福岡市では昭和36年の「福岡市総合計画」に基づき産業振興を支える臨海工場地帯の埋立造成を促進し、軽工業を主体とした産業誘致に努めていました。
しかし、工業用水道がなく、地下水の確保も難しいことから、誘致企業への用水確保が急務となっていました。
そこで、昭和39年に福岡市、商工会議所、九州山口経済連合会、主要会社の参加による福岡市工業用水道整備促進会が発足し、本市産業の振興に寄与することを目的に工業用水道の計画が策定されました。
その後、市議会の議決や国への工業用水道事業の届出を経て、昭和41年4月から12事業所に対し供給を開始しました。
工業用水道事業は、博多港周辺部の工場等が使用する冷却水や洗浄水などの需要に対し、安価で良質な工業用水を安定的に供給することにより、 産業の振興に大きく貢献しており、令和5年度当初で30事業所に供給しています。
工業用水道は、工業生産を営む事業所を対象とし、生産過程において直接使用されるものの他、原料等の洗浄用、工場内部の清掃用、その他の雑用水等の「工業の用に供する水」として供給するもので、供給先は、製造業、電気供給業、ガス供給業及び熱供給業に限られています。
ただし、供給能力に余裕があり、公共施設や産業の健全な発達に資する施設など一定の条件を満たす施設を対象に、雑用水としても供給することができます。
《雑用水の事例》 トイレ用水、洗浄用水、清掃・洗車・散水用水など
契約流量に満たない場合でも、契約流量を使用したものとみなし、基本料金の定額を徴収するものです。
このことにより、給水量があらかじめ見込めるため、時間最大需要量に対応した過大な施設が不要となり、給水コストを抑え、安定した収入を見込むことができます。
固定費が大部分を占める事業特性から固定費回収を確実に行うために採用している料金制度です。
この料金制度(責任使用水量制)は、無期限責任水量料金制として全国的に採用されています(川崎市・北九州市等一部除く)。
本市では、全国の工業用水道事業で初となる浄水場業務の包括的な民間委託を実施するなど、将来にわたって持続可能な事業の確立に向けて、経営の効率化に取り組んでいます。
福岡市工業用水道事業の安定供給と安定経営を持続していくため、長期的な運営方針・目標を明確化し、効果的・効率的に施策を推進するため、平成29年度(2017年)から令和10年度(2028年)までの12年間を計画期間とする「福岡市工業用水道長期ビジョン2028」を策定しました。
また、この長期ビジョンの実施計画として、長期ビジョンの計画期間である12年間を3期に分け、中期経営計画として4年毎に策定しております。「第1次中期経営計画」は令和2年度で満了を迎え、令和3年3月に「第2次中期経営計画」を定めました。これらの計画に基づき、毎年度の予算や運営方針を策定し、効果的・効率的に事業を推進していきます。