新修 福岡市史

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新修 福岡市史 民俗編三 夜


『民俗編三 夜』

 A5判/上製本(函入り)/880ページ
 頒価 5,000円(税込)


『民俗編三 夜』 概要
民俗編三 夜 「夜」はどのように創られ、生きられてきたのか

 近代以前、多くの人々にとって「夜」は、特別な機会以外には活動できない時間だった。しかし近代に入ると、大都市の街路にはガス灯・電灯が備えられ、人々が活動する時間はより遅く、より長くなっていった。路面電車や人力車の夜間運行・自動車の普及は、人々が夜に移動することを可能にし、そうして形成された盛り場は消費の場所として夜の街の中核をなしていった。都市の装置は、大多数にとって不可侵だった「闇」を切り開き、人々の生活の場として作り替えていったのである。そうして創られた「夜」は、昼の延長としての日常だけでなく、新たな娯楽とそれを供する空間や仕事、犯罪などさまざまな側面を生んだ。一方、各家庭にも照明が普及すると、夕食後から就寝までの時間に、近代家族の象徴である「一家団欒」の光景が生まれた。
 民俗編 第三巻『夜』は、福岡市の人々の暮らしを「夜」というまなざしから読み解こうとするものである。福岡市の近代以降の変遷について、「夜」の形成史を主軸として史資料をもとに記録・描写し、またその上で、現代の暮らしとその歴史とがどのように地続きとなっているのかを明らかにする。
目次
第1部 夜をつくる
 第1章 明かりのなかの街へ
  第1節 明かりと近代化―「夜」をめぐる「当たり前」から
  第2節 「電灯」という近代と博多
   (1)集中供給システムという近代
   (2)福岡・博多の電灯と集中供給システム
   (3)博多電灯、発電設備の増強と拡大
   (4)電灯対瓦斯灯 近代都市・福岡のエネルギー競争
  第3節 電灯と鉄道
   (1)明治四十三(一九一〇)年 第一三回九州沖縄八県連合共進会
   (2)博多電灯と鉄道会社との合併
   (3)瓦斯の熱用化へ
 第2章 明かりと街の賑わい
  第1節 賑わいの「夜」の創出
   (1)電飾のなかの歳事
   (2)光の空間―電灯・電車会社と娯楽の場
   (3)シネマの夜
  第2節 色と芸
   (1)柳町と新柳町
   (2)私娼の世界
   (3)芸妓の世界
  第3節 博多ネオン街の誕生と展開
   (1)ネオンサインの夜
   (2)赤い灯青い灯の到来とカフェの叢生
   (3)ネオンサインの戦略
   (4)博多の夜を届ける・『うわさ』
   (5)「夜」を報じ「夜」に誘うメディア・『博多春秋』
   (6)夜の移植と密輸
   (7)夜の移植と移動する人々
   (8)遊客たち
   (附)ナカズ界隈漫画鳥瞰
  第4節 消される「夜」 昭和六年の防空演習と戦時下灯火管制へ
   (1)「防空」の時代と「夜」の灯火
   (2)福岡市と「北九州防空演習」
   (3)消される「夜」
   (4)動員の時代の夜へ

第2部 移ろいゆく夜
 第1章 街の灯
  第1節 灯火の復活、電力の不足
  第2節 ランプ生活の解消
  第3節 闇を照らす光
  第4節 夜陰に乗じて
 第2章 中洲風景
  第1節 歓楽街ふたたび
  第2節 那珂川の畔
  第3節 ネオンの煌めき
 第3章 夜の街で
  第1節 特飲街の内と外
  第2節 夜のボスたち
 第4章 宵の愉しみ
  第1節 盆踊りの新スタイル
  第2節 海水浴場の夜
  第3節 クリスマス・ナイト

第3部 夜を生きる
 第1章 夜空に咲く
 第2章 盆の宵――少女たちの盆踊り 西区宮浦・西浦
 第3章 祭りの夜
 第4章 中洲の豚まん売り
 第5章 バーテンダーの時代
 第6章 夜の探訪者・脇本善一
 第7章 お座敷と芸妓の世界
 第8章 夜回りの喜び――住宅街に出没するイノシシと住民の夜回り
 第9章 夜に運ぶ/闇にうごめく
 第10章 下町ホルモン奇譚
 第11章 深夜放送前夜――KBC九州朝日放送「ヤング・ポップス」にまつわる記憶
 第12章 張り込み
 第13章 五階南病棟
 附   博多・荒牧英敏さんの出ごと



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