福岡市の水道事業は、「地方公営企業」として経営され、その運営に必要な経費は、 原則として企業の経営に伴う収入(水道料金)をもってまかなうよう法律で定められています。これを「独立採算制」といい、事業の運営にあたっては、本来の目的である公共の福祉を増進するとともに、企業の経済性を発揮することが求められています。
福岡市では、「水の安定供給と節水型都市づくりの推進」などを施策目標に掲げた「福岡市水道長期ビジョン2028」に基づき、各事業を計画的に実施していますが、これらを着実に推進していくため、以下のような取り組みなどにより、一層の経営効率化や財政の健全化に努めていきます。
施策目標 | 基本的方向 | 主な事業 | 予算額 (千円) |
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1. 水の安定供給と節水型都市づくりの推進 | 〇将来にわたり、安定的に水道水を供給できるよう、大量更新期を迎えている水道施設の計画的な更新に取り組む。 〇限りある水資源を有効に活用するため、配水調整システムによる効率的な水運用や効果的な漏水防止対策に取り組むとともに、今後とも水を大切に使う意識が継承されるよう、効果的、継続的な広報活動を行うなど、節水型都市づくりを推進する。 | 〇水源・浄水場の整備 〇浄水場の再編 〇配水管の整備 〇配水調整システムの整備 〇漏水防止調査 〇給水管の漏水対策 〇「水をたいせつに」広報の推進 など | 19,290,897 |
2. 安全で良質な水道水の供給 | 〇水源かん養林の整備や水源地域・流域との連携・協力による植樹活動などの森林整備に取り組む。 〇水源からじゃ口までの水質管理を徹底するとともに、国の基準等より厳しい福岡市独自の目標で水質を管理し、より安全で良質な水道水を供給する。 〇全てのお客さまが安心して水道水をお使いいただけるよう、貯水槽の適正管理に向けた取組みを強化するとともに、直結式給水の普及促進に努める。 | 〇水源かん養林の整備 〇水源地域・流域との交流 〇水質検査の充実 〇小規模貯水槽の適正管理の啓発 〇直結式給水の普及促進 など | 83,561 |
3. 危機管理対策の推進 | 〇水道施設の耐震化や緊急時のバックアップ機能の強化などに取り組み、より災害に強い水道を目指す。 〇突発的な事故やテロ活動などに的確に対応できるよう、水道施設の安全管理対策など、危機管理の徹底を図る。 〇多様なリスクに対応できるよう、各種危機管理マニュアルを踏まえた実践的な研修・訓練の実施など、危機対応力の向上を図る。 | 〇重要施設の耐水化 〇耐震ネットワーク工事の推進 〇水道施設のセキュリティの確保 〇水道原水の監視 〇災害応急体制の充実 など | 594,119 |
4. 安定経営の持続 | 〇水道事業に関する情報をよりわかりやすく提供するとともに、お客さまニーズを的確にとらえ、サービス向上につなげる。 〇施設の長寿命化や資金需要の平準化を図りながら、企業債残高を縮減するなど、財政の健全化に取り組む。 〇水道技術力などを確実に次世代の職員に継承するとともに、国際貢献活動の推進などにより、高い専門技術と広い視野を持った人材の育成を図る。 〇再生可能エネルギーの利用などによる環境負荷の低減に取り組むとともに、建設副産物の再資源化の推進など、環境に配慮した事業運営を行う。 | 〇積極的な情報提供 〇お客さまニーズの把握 〇ICTを活用したサービスの向上 〇組織体制の最適化 〇企業債残高の縮減 〇技術の継承等による人材育成 〇国際貢献活動 〇再生可能エネルギーの活用 など | 604,867 |
水の安定供給のために必要な施設整備は、事業資金の多くを借入金(企業債)に依存しています。
借入残高は、ピーク時の平成12年度末から令和3年度末までに624億円減少しており、水道料金との比較では平成12年度末時点では水道料金の5.0倍でしたが、令和3年度末時点では3.4倍となっています(※他の政令指定都市平均1.9倍)。今後も更なる経営の効率化を行い、借入残高の縮減に努めていきます。
水道水をつくり、家庭などに送り届けるために必要な支出と、その財源となる収入のことです。
収益的収入の大部分が水道料金となっています。
収益的支出は水道施設の維持管理費(動力費・薬品費・委託料)、福岡地区水道企業団から水をもらうための受水費や、減価償却費、借入金の支払利息などを計上しています。
水道施設を更新・整備するために必要な支出と、その財源となる収入のことです。
資本的収入は、施設の整備・更新を行うための財源となる企業債借入金、国からの補助金、本市一般会計からの出資金などです。
資本的支出は、配水管・浄水場施設の整備更新費などの建設改良費や借入金の元金償還金を計上しています。