小呂島地区簡易水道事業(海水淡水化施設)
はじめに
小呂島は、福岡市西区姪浜から北西約40キロの玄界灘に浮かぶ周囲3.4キロ、面積0.5平方キロ、世帯数73世帯、人口203人(2016年2月現在)の島です。
小呂島には従来から雨水を貯水して水道水をつくる陸水施設があります。渇水時には安定給水に不安がありましたが、海水淡水化施設を平成3年に設置し、陸水施設と併用することで雨量に左右されない安定した給水が可能となっております。
アジア太平洋博覧会(平成元年)に出品された海水淡水化施設を設置しましたが、施設の老朽化、下水道の普及等に伴い水使用量が増加することが予想されたため、平成16年4月に施設の全面更新を行いました。
従来施設の造水能力は日量20立方メートルでしたが、新施設は日量50立方メートルとなり、さらに日量25立方メートルの2系列化にすることで、より信頼性のある安定した給水を可能としました。
施設概要
小呂島海水淡水化施設の施設概要表
名称 |
小呂島海水淡水化施設 |
所在地 |
福岡市西区小呂島 |
敷地面積 |
1,180平方メートル(建屋343平方メートル) |
計画給水人口 |
260人 |
造水能力 |
50立方メートル/日(海水淡水化施設) 37立方メートル/日(陸水施設) 合計87立方メートル/日 |
方式 |
逆浸透二段脱塩法 |
前処理 |
砂ろ過+UF膜ろ過 |
UF膜 |
スパイラル膜 |
逆浸透膜 |
第1段/中空糸膜 第2段/スパイラル膜 |
海水淡水化のしくみ
海水淡水化施設のフロー
- 海中の設置した取水ポンプから海水を取水し、貯水槽に導水します。また、藻類や微生物の成長を抑制するため、海水を電気分解して生成した次亜塩素酸ソーダを注入します。
- 海水中の懸濁物を粗取りし、限外ろ過(UF)膜への負荷を軽減します。
- 砂ろ過水に残留する濁質を、UF膜で完全に除去し、逆浸透膜の安定運転を確保します。
- UF膜透過水に残留する減菌剤を除去して、第2段逆浸透膜の劣化を防止します。
- 高圧ポンプや逆浸透膜に異物が侵入するのを防止します。
- 逆浸透膜で海水から淡水を得るためには、高い水圧が必要です。このため高圧ポンプで加圧して、逆浸透装置に給水します。
- 海水淡水化装置の心臓部です。ち密な半透膜により、海水より淡水を濾し分けます。
- 淡水化装置が停止した時に逆浸透膜を洗浄するための貯水槽です。
- 第1段逆浸透膜透過水に含まれる炭酸ガスを放散して、pH調整を容易にします。
- 第1段逆浸透膜透過水に含まれる「ほう素」を再度逆浸透処理して飲料水基準に適合した水にします。
- 本装置により生産された淡水は、ミネラル分が少ないため、石灰層を通して「うまみ」のある飲み水とします。
施設の特長
- 淡水化方式で最も省エネルギーな逆浸透法を採用しています。
- 全自動運転方式なので、無人運転が可能です。
- 起動停止が容易で、起動後直ちに給水ができるので、水需要に適合した運転が可能です。
- 主要機器をニ系統化しており、安定した運転が可能です。