同和問題に対する理解を深めましょう

同和問題

 同和問題は、日本社会の歴史的過程で形作られた身分差別により、日本国民の一部の人々が、長い間、経済的、社会的、文化的に低い状態に置かれることを強いられ、今なお、日常生活の上で様々な差別を受けるなどしている、わが国固有の人権問題です。
 近年では、インターネット上で差別を助長するような内容の書き込みがなされるなど、人権侵害事案が依然として存在しています。
 このような中、平成28年(2016)年12月に「部落差別の解消の推進に関する法律」が施行されました。同和問題に対する誤った知識や思い込みは、解決を妨げます。同和問題への理解を深め、一人ひとりの人権が尊重される社会を実現しましょう。

水平社宣言

 明治4年(1871年)、後に、いわゆる「解放令」と呼ばれる「太政官布告」が出されました。これによって、江戸時代から続いていた身分制度は改められ、差別に苦しんでいた人々も一般市民と同じであるとされましたが、差別は依然として残りました。そこで、部落差別に苦しむ人々は、大正11年(1922年)3月3日、京都の岡崎公会堂に集まり、人間としての平等を願い、自分たちの力で差別からの解放をめざす運動を進める「全国水平社」を創立したのです。
 その創立大会で採択された『水平社宣言』は、差別に苦しむ当事者自身が声を上げ、社会を変えようとする日本初の人権宣言とも言われています。

 水平社宣言(部分要約)
「全国に散在する部落の人々よ、団結せよ。ここに我々が人間を尊敬することによって、自らを解放しようとする運動を起こしたのは当然である。我々は、心から人生の熱と光を求めるものである。水平社はこうして生まれた。人の世に熱あれ、人間に光あれ。」

 水平社は、すべての人が、あらゆる差別を受けることなく、人間らしく暮らしていける社会の実現をめざしました。残念ながら、水平社宣言から100年経った今も同和問題など、様々な人権問題があります。当時の人々の思いや願いを想像しながら、真に、人権が尊重される豊かな社会をつくるためにはどうしたらよいか、ぜひ考えてみましょう。 

同和問題に対する理解を深めましょう

 同和問題をいまさら取り上げる必要はなく、このままそっとしておけば自然に解消するという、「寝た子をおこすな」のような考え方があります。
 同和問題に関する差別は、日本の社会の慣行の中や、身近にも、現実にも様々な形で存在しています。インターネット上で差別を助長するような書き込み等も発生しています。
 「寝た子をおこすな」のような考え方では、同和問題に関する正しい理解を深めることなく、誤った情報を信じたり、周りに流されて偏見を持ってしまうことがあるのではないでしょうか。

えせ同和行為の排除のために取り組みましょう

 同和問題の解決を阻む大きな要因になっているものに、いわゆるえせ同和行為の横行があります。これは、同和問題を口実にして企業や官公署等に不当な利益や義務のないことを求める行為(例えば、高額の書籍を売りつけるなど)を指します。
 えせ同和行為は、同和問題に対する誤った認識を植え付け、差別や偏見を助長する要因となっています。
 えせ同和行為に対するあいまいな対応は、被害の拡大と差別の助長につながります。行政機関や企業等が密接に連携し、不当な要求にはき然とした態度で要求を拒否するなど、えせ同和行為の排除のために取り組むことが必要です。

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