Wing-Wing 大木さん
公民館で実施されたキャンドルづくり講座
子どもたちが自信に満ちあふれて過ごす社会、自信に満ちあふれた子どもたちが活躍する社会を目指し発足されたNPO法人Wing-Wing。その代表である、大木さんに「地域(公民館)との共働」について伺いました。
(令和6年2月9日 インタビュー実施)
・私が育つ過程において、公民館は身近な場所でしたので、地域と関わりながら活動したいという思いがNPO法人を設立する前のママサークル時代から持っていました。最初のきっかけは、子育て支援をしているメンバーがいて、公民館で子育ての講演の依頼をもらったことだったと思います。
・ママサークル時代も、私が育った地元の公民館で、福岡花市場(福岡県花卉農業協同組合)と一緒に、子どもたちが花を植えて、育てて、収穫して、アレンジメントをするという、3か月位の夏休みのプロジェクトに関わらせてもらったことがありました。その時は、福岡花市場が子どもたちに、花育(はないく)をしたいということで、一緒に企画したことがきっかけです。
・以前から、公民館と一緒に事業をしたいと思っていたので、中央区役所の「公民館じょいんとプロジェクト」の報告会に行って、名刺をいろんな公民館の方にお渡ししました。報告会などにお伺いして、他の公民館はどんなことをされているのかとか、私たちが何かできることはないかと、聞きに行ってました。
・NPO法人を設立してからは中央区の公民館と最初に共働を行いました。ママサークル時代は、私の出身の城南区の堤公民館と共働していました。中央区だと小笹公民館、草ヶ江公民館、平尾公民館は、ここ数年ずっと、一緒にしています。早良区の四箇田公民館も、夏休みとかに、ここ数年ずっとお声かけいただいています。堤公民館と四箇田公民館はシニア向けも色々企画しています。参加者に合わせて企画をアレンジしていくので、子ども向けか大人向けかで、内容や説明の仕方を変えていくという感じで、対象の方に応じて作っています。公民館から、今までやってないことをやってみたいとか、新しいことやりたいんですけど、みたいなことを伺って企画を作っていきます。内容としては、小学生向け、大人向け、乳幼児の親子向けの企画があります。
・ご紹介だったり、公民館はブログを書いてらっしゃるので、よその公民館のブログを見たのですがと依頼のメールをいただきます。講座を開催している時に、見学に来られることもあるみたいです。
・公民館とか地域と一緒にやることによって、多くの子どもたちに、私たちの思い、活動を届けられるっていうのは大きな効果だと思います。私たちだけの活動だと、どうしても来てくださる方は20人位ですが、公民館と一緒にすると50人位になります。
・公民館だと、地域の子どもたちが安心して来られるし、保護者にとっても安心して行かせられる場所だと思うんです。公民館の職員さんは、子どもたちのことをよくご存知なので、私たちも初めてのお子さんであっても安心ですし、多分、参加者側もすごく安心感があるんだと思います。
・今の子どもたちの現状や子育て環境、どういったことを望んでいるのか、困っているかも、お伺い共有することができるので、私たちの活動の参考になります。そういう意味では、本当に地域と一緒にすることはメリットだらけです。
・大変なことはそんなにないです。
・公民館から、限られた予算の中でするため、もっとやりたいけど、費用面で何回も子どもたちへの講座ができないとか、子どもだけの場所じゃないので、バランスを取っていくのは難しい、という話は聞きます。そういった面では、地域の企業とかが、サポートして費用や物品の提供があると、もっと事業を実施する機会が増やせるのではと感じています。
・中央区の平尾公民館では、講師料は公民館だけど、材料費を青少年育成会が出してくださって、子どもたちからは費用負担なしで、フラワーアレンジメントができました。赤坂公民館は、校区男女共同参画会議と公民館の共催で性教育の講座を開催しました。男女協の役員であるPTAの協力もあり、小中学生の保護者が多く参加し、子どもたちへの性教育や、保護者が知っておくべき知識の講座が好評だったそうです。
・南区の柏原小学校での花壇の手入れの活動もPTAの中の、園芸ボランティアと一緒にしました。園芸ボランティアから、PTAに話をあげてもらい、私たちと一緒に、1年間花壇の手入れや寄せ植え講座をするということで、PTAの承諾をもらい、予算はPTAからとNPO法人側の助成金で実施しました。
・私たちは保護者の集まりで、自分たちの子どもや周りの子どもたちの様子を見たり、友達の子育ての課題や悩みを聞いたりする中で、自分たちに出来ることはなんだろうとずっと考えながら、1つ1つ形にしている団体です。モチベーションは、自分の子どもが大きくなっても、関わっている子どもたちとかご家族は笑っていられる、子育ては苦しいけど楽しいよねっていうところを分かち合いたい、の延長だと思います。あとは、参加してくださる方たちの「よかったね」のお声です。
・自分の子どもだけでいいんじゃないか、NPO法人にしている理由はなんですかとよく聞かれます。自分たちの子どもから思いはスタートしていますが、その子たちが歩んでいく社会には、多くの子どもたちが関わってくる。関わってくる子どもたち全員が幸せにならないと、未来は明るくならないという感覚です。だから、我が子だけじゃなく、その周りにいる子どもたちみんなが、明るく自分らしく生きていってほしいです。
・対象は子どもに見えて、実は大人だったりします。保護者が元気じゃないと、子どもは笑顔にならないので、本当は、子育て中の保護者を、元気に笑顔にすることをしたいんですけど、保護者は自分にお金も時間も使わない方が多いんです。だから、子どもたちに届けることで、そこに来ている保護者に、私たちの思いを伝えたいっていうのはすごくあります。
・心掛けているのは、地域の方が参加できるような仕組みを入れることです。例えば、「言葉のチカラ事業」では、作文教室をしますが、その時には子どもたちが記者となって、地域の方を取材しませんかと提案します。例えば、自治会長さんや公民館館長さんにインタビューしてみるなどです。地域のことを知り関わるきっかけを作れたらいいなと思っていて、それは積極的に提案するようにしています。子どもたちが手紙を書く事業では、青色防犯パトロールの人にありがとうって書く子もいてすごく喜ばれました。その手紙を公民館に掲示すると、地域の方たちが公民館に来て読んでくれました。地域の中で住民同士が交流を深める提案をできたらいいなと思っています。
・とにかく、公民館が目指しているところ、思いを多く聞き取ることです。慣れていることや慣れてないことがお話の中から見えてくるので、全部請け負った方がいいのか、ある程度、公民館主導で私たちはサポートがいいのかを、お話の中から見極めていくことに気を付けています。あくまでも公民館の事業の中の共働なので、公民館の思いや公民館が事業するうえで大切にしているところを尊重します。
・コミュニケーションをしっかり取ることと、当日は積極的に関わるということです。打ち合わせは館長や主事がメインですが、当日はその場にいる人全員とお話し、講座が終わって先に帰るというよりは、最後まで一緒に片付けまでします。公民館も終わった後に振り返りとか、次に向けてとかのお話の時間をくれるのでいいなと思っています。
・私たちには見えてないものや、地域の方には当たり前すぎて見えていないかもしれない地域の思いや財産を、共働することにより、子どもたちや地域に還元できるというか、お互いの持っているものを出し合うことで、よりいいものになっていくと思うんです。私たちが持っているスキルを、地域の財産と組み合わせるみたいな感じです。地域の思いを知ることから始め、お互いの思いや課題を、まずは一緒にテーブルに並べてみると、なにか生まれる気がします。