載している対策をしっかりやっていくということについて,進めていきたいと考えているところです。
会長鳥の問題はどうでしょうか。
委員バードストライクに関しては,いろいろ調査をやっていただいてまじめにやっていただいているなという気がしますが,実は近年,ハチクマの春の渡りについて5月の連休明けに一日で2,800ぐらいカウントした例があります。それも,油山から大濠公園まで幅広くハチクマの春の渡りが確認されている。しかも,準備書で調査した秋と違って飛んでいる高さがものすごく低いです。油山あたりで見ていると,観測地点の標高は210メートルですから,中には210メートルよりも低いのもいるというのが最近わかってきました。そのため,バードストライクに関してハチクマを考えたときに,秋だけではなくて春もバードストライクが発生する可能性があると今我々は思っています。その辺もちょっと頭に入れていただければという気がします。それから,春の渡りのときの特徴だと思うのですが,油山だとか大濠公園で見ているよりももっと東で見ていると,飛ぶ高さが下がってきているのです。下がってきているということは,ひょっとして空港の東側のあの辺の山にねぐらで入る可能性もありますが,朝は飛び出したのを見ていないので明確にはわかりません。そういう可能性もあるのかなと最近のデータで感じているので,その辺もちょっと考慮してもらえればと思います。
事業者これはアセスメントというよりは,むしろその日々の航空機の安全な運行のために必要な情報をいただいたのだと理解します。春の時期に集団で飛んでいる鳥のエリアがこのように存在するというような情報をいただきました。航空機のルートが決まっておりますので,現時点で,多分そういう群れに突っ込むような状況は発生していないと思いますが,もし近くを飛んでいるようだったら,それは注意する事項だと思いますので,情報をまた頂戴したいと思います。
委員そうですね。
会長いずれにせよ平成47年度の飛行ルートは,春に注意しなければいけないと。
委員秋は北東から南西に通り抜けるのです。ところが,春は朝鮮半島から入ってくるため,ハチクマに関しては,ルートが全く違います。朝鮮半島から入ってくるときに,幅広く日本本土を見て,どこに入ってくるかというのは,いまだによくわかっていません。福岡で1日2,800羽も見たというときもあります。これは鳥に聞いても返事がないので非常に頭の痛いところですが,いろいろな可能性があるのかなと思います。
会長ほかに何かありますか。事務局が考えたのは大体今の点ぐらいですね。それ以外については,おおむね予測で問題がないという評価をしておられますが。
委員資料4のほうのところどころに「エコエアポート」という言葉が幾つか出てきているのかと思いますが,この資料4の中での使われ方を見ますと,環境負荷の削減や省エネ,そういったところでの項目の関係するところでエコエアポートという言葉が使われているように私は感じました。準備書の6.2-156ページでエコエアポートの説明,具体的な施策ということで幾つかありますし,福岡空港での福岡空港環境計画を策定し,環境保全に取り組んでいるということで,こういう日常の運用での話が中心になるのかと思いますが,今回のこういう建設工事等にあたっても,エコエアポートの考え方をいろいろなところで取り入れるというのは非常に重要なことかと思います。例えば,建設資材のところで,LCA的に評価して環境負荷の少ないものを利用するとかいうのはリサイクル法なりで規定されている内容なのかもしれませんが,建設工事等でのそういった配慮というのはどの程度考えられているのか,教えていただければと思います。
事業者エコエアポートですが,国交省の航空局のほうで10年以上前から始めている施策でございまして,運用中の環境負荷を低減するということで,太陽光パネルを使うとか,低負荷の車両を使うとか,そういったものをやっている施策でございます。工事中はということでございますが,今回,環境の負荷を低減ということでは,工事中の環境保全措置,かなりいろいろとり得るものは全て取り組んでおりますが,それがまさに環境の負荷を低減させるための措置ということになるのかなと思います。
委員何か具体的なところでそういうのはないでしょうか。
事業者工事中の環境保全措置に書いてある対策,例えば,排出ガス対策型の建設機械を使うとか,先ほどの低騒音の建設機械,アイドリングストップを徹底するとか,水質への対策というのもそうでございます。そういったものは全て環境負荷を低減させるということかと思います。
委員全てに関係するということですね。わかりました。
会長それぞれの専門分野について,もし何かコメントがありましたら,お出しいただきたいと思います。植物は特にございませんか。
