上下流地域の相互理解と連携を深めるため、平成9年度に「福岡市水道水源かん養事業基金」を設置し、さまざまな事業を推進しています。
福岡市は大きな川がないなど地理的に水資源に恵まれず、生活に必要な水の多くを筑後川などの市外の水に頼っています。
一方、本市の水源となっている市外のダム周辺地域や筑後川上流域では、過疎化や林業従事者の高齢化、木材価額の低迷などが要因で森林の手入れを行う担い手が不足しているため、森林の荒廃が進んでおり、森林の持つ水源かん養機能が低下し、将来における安定的な水源の確保が難しくなってきています。
このため水道局では、基金を設置し、水源林の整備や水源地域との交流事業などを行うことにより、水道水源のかん養機能の向上や水源地域の活性化を図っています。
水道使用量1立方メートルにつき水道料金から0.5円と、福岡市一般会計からの0.5円を合わせて、10年間積み立てを行い、各種事業に活用しています。
基金の使い方について協議するため、市民や学識経験者の参加を得て、運営委員会を設置しています。
福岡市水道関連の水源地域において、以下の事業等を行っています。
市内ダム周辺の集水区域において水源かん養林の整備を行うとともに、市外にある福岡市水道関連ダム周辺の集水区域においても、関係自治体と連携・協力し、水源林の整備を促進しています。
整備された森林の様子
水源地域に暮らす人たちと福岡市民との相互理解を深めるため、水源地域において市民の皆さんと一緒に植樹・下草刈りなどの育林活動や農業体験などを行う交流事業を実施しています。また、市民団体が水源地域において自主的に実施する育林活動や交流活動を支援するため、活動に要する経費の一部を助成する制度もあります。
ダム周辺での植樹の様子(日田市)
水源林保全活動などに必要な知識や技術を研修により習得した市民「水源林ボランティア」と共働して、水源林保全活動をはじめ、いろいろなイベントで水を育む水源かん養林の大切さをより多くの市民へPRする活動や水源地域との交流活動などを行っています。
また、水源林ボランティアの新規人材育成にも取り組んでいます。
下草刈り作業の様子
福岡都市圏広域行政事業組合が設置する基金事業に、都市圏自治体と協力して、都市圏共通の水源地域への各種取り組みを行っています。
これらの取組みのほかにも,(公財)福岡県水源の森基金及び(公財)筑後川水源地域対策基金に参画し、水源地域への支援等を行っています。