(2017年7月取材)
(株)オペレーションファクトリー
全国各地でプロデュースや直営店舗を運営する「(株)オペレーションファクトリー」。福岡で3店舗目に立ち上げた「カリフォルニア バーベキュー ビーチ」は、中心地ではなく今宿地区にあります。なぜこのエリアに、そしてどんな想いで事業を立ち上げたのかを(株)オペレーションファクトリーの西尾元伸さんにお聞きしました。成長を続ける福岡市の未開拓エリアの新規事業事例として、農山漁村地域でのビジネス展開のポイントや地域資源を活かしたビジネスモデル構築のノウハウに迫ります。
西尾元伸 (株)オペレーションファクトリー・福岡直営事業部ディレクター/事業責任者
1100坪の広大な敷地に、キャンパー憧れのエアストリームが並ぶ
福岡は今津湾を右手にして唐津街道沿いに西へと進んでいくと、長垂海浜公園の手前に突如出現するリゾート空間。以前は宿泊施設が建物だけ取り残されていたその姿が記憶にある方も多いのではないかと思います。長年廃墟の様相を呈していたこの地をリゾート空間「California B.B.Q BEACH(カリフォルニア バーベキュー ビーチ)」(以下、CBB)として蘇らせたのは,(株)オペレーションファクトリー。建物は一切なく、コットンテントで贅沢に過ごせる「グランピングエリア」、エアストリーム社のキャンピングカーの中で快適に過ごせる「エアストリームエリア」、砂浜の上に設置されたウッドデッキが開放的な「ウッドデッキエリア」と3種類のゾーンごとのプランに加え、オーニングを設置したリーズナブルなカジュアルプランとスタンダードプランもあり、利用する人数や用途に合わせて選べます。このエリアプランに、2種類のバーベキュープランを組み合わせ、「手ぶらでバーベキュー」が叶うのがCBBの特徴です。
長年手つかずだったこの1100坪の土地がCBBとして生まれ変わるに至った経緯を、(株)オペレーションファクトリーの西尾さんにお聞きしました。
対岸に能古島を望む抜群のロケーション
「今宿」に「カリフォルニアスタイルのBBQ」を出店するまで
(株)オペレーションファクトリーは大阪に本社があり、全国で約40店舗の飲食店を手掛けています。直営店運営事業のほか、店舗プロデュースもしており、福岡では春吉にバー&ダイニング「Mitsubachi」、大名にイタリアン&ワイン「BARRANCA」を出店しています。全国的に都心部での展開が多い中、中洲にほど近い春吉や天神エリアの大名に続いて福岡で手掛けられた3店舗目が、なぜ今宿・長垂地区だったのでしょうか。
もともと大型店舗が得意で、「次は300坪くらいのもっと大きな物件を色々と探していた(株)オペレーションファクトリー。しかし、福岡の中心地にはなかなか広い区画はありません。そうこうしていたところ、1100坪という今回の場所と巡り合ったそうです。
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さて、300坪の予定が1100坪となると、かなりのスケールアップです。事業計画にはどんな変更が加えられたのでしょうか。
郊外かつ自然に恵まれているので、現地の食文化を大切にした飲食店経営を、ということで当初は建物を建ててベーカリーカフェにする予定だったそうですが、試算してみると当初の予定の数倍もコストがかかることが発覚。そこで、思案の結果、建物を建てることをやめ、現在のカリフォルニアスタイルのバーベキューに落ち着いたそうです。かなり計画に変更が出たことが伺えます。
カリフォルニアスタイルと言われるゆえんは、この本場アメリカのWEBBER社のスモークピットにある
遊び心を刺激するファブリックに囲まれ、テンションが上がるエアストリームの車内
春吉のMitsubachiも大名のBARRANCAも福岡の中心地であるのに対し、CBBは今宿・長垂エリアと郊外。前例にない立地ならではの、戸惑いや不安、苦労したことなどを聞いてみました。「中心地には中心地の地元事情などがありますが、郊外になるとまたその地域の事情があります」と西尾さん。出店にあたり、地域の理解は必須だと考え、自治会長のところに何度も足を運んだそう。最初は交通渋滞への懸念と、地元の方には挨拶が必要という認識で出向きますが、「今宿で事業をやるのは難しい。けれど頑張れば地元の人はやさしいから、きっと成功する。頑張って」と言ってもらったことが印象的だったそうです。長年誰も借り手のなかった土地だけに、「難しいけど応援はしたい」、というあたたかい気持ちがとても伝わってくる言葉だったようです。
(取材/後藤暢子)
住所:福岡県福岡市西区今宿青木1119-1
電話番号:092-805-4389 受付(11時00分〜17時00分)
営業時間:11時00分~22時00分(最終受付19時00分)
http://calbbqbch.jp