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更新日: 2020年2月25日

「カウンターで、人と地域をつなぐ」二見ヶ浦に、ナップカフェができるまで。<ナップカフェ 前編>

(2019年8月取材)

画像:ナップカフェ 店長 三嶋和仁

福岡市と糸島市の境目にあたる北崎地区の最西端に位置し、ドライブコースとしてにぎわう二見ヶ浦エリア。夫婦岩や刻一刻と変わる海の景色を眺められるロケーションが人気の「nap café(以下、ナップカフェ)」は、現在の糸島エリアの盛り上がりよりも前から15年に渡り営業しています。開業当時の様子や現在の盛り上がりに対する想いなど、このエリアを長く見てきた店長・三嶋さんにお話を伺いました。


人生を決めきれずにもがく日々。自衛隊入隊から、バーの道を目指すまで

画像:ナップカフェ 店長 三嶋和仁


ナップカフェの店長・三嶋さんは福岡市の出身。高校生のときに「やりたいことがわからない」と進路と対峙し、縁あって自衛隊に入隊したそうです。


「周囲がどんどん進路を決めて受験勉強を始める中、どうしても自分にはやりたいことがみつかりませんでした。ボート部で全国大会に出場したり、高校3年生の夏に自転車で九州一周をしたりと、興味のあることには打ち込めるものの、いざ将来のことを考えるとさっぱりわからなくて。そんなときに、海上自衛隊で働くという選択肢と出合い、『4年頑張って、働きながらやりたいことを考えてみよう』と入隊しました」


ボート部に海上自衛隊。今の「海のすぐそばのカフェ」にも通じる共通項ですが、海のそばでカフェを経営するようになったきっかけは何だったのでしょうか。


画像:カフェから海が見える様子


「入隊していた海上自衛隊では、世界各地の港に寄港する機会がありました。仕事は海の上なので、陸地に上がって寛げる時間がとても楽しみなんです。ある日先輩に連れられて訪ねたバーで、“来た人を受け入れてくれる”バーカウンターの魅力に気づきました。
『WELCOME!』って言ってもらえる気がしまして。自転車での九州一周旅行も自衛隊入隊もそうなんですが、これと思い立ったらすぐに行動してしまうところがあるので、このときも貯金していたお金をはたいて、所属の呉基地から一番近い都市部である広島のバーテンダースクールに通い始めました。そのうち、呉に伝説のバーテンダーがいると知り、自衛隊を退職したあとは、その店で修業しました。その店は『ナポレオン』というとても有名なバーで、師匠である横山守さんにたくさんのことを教えてもらいました。ここでは『3 年間頑張ろう』と決め、2 年目にはひとつ店舗も任されました」


自衛隊で4 年、ナポレオンで3 年。決めた期間で着実に道を見つけてこられたように見えます。
「振り返ればそうですが、実際はずっと自分の人生を決めきれないことにもがく日々でした。直感と期間を決めて頑張るということを繰り返しながら、飛び込んだ先でたくさんの人の助けを借りられて、今に至っていると思います。ナップカフェも、そんな流れでできたんです」


バーやカフェを経営するには需要がない…そんな想いの末にたどり着いた二見ヶ浦との出合い


画像:インタビューの様子(1)


3年の期間を経て、地元へ戻って開業準備をはじめた三嶋さん。しかし、地元だった周船寺も実家が移った先の福吉も、バーやカフェの需要は皆無だったそう。途方に暮れそうなところですが、三嶋さんはまたも飛びこんだ周船寺の「カフェ・ド・ヒナ」のオーナーに新しい縁をもらいます。


「福岡に戻ってきたのが今から20年くらい前になりますが、呉では当時ランチの単価が1,200円くらいだったのに対し、福岡は1,000円でお釣りがくる価格帯でした。ワンコインランチもたくさんあり、想定していた状況よりも開業の条件としては売り上げが見込めないなと思いました。どうしようかな、と考えあぐねていたときに立ち寄った『カフェ・ド・ヒナ』のオーナーが、現在のナップカフェの向かいにあった『ムーンライトクラブカフェ』の出身と知り、オーナーを紹介してもらったんです。


すぐに逢いに行って色々話を伺ったところ、ちょうど二店舗目の大名店『クレセントムーン』に集中したいというタイミングだったそうで、『ムーンライトクラブカフェ』の店長としていまのエリア、二見ヶ浦での仕事をスタートすることができました。まぁ、この地域でやる以上、お酒はあまり出せないので、結果的にバーではなくカフェに携わることになったんですけどね」


ムーンライトクラブカフェの店長を経て、ナップカフェが誕生


「当時、このエリアにはSUNSET、ムーンライトクラブカフェ、二見レストラン、トレースの4店舗しかなかったんです。今のように平日でもドライブに来る人がたくさんいるような状況でもなかったのですが、僕はとにかくこの海の見える場所がどんどん好きになっていきました。


そんなとき、現在のナップカフェの場所にあった『トレース』を譲り受ける話が進みました。実は『トレース』は地主さんがされていたお店なんですが、売って下さいとお願いするもなかなか承諾いただけなかったんです。家賃を払うから貸してくださいと頼んでも、NG。店長として来てくれないかと言われ続けながらも、福岡に戻ってきて以降独立のスイッチが入ってしまっていたので、まだ前原で土地を探したりしていたんです。最終的には、紆余曲折を経て借りることができるようになりました。それが、2004年4月4日です」


画像:海岸の様子


直感と人との縁をつかみ、現在の「ナップカフェ」を誕生させた三嶋さん。後編では、開業当時の様子や現在に至るまでの盛り上がりの様子などを伺います。


(取材/後藤暢⼦)


<後編>


nap café(ナップ カフェ)

 住所:福岡県福岡市西区小田字外蒔2206
 電話番号:092-809-2692


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