委員特にございません。
委員特にないです。植物・植生保全という立場から見ますと,この事業で特に大きなウエイトを占めるとは思えない部分ですが,非常に丁寧に調査がなされていて,影響予測についても非常に的確であると思いました。この部分についてはこちらから申し上げる意見は何もございません。
会長陸生の生態系は何かありますか。
委員昆虫の7種がちょっと心配であるということで,その中でも絶滅危惧種の2種のコガムシとオオサカスジコガネというのが上げられています。この準備書の6.7-41ページを見ますと,どうも河川敷とか水の多いところに生息したり産卵したりする昆虫でして,個体数もあまりとられていなく,今後その工事とかが進む中でどんどん減少していったりしないかというのがちょっと心配ですので,モニタリングとかを継続してやっていただけたらと思いました。
会長主に生息地は湿地みたいなところですね。すると,今度の工事に関しては,現空港の敷地内で滑走路を増やすという工事をやるだけなのですね。特に雨が降ったときには結構芝生に水たまりができますが,一過性ですね。
委員それほど心配はないということですかね。
会長という気もしますが,わかりました。大気質で何かございますか。
委員大気質では,例えば工事に関しましては,数年以上にわたるいろいろなパターンを考えてそれぞれで計算するとか,予測値そのものに関してはしっかりやられていると思います。ただ,例えばエコエアポートの具体的な施策というところが簡単に書き過ぎていて,GPUの利用促進を図る―GPUは何かということもありますが,この「利用促進」も,詳しくお聞きする経緯があったときに,GPUの設備そのものも増やすし,あと航空機がなるべくたくさん利用できるようにそういうところも考えているとか,どこまで上げようとしているかとか,準備書ということなので仕方がないのでしょうが,単に箇条書きでなく,もう少しこのあたりを親切に説明していただいたほうがよいと思います。要するに,これも十分高めの値で全て予測値はしています,安全側でしているので大丈夫です,さらに,こういった施策もとってさらなる軽減をやろうとしていますというときに,どの程度の軽減にいくのかとかいうところを,評価書ではもっと丁寧に説明していただければと思います。
会長ありがとうございました。
委員あまりこのプロジェクトの重要な観点ではないので,特に問題ないとは思いますが,温室効果ガスのところで,やはり同じようにエコエアポートの推進によって低減に努めるというのがあります。増設ですのでCOの排出が増えるのは当然のことと思いますが,「最終的には,その影響はエコエアポートによって回避または軽減が期待できるものと考えられる」と決まり文句で書いてあり,余りにも説明が単純すぎて,実績で実際にこの何%ぐらい減っているとか,そういうのがあればわかりやすいと思います。
会長わかりました。
委員水ということでの立場からお尋ねしたいことがあるのですが,まず,水質関係については特に私のほうからも意見はないのですが,近くを流れています河川への影響についてどのような感じで検討されているのかというのがちょっとよくわかりませんでした。ご存じのとおり,御笠川というのはかなり大雨に弱いところですので,過去も2度大きな氾濫も起こしていますし,それに対して福岡市は,億の金をかけて山王公園に調整池もつくるような感じで,河川の洪水対策等々をやっていると思いますが,それに対しての影響というものをどのように評価されているのでしょうか。河川への水質の負荷に関するところでは,例えば,降雨強度3ミリとか11ミリという数値は見られるのですが,過去に類になかった大雨が仮に降ったとしたときのことというのも,やっぱり想定して考えないといけないのではないのかと思います。例えば,3年前にありました北部九州の大雨がこのあたりに降ったときにどうなるのかとか,そういったいわゆるゲリラ豪雨に対してどの程度配慮されているのかということを,お尋ねしたいと思います。
会長それでは,全般的なことで他に何かありましたら。
委員事後調査の点ですが,一応予測の不確実性の程度は小さいということで事後調査は実施をしないと。ただし,環境監視調査のほうで,これは自主的ということだと理解しておりますが,騒音の調査をしていただけるということです。そこで,準備書の8-3ページのところに,調査の手法,地点,調査時期等々書いていただいているのですが,4)の「調査時期の供用開始後における代表的な時期」となっていて,ここが理解できないので,教えていただきたいです。

