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更新日:2025年2月20日

共働事例インタビュー「NPOと企業や地域」

山王学舎の成田さん

山王学舎 成田さん

ボランティアの皆さんの笑顔の写真

ボランティアの皆さんの笑顔

インタビューした方のご紹介

 

  • 特定非営利活動法人山王学舎 成田さん

子どもたちの現状に目を向け「居場所」「学び」「体験」の場を地域すべての子どもたちと一緒につくりあげるため、放課後児童クラブや子ども食堂を行っている成田さんに「企業や地域との共働」について伺いました。

(令和6年7月18日 インタビュー実施)

企業との共働のきっかけを教えてください。

子ども健全育成事業と言っていますが、自治体が行っている福祉とはまた違う形で子どもたちのサポートをしており、ホームページ上で日々の活動を公開しています(毎週月曜日のほか随時更新)。そういったものを見ていただいて、ザ・リッツ・カールトン福岡からメールをいただきました。福岡への進出をきっかけに、福岡でホテル事業を行っていく中で地域貢献活動を行いたいということで「子ども食堂」を行っている山王学舎を手伝えないかと、メールをいただいたのがきっかけです。

月1回ボランティアとして来ていただいてます。

事業についてオープンにしていることで、ザ・リッツ・カールトン福岡にも届いたということですね。

NPOというのがニッチな課題を解消するところもあり、そういった点で活動が見えにくい部分があると思いますが、私たちはホームページ上で活動をオープンにしているため、声を掛けやすかったのではないかと思います。

 

全国的に子ども食堂が広がり始めた当初は、対象は経済的に困難を抱えている家庭や子どもたちでしたが、私たちが活動を始めた頃は、子ども食堂が各地域にあり、福祉の意味だけではなく、新たな地域の関わりの場のような役割になってきていたため、そこまで活動をクローズにしなくていいと思い広報していたのが、ザ・リッツ・カールトン福岡との結びつきが出来たきっかけではないかと思います。

共働の価値をどこに見出していますか。

例えば、ザ・リッツ・カールトン福岡が山王学舎を手伝っている、そのような企業のブランディングが、小さなNPOと共働いただくことで、私たちNPOの地域の中での価値を高めることがあるのではと思います。

 

また、ホテル事業を担っておられる点で、個人のスキルが大変高い方々なのではないかと期待しています。

ザ・リッツ・カールトン福岡としては、企業自らが実施するのではなく、いまNPOが実施している事業のサポートを行う、という点に価値を見出しておられるのではと思います。

 

また、企業ではありませんが、ここ数年ずっとボランティアに来ていただいている福岡女学院大学や福岡こども専門学校の学生、個人の方もいらっしゃいますが、それぞれの属性を気にせず毎回受け入れていますので、価値を見出すというのはこれからかと思いますし、見出していいのかという思いもあります。

テーマとずれますが、福岡女学院大学や福岡こども専門学校とはどのような形で繋がったのですか。

やはりホームページです。ホームページで私たちの活動を見て、メールと電話をいただきました。福岡女学院大学ではゼミの先生が学生たちに、地域貢献活動をしてもらいたいと思っておられるということでした。福岡こども専門学校も同様でしたが、ボランティアに参加することが授業の中に組み込まれているかどうか定かではありませんが、参加する学生たちには、しっかり子どもたちのサポートをしてもらっているので大変助かっています。

共働相手との意思疎通、すれ違いを生まないコツはありますか。

ザ・リッツ・カールトン福岡も、もしかすると専門性をもっと発揮したいと思っておられるかも知れませんが、私たちとしては、まず、いろいろなボランティアの方々が集まって事業を実施していることを分かっていただいた上で、みんな平等にやりましょうと説明しています。ですので、こちら側もザ・リッツ・カールトン福岡の調理場の方が来ると聞いて、いきなり料理を任せようとはしません。マンパワーとして、みなさんと一緒に手伝ってくださいと説明します。そうしなければ、属人化ではないですが、その方がいないと事業が出来ない、となりかねません。

共働する中で大変だと感じていることはありますか。

そんなに困ることはないですが、コミュニケーションの部分ですね。ザ・リッツ・カールトン福岡には外国籍の方が多く、言語が異なりますが、コミュニケーションはできる限りとっていきたいと思っています。

 

ザ・リッツ・カールトン福岡との話ではなく、これはボランティアの話ですが、活動は基本的に無償ですが、助成金の中に謝金として支払えるものがあり利用したこともありました。助成金終了後に、今回は謝金が無いな、と思われていないか、私の中に不安が生まれてしまいました。長くボランティアでお願いしていることに対して、こちらとしては想いを伝えたい。真の意味で共働にはなり得ていないと私は思っています。この活動もボランティアの方々に甘えている部分があると思います。

事業を行う上でモチベーションを維持する方法はありますか。

私個人としては、仕事をするのが好きで、仕組みを作り、それが回り出していく事に大変喜びを感じます。そして、その仕組みで地域がほんの少しでも豊かになればいいなと思っています。

 

法人設立時に、食の活動、子どもたちの居場所、子どもの学びの場所の3つの柱を作ったのですが、設立から6年経ち形は大小さまざまになっています。形は変わりつつ山王学舎という場所が、できるだけこの場所で、継続できるようにすることがモチベーションです。

団体の存在意義としては、支援が必要な方だけではなく、支援したいと思っている方々にとっても、ここで集まることができるための仕組みづくりなので、そこを大切にしなければいけないと思っています。

共働を行ううえでのポイントはあります。

いろいろなボランティアの方を受け入れるため、ボランティアの中で経験値によるヒエラルキーが生まれないようにしたいと思っています。

ただ、今日お話ししているのは、特に子ども食堂に対する共働のボランティアのみなさんとの事ですが、いつも調理をしているのが地域の方々ですので、いろいろな企業や学校、一般の方々がボランティアで参加することになった時は、地域に来られるということで、地域の方々にまず相談します。そして、色々な意見を聞きながら、ボランティアを受け入れています。

共働したいと考えている団体に対してメッセージをお願いします。

やはり、ボランティアをただ単にマンパワーとして考えるのではなく、その方々に対しても責任を持ち、その方々にも、ボランティアの価値を見出してもらい、持ち帰ってもらう。それぞれ皆さんの価値の共有ができればいいのかなと思います。

団体として今後の方向性は。

他のNPOと違い、収益化できているものがないので、どうしようかと考えています。資金が足りていない事業は自己資金を補填することで、ここ数年実施しています。子ども食堂については、こんなにも、ボランティアは本当にいい活動とご理解いただいてきており、団体との方向性は合致しているので、あとはソフトランディング出来るのかなという感じで行っています。今後も、できるだけNPO法人としての活動を継続させたいと考えています。