福岡市人権啓発センターでは、映画をとおして人権問題を身近に考えていただくための、人権映画会(ココロン映画会)を開催いたしました。
ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。
ありふれた日常が崩れた中で見つける、自分らしさとは…
昨今 社会問題となっているヤングケアラーに着目し、監督自らが携わった保護猫活動の実態を織り交ぜながら、女子高生の主人公が、家族間のすれ違いや母の介護と進学への悩みを抱え、心身共に追い詰められていく中で、野良猫を救うことをきっかけに家族や学校以外の社会と関わることで、前向きになれ自分らしさを取り戻していく姿を描く。
突然ヤングケアラーになった女子高生と、そばにいた“猫”の物語。
“子どもが子どもらしくいられる街“をみんなでつくっていきたい。周りの人が気づき、声をかけ、手を差し伸べることで「誰かに頼ってもいいんだ」と思えること、 それはきっと子どもだけでなく、すべての人が幸せに暮らせる社会をつくる一歩。
本作品にはその一助になればとの想いが込められています。全編、福岡県内で撮影された作品です。(公式HPより)
●監督プロフィール
祝 大輔(いわい だいすけ)氏
映画監督・時代考証リサーチャー
日本映画学校を卒業後、助監督・時代考証リサーチャーとしてNHK大河ドラマ「風林火山」「篤姫」「龍馬伝」「西郷どん」、大友啓史監督「るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編」などに参加。
2015年、48 Hour Film Project TOKYO2015にて、 初めて撮った短篇映画「わたしのセンター」が審査員特別賞、 オーディエンス賞を授賞。2016年、第5回クォータースターコンテストにて、短篇映画「沈黙するポムポムの悪戯」が第2位の優秀作品賞を授賞。2024年、長篇 初監督を務めた映画「猫と私と、もう1人のネコ」が、ベトナムのダナン・アジア映画祭にて、アジア映画コンペティションにノミネートされる。
●脚本プロフィール
阿久根 知昭(あくね ともあき)氏
脚本家・演出家・映画監督
描いた漫画が1987年の講談社第16回「ちばてつや賞」で準優秀新人賞を受賞し、漫画家、エッセイストとして活動を開始する。1994年映画の企画に関わって以来、脚本も手掛けるようになる。その後、劇曲、舞台演出、ラジオドラマ作・演出を中心に活動してきたが、2013年公開映画「ペコロスの母に会いに行く」の脚本を手掛け、本格的に映画へ進出。2015年公開の「はなちゃんのみそ汁」では初監督も務めた。現在は、作家集団「ライト スタッフ ギルド」の代表を務め、RKBラジオにて連続ラジオドラマ~シアワセの高取家~の制作、演出を務めている。2023年映画「猫と私と、もう1人のネコ」脚本を担当する。
この作品を製作しようと思われたきっかけや、ヤングケアラーを描く点で心掛けたことをお話いただきました。
また、出演者等のサイン入りのポスターや映画の中で登場した絵画をお持ちいただきました。
・ただ映画を見て感じるだけではなく、監督さんや脚本家の方たちの話を聞くことで新たな気付きや思いがわかりとても良い機会でした。
・ヤングケアラー。よく知られたワードになりました。子どもにとっての過度の負担と、家族の役割として当たり前の感覚や使命感とのバランスの見極めの問題と捉えていましたが、この映画を観て、人のことを思いやれるがゆえの優しさも要因と成りうることを知りました。福祉は、たまたま支援の手や制度に触れられたラッキーな人だけが救われるものであってはいけません。SOSを発信できる環境整備や、声を上げていいんだよって、学校で繰り返し伝えて追い込まれないようにして欲しいと思いました。トークショーで、お二方が細部まで拘って製作された映画ということが分かり、改めて台詞や登場人物の描き方が素晴らしいと思いました。トークショーまで参加して良かったです。桜にサクラサク吉報で、桜だけでなく一家の未来への踏み出しを応援したくなる、清々しさに満ちたエンディングも良かったです。次作も素敵な作品をお願いします。
・この作品で最もチャーミングで人間らしく描写されていたのは、一青窈さんが演じる環だと感じました。「わが子を愛する心と、それが故の過干渉」、「まるで戦っているようにすら見える仕事中の凛々しさと、実は社会に対して少し虚勢を張っている姿」、「親としてこうあらねばという強い意志と、親である前に一人の人間として感情を爆発させて泣きじゃくる素の自分」、誰しもが心に持つ部分で子育て中の自分と重なり、とても共感しました。でも、もし自分が10代の頃にこの作品を観たら、櫻に強く共感し、環の姿に戸惑いや反感、悲しさすら覚えたことでしょう。5年後、10年後、20年後…、年齢や立場など今と異なる状況で観ると、その度にきっと違う感じ方、受け止め方をするのだろうと思います。その意味で、祝さんや阿久根さんが仰っていたように、5年後、10年後、20年後と、何度も観たい映画でした。
・祝監督の「やらなきゃいけないことよりやりたいことを」の言葉が印象的でした。弱音・本音を吐けることを促してくださる感じが有難かった。
〒810-0073
福岡市中央区舞鶴2丁目5番1号 あいれふ8階
福岡市人権啓発センター事業推進係
TEL:092-717-1237
FAX:092-724-5162
E-mail:jinkenkeihatsu.CAB@city.fukuoka.lg.jp