また,8-5ページのところの調査結果の公表方法のところで,大阪航空局のホームページにおいて公表すると書かれておりますが,具体的にどのような形で,どういう方法で公表いただけるのか。騒音については周辺住民の方も含めてかなり気がかりな部分でございますので,地域の方が情報を十分に受け取れるような形で少し工夫をお願いできればと思っております。以上です。
会長それでは,質問が2点になりますね。
事業者まず,御笠川下流の河川への影響というところでございますが,今回の滑走路増設によって舗装の面積も増えますので,空港の中での貯水の能力というのも向上させていかないといけないということで,空港の中に場内調整池が西側に2カ所ございますが,これを深掘りして容量をアップして,下流域への影響が大きくならないようにということの対策を実施する予定でございます。あと,現状もそうでございますが,福岡空港については,上牟田川が30年確率の降雨に対応する規模での計画となっておりますので,それにあわせた形で場内調整池の容量も計画をしているところでございます。空港内の幹線排水路等については,10年確率の降雨に対応する規模で計画されているところでございます。このあたりの大きさについては,準備書の2.3-3ページ,4ページにまとめているところでございます。
委員10年確率で大丈夫ですか。
事業者これまでも空港の中はできるだけ外側に影響がないようにということで,この計画でやっております。考え方としては,まずは外に影響が出る前に調整池や,滑走路の脇の着陸帯に水をためていくというコンセプトでやっておりますので,よほどの雨じゃない限りというところでやっているところでございます。
会長現在供用していますので,新しく滑走路が1本できることによって負荷がどれだけ増えるかということが問題で,その負荷増に対する対応ができれば,とりあえずはよしということです。ただ,実際にちょっと心配しているのは,今までの10年確率や30年確率の前提が全然狂ってきていますよね。これも社会資本審議会も議論を始めていますし,中央環境審議会でも適応についての議論は始めていて,7月には適応の政府計画ができますからね。だから,根っこのところをもう一回考えなきゃいけないかもしれないので,その部分をどうするかという問題は残りそうだと思います。
事業者今回,場内調整池の深掘りをするときに必要な容量を計算するんですが,そのときは最新の実績をもとに,30年確率,10年確率というのを再計算して必要な容量を確保していきますので,その点はしっかりクリアできるだろうと考えております。
会長わかりました。ありがとうございます。
事業者環境監視調査について,ちょっと表現がわかりにくかったかもしれません。8-4ページに調査ポイントが書いてございまして,色が3つ書いてあります。事業者である国と県の赤と青のところについては,通年で調査を行いますので,代表的な時期というよりは通年という意味です。参考情報でいただく緑の市については,夏と冬の特定の時期に1週間ずつ調査を行いますので,このような書きぶりをしているところがございました。そのデータをどのように出していくかということについてですが,基本,その通年のデータをひと月ごとにLden,W値――昔使っていた環境基準のWECPNL,あと,騒音の発生回数と,ピーク騒音の平均パワーレベルの数値,それを月ごとと,12カ月そろったら年間値をお出しするという感じで考えております。
委員滑走路が増えて航空機の離着陸回数が増えるので,騒音が大きくなるのは必然でして,その騒音をどのように下げるか,可能な範囲でどのくらい対策するかというのが,アセスメントのシナリオの一番基本です。そういう観点から見たとき,航空機騒音に対してどう対策するかというのがあまりないのです。防音壁ぐらいしか読み取り得ないです。全くやっていないとか,やらないとかいうことではないと思うので,評価書では書ける範囲でもう少し書いていただきたいと思います。例えば,地上騒音に関しては,先ほど4点,こんなことを想定し,予測していますということでしたが,その中でどういうふうな対策がとれると想定されるかというと,APUがGPUにかわればその分少し下がるであろうと思われます。どのくらい下げます,変えますということを書いてしまうと確約することになってしまうので,書きにくいということも理解はできるのですが,その辺の書きぶりというのはよく考えていただいて,やっぱり騒音対策の一つではないかと思います。それから,例えば,エンジンテスト。どのくらいの大きな音がどれくらい出るかということが準備書に書かれていないので我々はわからないのです。もし大きな音が出て,それが地上騒音としての非常に主要な騒音源になるのであれば,エンジンテストによる騒音が拡散しないような対策をこういうふうにしますというようなことを書いていただければと思います。