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更新日: 2020年2月25日

⽬標は、「儲かる」ことより「潰れない」こと。地域の暮らしで180 度変化した⻄さん夫妻のゲストハウス経営<fukuoka guesthouse chillout ビジネスレポート 後編>

(2019年2月取材)

画像:⻄俊次・⾥奈 fukuoka guesthouse chillout オーナー

「お⾦儲け」から「ゲストハウス」の経営に⼈⽣をシフトさせ、都会から北崎での運営に変更しDIY でゲストハウスを作りつつ、すでに稼働している「fukuoka guesthouse chillout」のオーナー・⻄さんご夫婦。後編では、地域との関係性や、実際に利⽤しているゲストの様⼦についてお話を伺いました。


都会志向から⼀転、北崎へ。気になる地域との関係性


現在の場所に惚れ込み、⼤家さんや建築⼠さんの協⼒を得ながらDIY しつつゲストハウスとして稼働している「fukuoka guesthouse chillout」。⼤家さんの理解は得られたようですが、最初からうまくいったのでしょうか。


「ここは私に⾔わせてください。昨年夏に粕屋のマンションを引き払ってここに移ってくるまで、妊娠・出産時期だったのですべての準備を主⼈に任せていたんです。それが…移ってきたその⽇、愕然としました。ライフラインが何ひとつ整っていないんです。⽔も出ないし、もちろんお⾵呂にも⼊れない。電気もきていませんでした」


⽣まれたばかりのお⼦さんを連れて、その環境はきついですね…。


「もう、そこから何が⾜りないのかを確認して⼿配して、夜は近くの温泉に⾏ったり海で獲ったタコをBBQ にして⾷べたり。サバイバル・ファミリー状態でした」


当時のことを思い出しながら、⼤変だったと話しつつも⼤笑いの⾥奈さん。この笑顔に救われながら、俊次さんは上下⽔道の配管も⾃分でこなしたそうです。


「いま、DIY の技術を学ぶ⽬的も兼ねて⼩⼾のヨットハーバーのクルーザーの内装⽤家具を作る仕事に⾏っているのですが、困ったときは⾊々相談してなんとかライフラインも整えました。今もまだ床を貼る途中ですが、まぁなんとか終わると思います」



画像:建築途中のお店
俊次さんとお友達が時間をかけて作り上げたダイニングキッチン。
スピーカーがはめこまれた壁など、男性ならではの趣向も随所に感じられます


聞いているだけで、毎⽇何かしら事件が起きているように⾒えるのですが、周辺の地元の⽅々からの理解は得られましたか?


「最初は『よそもんね?』と聞かれたりしましたけど、『そうです!よろしくお願いします!』とご挨拶させて頂いたあとは、親切にしてくださる⽅も増えました。ちょっと⼝は悪いけど、悪気があるわけでもないんだなとわかり、気にしなくなりました。ただ、そうは⾔ってもまだ若いですし、挨拶とマナーだけはしっかり守るように⼼がけています」と俊次さん。⽥舎独特の⽂化の場合、⼥性も気を使うことがあると思いますが、⾥奈さんは
「やはり狭いコミュニティなので、ネットワークがとても強いなと思います。⼦育てにいい情報なども頂けています。ただ、『お⾦にがめつい』と空気として出てしまい、『この⼟地に⾦儲けをしにきた』と思われかねないな、と感じました。『⼀時期だけここにいて、お⾦が稼げたらでていくよそもの』という⾒⽅をされかねない、と。私たちはここを拠点にしてゲストハウスの数を増やし、ゆくゆくは海外を旅しながら経営をやれたらと思っています。間借りの気持ちはないのでそこは気を付けています」とのこと。
数年前までお⾦儲けが⼀番だったお⼆⼈とは思えない価値観ですが、これも「ゲストハウス」を通じて変化してきた考え⽅にもとづくようです。


画像:浜辺の様子
「fukuoka guesthouse chillout」を出て数秒で、浜辺が⾒えるという絶好のロケーション。
公園もあるので、お⼦さんが遊ぶ場所にも困りません


