食品衛生思想の普及と向上を図るため、毎年『福岡市食品衛生大会』を開催し、『食品衛生功労者』、『食品衛生優良施設』を表彰している福岡市。
2024年11月14日に行なわれた『令和6年度福岡市食品衛生大会』にて、食品衛生に関する独自の取り組みを行なった施設に送られる「福岡市長表彰」を受賞したのが、『食育館』ほか学校給食や社員食堂などを運営する
学校法人 中村学園 中村学園事業部です。
果たしてどのような点が評価のポイントとなったのか? 福岡市長表彰を受賞した中村学園大学の学生食堂『食育館』を訪れました。
中村学園大学で学ぶ学生たちが、“健全で豊かな食生活を送るために必要な「食事の自己管理能力」を養う食育の場”として設けられた『食育館』。
その厨房には、タイマーを備えた自動式手洗い設備や、足元のセンサーで自動開閉できるドアなどが設置されており、さらに従業員へ衛生に関する資料を毎月配信するなど衛生管理教育にも力を入れています。今回、そうした点が総合的に高く評価され、福岡市長表彰受賞となりました。
「中村学園事業部は、『食育館』だけでなく、企業様の社員食堂、学校給食などのプロデュース・運営も行なっています。そのキャリアはすでに60年以上に及び、その間、社会に求められる食堂のあり方を模索し続けてきました。2023年からは、運営施設の衛生巡回に360度カメラを導入し、リモート巡回を行いながら衛生管理の徹底を図るほか、様々な問題点を洗い出し、改善も進めてきました。この巡回システムはもちろん、『食育館』にも導入されています」(中村学園事業部 販売促進部門 安全推進課 名本信介さん)。
360度カメラで撮影した映像で、リモート巡回が可能に。改善箇所をリアルタイムで確認、データを現場と本部で共有し、衛生管理記録の徹底を図ったところも福岡市長表彰受賞に繋がった。
2024年9月に、学園創立70周年を記念してリニューアルされた『食育館』は、利用者にとっても嬉しい施設へ生まれ変わりました。
例えば、これまで“密”の課題でもあったランチタイムの行列を解消するため、現金対応のレジを事前精算可能なセルフレジにチェンジ。
スマートフォンで事前にメニューのオーダー・決済ができるアプリの運用も始まりました。その結果、混雑が緩和されて、食堂の利用者が増加する要因の一つとなりました。
また、『食育館』の看板メニューである『一汁三菜ランチ』に加え、リニューアル時に新登場した『ヘルシーランチ』、『アスリートランチ』の販売数も右肩上がりです。
『一汁三菜ランチ』
ここで、気になるメニューにも触れておくと、まず『一汁三菜ランチ』は、主食、主菜、副菜、副々菜、汁物が基本となっており、健康の維持・増進に必要な栄養バランスを考えた定食。主菜には、写真手前の『イカフライ オーロラソース』や、『豆腐ハンバーグ きのこあんかけ』(奥右)、『鶏の竜田揚げ』(奥左)といったラインナップが日替わりで登場。2種類の小鉢も日替わりで、栄養をバランス良く摂ることができます。
また『ヘルシーランチ』は、主菜と、小鉢の1つがサラダに代わり、成人が1日に必要な野菜摂取量350gの約2分の1以上が摂取できるように計算された定食。
そして『アスリートランチ』は、主菜で高蛋白、低脂質の食材を使用し、ご飯が雑穀米や麦飯に、味噌汁がスープに代わり、デザート付き。
さすがは管理栄養士・栄養士の養成施設でもある『中村学園大学』の学食!と言える見事なラインナップですが、これらメニューには、更なる秘密が隠されていました。
(左)飯田さん (右)緒方さん
今回、『食育館』のリニューアルを牽引したお2人、右が中村学園事業部 販売促進部門 部門長 次長であり総料理長の緒方義輝さん、左が同事業部 経営企画部門 兼 新規事業部門 部門長 次長の飯田純さんですが、聞けばお二人とも、『グランド ハイアット 福岡』『ハイアット・リージェンシー・福岡』(現・「THE BASICS FUKUOKA」)にて長年活躍した後、同事業部へ。
外資系高級ホテルで培ったノウハウを、社食・学食の分野に持ち込み、新たな空間・サービスの創出に力を注いでいます。
「今回のリニューアルで、より多くの人に『おいしい』『嬉しい』『利用したい』と思っていただけるような食堂づくりにも力を入れました。新たなメニューを構築しながら、食器やトレイといった備品も、食事を楽しく感じられるものにリニューアルしています。こうしたノウハウを、今度はさらに多くの企業様、学校様にお届けできればと思っています」(緒方さん)。
「中村学園事業部は、福岡高等栄養学校から発展した中村学園グループの一つ。“食”という大きな軸を持ちながら、時代のニーズをキャッチし、様々な新事業にも取り組んでいます。企業や学校、病院、福祉施設における食のプロデュースはもちろん、現在は、宇宙食や備蓄食の開発についても各所と連携して推し進めているところです。また、「食卓を通じて世界の人々が笑顔であふれる毎日」を提供する旗艦店として、中村学園にとって『食育館』は大切な存在。学生の皆さまだけでなく、一般の方にもぜひ一度、ここで食を楽しむ時間を過ごしていただけたらと思います」(飯田さん)。
かつて学食を楽しんだ世代には何もかもが新しく、また、これから大学生になる世代には、豊かなキャンパスライフを想像させてくれる中村学園大学・中村学園短期大学の『食育館』。
嬉しいことに、在学中の方だけでなく、一般にも開放されています。営業時間は月曜から金曜の11時から14時。
ただし、12時から13時は学生の利用が多くなるため、早め・遅めのランチタイムにぜひ、訪ねてみてください。