それから,航空機騒音に関しては,空を飛んでいる航空機が出す音を下げるのは,現実問題としてはなかなか難しくて,航空機の回数が増えれば大きくなるであろう,これをとめるのはなかなか難しいというのも,わかるのですが,一般的に考えられる方法で言うと,航路を少し変えるとか,現在はステップ状に下りているものを滑らかに着陸するというものにかえるとか,離陸に関して言うと,急上昇するとか,いろいろな方法があるように聞いています。そういうことが可能なのか,あるいはそういうことをやってしまうとかえって悪くなるのか,私はちょっとわからないのですが,そんなことも「こういうふうなことを少なくとも検討します」という雰囲気のことは,やっぱり書いていただきたいと思います。要は,そんなことが何にも触れられていないので,航空機騒音に対しての対策をしないように見えてしまいます。それから,安全側の予測になっていますというご説明がありましたけれども,これからの航空機というのは,小型化,低騒音化というのは当然の方向だと思いますので,そういうものに対して,この程度通常どおりいけば,予測ではこうしているが,これぐらいの安全側の予測です,みたいなものを書いてもいいように思います。最初に申し上げたように,書けない部分は無理にとは申し上げませんが,評価書ではその辺のところをご配慮いただきたいと思います。
会長ご意見として聞いておいてください。できることはできる,できないことはできないと。多分,「大体やっている」ということになりそうな気もします。見落としはないですか。例えば,今のように滑走路で待機するため,下りてからなかなかターミナルに着けないので,その間は音を出しっ放しです。そういうのが少なくなると,随分負荷が減るという要素もあります。そのプラスの要素を何にも考えていないのではないか。これで改善される余地があるとすれば,それも含めて「全体の音源としてはこのぐらいの増加にとどまる」など。今の状態がよくなることを全く想定していないところは,ちょっと気になります。
事業者まず,会長がおっしゃったことですが,現在の福岡空港は離発着回数が16万回を超えておりまして,遅延とか待ちのため,地上で待っている航空機が延々とエンジンを回したままうるさくなっている。そのような航空機を早くさばけるのであれば,そういった音は消えるということになりますので,滑走路を増設するということで騒音の低減効果はあると思います。また,滑走路増設だけではなく,誘導路の二重化をやろうとしているので,そこも大いにきいてくると思います。それと,委員のおっしゃった騒音低減運航方式という件について,6.3-72ページに概略ではございますが,例えば急上昇方式,ディレイド・フラップ,低フラップなどの風切り音ができるだけ出ないような飛び方とかいったことは,安全との兼ね合いになりますが,できる限りお願いしますということで,AIPと呼ばれている航空路誌に書いてあります。ただ,安全を優先して,これをやってくださいというものです。福岡空港は市街地の空港であり,非常に騒音に対してきちんとやらなきゃいけないということですので,そういったやれる措置は,既にできる限り行っております。
会長ありがとうございました。
委員事業者の方にではなく,私がちょっと受けた印象,考えていることについて,会長と委員にご意見を伺えれば,勉強になると思うところがあります。生態系のところです。生態系を評価するために,上位性を指標する生物,典型性を指標する生物を選んで,それへの影響を見ておられます。典型性では,ヒバリとムクドリとドバトとカラス類の4つを選んでおられます。普通,一つの生物群で似たような生態的地位にあるものを,そうたくさん選ばなくてもいいと思うことに加えて,ドバトも「ドバトの生息環境が維持されるから,生息環境の減少による影響は小さい」,カラス類も「カラス類の生息環境が維持されるから影響は小さい」というふうに,「大事なものだから,これらに影響がないからいいだろう」というふうに書いてあります。今の準備書段階から評価書段階の間に項目が抜けるというようなことが許されるのかどうかわかりませんが,この調査のために特に手間がかかっているわけじゃなくて,文字を何箇所かで抜いて,この最後の表を二つ抜けば済む話だと思いますので,評価書としてまとまったときに,ドバトやカラスを大事にしようと思ったのかと言われないほうがいいかなと思います。そういう提案は,仕組み上許されるものでしょうか。会長のご見解を伺いできれば,私は「これは外しちゃったら」というご提案を申し上げようと思っているところです。
事業者当初の事業者の考えでは,ドバトとカラスは入っていなかったのですが,事業者でも有識者委員会を持っておりまして,「数が多いドバトとカラスは追加すべき」というご意見を踏まえ,追加をさせていただいております。
