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更新日: 2017年6月5日

九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業に係る環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見について(送付)

環調第38号
平成29年6月2日

独立行政法人都市再生機構九州支社 支社長 西周 健一郎 様
福岡市長 高島 宗一郎 様
(住宅都市局跡地活用推進部九大跡地整備課)

福岡市長 高島 宗一郎 
(環境局環境監理部環境調整課)



九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業に係る
環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見について(送付)




 平成29年2月1日に提出された,九州大学箱崎キャンパス跡地等の基盤整備事業に係る環境影響評価方法書について,福岡市環境影響評価条例第10条第1項の規定に基づき,下記のとおり環境の保全の見地からの意見を述べます。




1 全体的事項

 本事業は,九州大学箱崎キャンパス跡地利用計画等に基づき,北エリアで福岡市が実施する土地区画整理事業と南エリアで独立行政法人都市再生機構が実施する土地の造成との2つの事業を合わせて約60haの基盤整備を行うものであり,南エリアにおいては都市計画道路も整備される。また現在,事業実施区域では,九州大学が既存建築物の解体工事,土壌汚染調査及び対策工事並びに埋蔵文化財調査(以下,「関連事業」とする)を実施しており,土壌汚染に関しては,一部で土壌汚染対策法に基づく汚染区域の指定がなされ,汚染土壌の洗浄処理施設の設置も決まっている。汚染区域では本事業を行う前に土壌汚染対策工事を行うため,その付近では本事業及び関連事業が同時期に施工され,その内容及びスケジュールによっては周辺環境に多大な影響が及ぶことも考えられるが,本方法書には予測・評価の前提条件である各事業の内容及びスケジュールが明確に示されておらず,記載されている調査・予測・評価が適切なものであるか判断しかねる状況である。準備書の作成にあたっては九州大学と十分に連携して,本事業及び関連事業の内容やスケジュールについて明確に示し,できる限り実際の工事内容を反映した予測・評価を行うことが重要である。
 また,箱崎キャンパス跡地利用計画におけるまちづくりの方向性として,「周辺地域と調和・連携・交流しながら一体的に発展する」ことを掲げるとともに,「『低炭素』で『水や資源を生かした循環型社会の形成』や『緑・水辺との共生』を進め,環境と共生し,持続可能なまちの形成を目指す」とされており,環境の保全の見地からも地域住民の理解と協力が必要不可欠であることから,本事業の環境影響評価について十分に周知を行い理解を深めることが重要である。


2 個別的事項

(1)大気質,騒音・振動,温室効果ガスについて


 本事業及び関連事業が同時並行的に実施されることによって周辺環境に及ぼす大気質,騒音・振動,温室効果ガスの影響が大きくなると考えられることから,九州大学と十分に連携して予測・評価を行うこと。

(2)動物及び植物について

 本方法書の調査,予測及び評価の手法には「重要な種が確認された場合,適地への移動,移植などを検討する」と記載されているが,環境保全措置については環境影響の回避・低減を優先することが原則であることから,まずは重要な種の生息・生育地の保全について検討すること。

(3)生態系について

 九州大学構内や貝塚公園等には長い時間をかけて形成された多くの樹木や緑地があり,周辺の豊かな自然環境も含め多様な生態系が形成されている可能性があることから,周辺環境に調和した自然環境・生態系の保全のため,既存樹木等の保存を検討すること。

(4)人と自然との触れ合いの活動の場について

 事業実施区域内の貝塚公園は,地域の住民にとって自然と触れ合える身近な公園であると考えられることから,再整備に当たってはその利用状況等について十分に調査を行い,人と自然との触れ合いの活動の場として公園が果たしている役割を損なわないよう検討すること。

(5)廃棄物等について

 残土やがれき等の発生量を把握し再利用に努めるとともに,再利用にあたっては,解体工事の実施により発生するアスベスト廃棄物や汚染土壌の洗浄処理施設の稼働に伴う重金属等の有害廃棄物が混入することのないよう適切に管理すること。