福岡市は、水源のおよそ3分の1を筑後川に依存するなど、地理的に水資源に恵まれていないため、新たな水源開発とともに、各種の節水施策に積極的に取り組んでいます。
昭和53年の大渇水を契機に、水源かん養機能を有する水源かん養林の重要性を再認識し、市内の本市水道専用ダムである曲渕、脊振、長谷ダムの集水区域内の森林などを、昭和55年から順次取得し、乱開発等による水質の汚染防止に努めてきました。
一方で、福岡市水道水源かん養林(以下「水源かん養林」という。)の管理を適切に行うため、平成15年度に「福岡市水道水源かん養林整備基本計画」を策定し、間伐を主体とした計画的な整備に取り組んできましたが、間伐だけの整備で人の手入れが不要な森林へ転換していくには、長い年月を要することが課題となっていました。
近年、森林整備を取り巻く社会情勢は大きく変化しており、地球温暖化の進行に伴い、豪雨や猛暑等の影響が顕在化する中、森林の有する水源かん養機能や災害防止機能が気候変動への適応策として改めて注目されています。
また、温室効果ガス削減を目指す脱炭素社会の実現に向け、二酸化炭素の吸収源としての森林の機能を最大限に発揮させるため、計画的かつ持続的な森林整備の重要性が高まっています。
さらに、森林を健全な状態に保つことは、生物多様性保全の推進に不可欠であり、環境政策上の重要な柱として位置づけられています。加えて、国民生活に密接に関わる花粉症問題への対応として、スギ・ヒノキ人工林の適正管理等による花粉発生源対策が新たな森林整備の目的として求められています。
今回、森林整備の課題、社会情勢の変化、新たな知見や情報の蓄積及び令和7年4月に改定された「福岡市森林整備計画」を踏まえ、100年後の水源かん養林のあり方を見据えた計画として改定を行うこととしました。
水源かん養林の整備は、森林の重要な役割である水源かん養機能の維持・向上を最優先としながら、その他の公益的機能も拡充するということを基本的な考え方とします。
スギやヒノキなどの針葉樹を主伐し広葉樹を植樹することを基本とし、主伐が難しい場所については、適切な間伐を行うなど、計画的な整備を行うことで広葉樹や下層植生が成長し、ふかふかの土壌により保水力を高め、水を浄化するなどの水源かん養機能の向上を図ります。これらの整備を長期的な視点で行うことで、森林が自らの力で世代交代を繰り返す天然林の状態へ限りなく近づけ、将来的には、人の手入れが不要な森林への転換を目指します。
豊かな森林は、多くの生き物の生息場所や餌となり、多様な生態系を支える生物多様性を保全し、さらには地球温暖化の防止や環境保全など、持続可能な社会の実現(SDGs)に貢献します。
人々の暮らしを豊かに支える「水源の森」を100年後の未来への目標とします。森の恵みを市民に広く享受していくためには、市民・企業・団体などの多様な主体と連携し、水を育む水源の森の大切さや水源の森づくり活動への理解を深め、森に関わり続けることが重要です。