委員その委員にこの件についてご意見を伺ったのです。「ドバト,カラスもと言ったのはバードストライクのことで,数が多いからそれも調査をしておかないといけないと言ったが,典型性で選びなさいと言ってない。」と言っておられました。そういうことも踏まえて,この審査会のご見解で「調査したのを外すべきでない」となればそのままですが,形として,このまま残るのもどうかという気持ちが私にはあります。
会長難しいところです。アセスの目的というのは,価値規範的に何かを考える要素がないとは言わないですが,現状をとにかく客観的に把握する。この事業計画によって現状はどう変わるかを見ましょうということですよね。変わるか変わらないかが実は一番の肝です。
委員そのとおりだと思います。
会長変わらないというのであれば,あんまり問題ない。変わるとすれば,そのときにいい方向に変わるのであれば,何も対策はしません。それから,変わることが非常にまずいということであれば,それは対策を立てましょうということになります。ここで,ドバト,カラスについては,影響が生じるから守るために何かしますとは一言も書いていないわけです。全く現状は変わりませんという結果が出てきたので,それを淡々と書いています。
委員そのことを言うために,ヒバリとムクドリがちゃんと選んであるのです。
会長福岡空港のような場合に,マニュアルどおりにやらなければいけないと,実は思わないです。というのは,福岡空港に固有のある動物の生態系があるという前提に立ったときに,これとこれがいるから,これがその中では相対的に上位種である。それで,一つの生態系ピラミッドができ上がっているという分析があるならいいのですが,必ずしもそうではない。だから,確かに言われるように,この福岡空港の増設工事に関する生態系のアセスをやるのに,これが上位種であると言って無理やりに何か議論をしていることが,ほんとうにここのアセスとして正しいかどうかと言われたら,若干疑問を感じます。ただ,もう一つ,今,住宅の立ち退きをしてもらって,あのあたりずっと空き地があります。そこに一つの新しい生態系ができている可能性はあるわけです。そのときに,そこの生態系の中が何であるかは,私もよくわからない。ムクドリとヒバリはいるんだろうなとは思いますが,そこでドバトが何か優先種だというふうになるかどうか。この辺はどうでしょうか。
委員今,まちの中にムクドリだとか,コムクドリというのは大変増えているんです。今から20年前の野鳥の会の福岡の会報を見ると,「今日は運よくムクドリに会えた」と書いてあるのです。ほとんどいなかったのです。東区のごく一部にいたというだけのが,今はまちの中にあんなに増えているのです。おそらく,そのいわゆる生態系というのが変わってきて,そういう上位にいる優先種みたいなやつもどんどん変化してきているということだろうという気がします。そうやって考えると,カラスも町中にものすごく多いのですが,実は,冬場に大陸から渡ってきていたミヤマガラスは,昔は動物園,植物園,南公園あたりに数万羽いたのです。それが今はほとんどいないのです。ものすごく変化しているのです。その時点でいた鳥が今後どうなるのかというのを注目しておくというのは,やっぱり環境のアセスでは重要なのかなという気はします。ただし,その種が同じとは決して限らないので,おそらく変化していくだろうと思っています。
委員今の議論で,上位種と典型種と混乱していたようですが,上位種はちゃんと1種,ハヤブサが選んであって,典型種として4つ選んであるわけですね。普通は,一つの生物分布図で,典型性で資料にするのは1種か2種が多いと思うのですが,4種,わざわざドバトとカラスを入れなくても全く結論が変わらないですから,見た目どうだろうなという感想を持ったということでございました。
会長事務局のほうで今日欠席している委員の意見を聞いてもらいましょう。
委員そうですね。よろしくお願いします。
会長私は,アセスの考え方から言うと,現状をしっかり把握するというのが大事だと,現にいるなら,それはしようがないという気がしています。典型種として適当かどうかということに関して,意見があったということは留意します。事務局のほうで,欠席の委員の意見を聞いてみてください。ほかにございますか。よろしいですか。
委員(「なし」の声あり)
会長それでは,本日はご質問と意見交換ということで,事業者の皆さん方にも大変積極的に議論に参加していただき,ありがとうございました。では次回,これについてさらに事務局に整理をさせまして,市長意見としてどのような意見をとりまとめるかということについてはお諮りをしたいと思います。それでは,本日は,このあたりで終わらせていただきます。あとは事務局からどうぞお願いいたします。

議題3 その他

 (特になし)