画像:取材中、近所のお寺の住職さんが⽴派な⼤根を持ってきてくれました
取材中、近所のお寺の住職さんが⽴派な⼤根を持ってきてくれました


「今、⼤根を持ってきてくださった住職さんは、休耕地を使って野菜を作っているんです。うちも少し畑を借りて、野菜の収穫体験ができるようにしています」
俊次さんのすっと相⼿の懐に⼊っていくキャラクターと、その場では怒りながらも「しょうがないねー」と笑いながらどんな事態も⼀緒に受け⼊れてくれる⾥奈さんのコンビネーションで、地域の⽅からの様々な協⼒を得られている様⼦が伝わります。


「お客さんが来たらラッキー」というゆるやかな⽇常。この地で暮らす良さとは


「昔あんなにガツガツしていたのに、今はこのゲストハウスも『お客さんが来たらラッキー』という感じで、基本的には家族3 ⼈でシンプルだけど楽しい毎⽇を過ごせていることにとても満⾜しています。当初思い描いていた都会でのカッコいいゲストハウスの夢ではなくなったり、建築からリノベーションに変更になり、ライフラインも全部⾃分で整えたり、といった想定外のことを乗り越えながら、⼤きく考え⽅が変わってきました。さすがに僕も、あぁこれはどうしようと思うことはありました。でも、⽇本は本当に恵まれているので、『よほどのことがない限り、仕事が底をついても死ぬことはないな』と⼤きく考えることで、『死なないなら、1 回くらいやりたいことをやろう』と思うようになってきたんです」


画像:海外からのゲストが、住職の畑の⽴派な⼤根を収穫する様⼦
海外からのゲストが、住職の畑の⽴派な⼤根を収穫する様⼦。とっても楽しそう!


画像:海外からのゲストが⼀緒に寛ぐ様
⻄家のお⼦さんと、海外からのゲストが⼀緒に寛ぐ様⼦。
⾚ん坊のうちから異⽂化交流できるのは、このゲストハウスに⽣まれた特権でしょう


数々の困難を地域の理解を得ながら乗り越えた結果、⼆⼈のなかでこの地に暮らす意味合いがより⾊濃くなってきたようです。


「うちの娘にいたっては、そもそもこの家で⽣まれたかのような順応ぶりです。ブランドものが好きで、新しい情報やスポットと接していないと⽣きている気がしなかった私が、貼りかけの床を⾒ても笑えるし、頂いた⼤きな⼤根を洗って、葉っぱをふりかけにするなんていう⽣活をするとは夢にも思っていませんでした。でも、このシンプルに⼈間としての⽣活ができる環境には、そんなにお⾦がかからないので、主⼈が働きに出ている内装⽤家具のお給料と貯⾦で⽣活できています。DIY もまだ途中ですけど、そのことも理解して下さるゲストの⽅が、⼀緒に壁にペンキを塗ってくださったりしていまして、『⼯賃の節約』とかではなく、⽴ち上げ当初に来てくれた⼈との共通の想い出を刻みながら、少しずつ完成に向かっている、というつもりでいます。私たちがゲストハウスが⼼地よかった理由のひとつに、オーナーさんと今でも交流が続いていて、まるで友⼈や親戚かのような関係を築けているということがあるのですが、うちもそういう場所にしたいんです。よく⾒たら塗りムラがある窓のサンのペンキも、塗ってくれた⼈がまた遊びにきてくれて『ここ、私が塗った場所!』なんていう会話で盛り上がれるような、そんな家にしていけたらいいなと思っています」


画像:ゲストが壁に書いて帰ったメッセージ
⽞関に⼊ってすぐに⽬に⾶び込んでくる、ゲストが壁に書いて帰ったメッセージや、帰国後に届いた⼿紙たち


昨年末に開業許可がおり、すでに週末は予約で埋まっている「fukuoka guesthouse chillout」。予想と異なり、⽇本⼈の利⽤者が多いそうです。「情報過多な都会から離れ、メンタルをリセットできる場所として、⼼⾝の健康の⼀助になれば」、と最後に俊次さんが語ってくれました。


きっとすぐに「予約のとれないゲストハウス」として⼈気になるでしょう。⼆軒⽬、三軒⽬と増える頃には、ご夫妻で海外を旅しながら、⽇本への旅⾏者をつなぐ橋渡しとなり、北崎の活性化につながっているのではないかと思います。

 

(取材/後藤暢⼦)


<前編>


fukuoka guesthouse chillout

 https://www.booking.com/hotel/jp/gu-min-jia-diyhausu-chill-out.ja.html
 住所:福岡県福岡市⻄区宮浦2129-16
 電話番号:080-3967-7857


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