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更新日: 2013年2月14日

平成24年度第5回福岡市環境影響評価審査会 
議事の要旨 平成25年1月28日



 
日時 平成25年1月28日(月曜日)午後1時30分~午後3時00分
場所 福岡市役所15階講堂
議題 1 福岡空港滑走路増設事業に係る環境影響評価方法書について
2 環境影響評価審査会の部会における検討について(中間報告)
3 その他
出席者 浅野委員、荒井委員、小野委員、川口委員、島田委員、田中委員、野上委員、
平田委員、藤本委員、柳委員、山田委員(50音順)
会議資料 資料1 第4回福岡市環境影響評価審査会 委員意見の概要と事業者の見解
資料2 環境影響評価審査会の部会における検討について(中間報告)
参考資料1-1 第4回福岡市環境影響評価審査会 議事録(審査会委員のみ配付)
参考資料1-2 福岡市環境影響評価審査会委員名簿
参考資料1-3 福岡市環境影響評価審査会規則
参考資料1-4 環境影響評価法,環境影響評価条例の関係条文(抜粋)
参考資料2-1 福岡市環境影響評価条例の一部を改正する条例について


【議事概要】

議題1 福岡空港滑走路増設事業に係る環境影響評価方法書について


 
発言者 発言内容
会長それでは、第5回の審査会を始めます。
今日は二つ議題がありまして、前回に続いて方法書に関する市長意見形成について当審査会の意見をまとめること、もう1点は部会での検討について中間報告をいただくということでございます。
まず、第1の議題、滑走路増設事業に係る方法書につきましては、前回いただきましたご意見、それから事業者から示されたご見解を対照する形で整理させました。さらに、これらのご意見・見解を、当審査会としてどう取り扱うかという案を事務局と相談いたしまして整理し、お示ししております。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。
事務局(資料に基づき説明)
会長ただいまの説明は、審査会の見解を市長意見として文章で提出するものにするのと、それとも、事業者から積極的なご発言のあったものについては議事録あるいはこの資料を添付するということにとどめ置くものに区分して整理したということでございました。
まず、前回ご欠席のお二方から指摘事項があるようでしたらそれをまずお出しいただくことにしたいと思います。
委員方法書をごらんください。魚類として絶滅危惧種の中でも最上位にランクされるニッポンバラタナゴが周辺に分布するということが書かれています。
方法書であっても、このように危惧種として最上位にランクされる種類の分布が記述されるというのは大丈夫なんでしょうか。
会長今のご指摘について、事業者にお願いしたいのですが、人が行って捕ったりするということがないようにするため、絶滅危惧種がこの辺にいるという情報を公表文書には記載しないということはアセスにあたって、配慮すべき重要なルールとして認められていることなので、準備書の段階では工夫してください。
委員ニッポンバラタナゴの調査の方法ですが、そのほかの貴重種、カゼトゲタナゴなんかも含めて特別配慮された調査が必要ではないかと思っております。
排水の濁りはかなり影響するのではないかと思われます。特に、ニッポンバラタナゴは、それ自身だけではなく、バラタナゴが産卵をする貝、貝の幼生が寄生する底生魚といろいろな生態系にわたる影響がございます。これについては排水路を確認された上での調査をよろしくお願いしたい。
委員前回の質問の融雪剤で、環境の負荷が大きいためにエチレングリコールをプロピレングリコールに変えたとありますけれども、プロピレングリコールに変えて環境の負荷の何を変えることができるのか質問いたします。
事業者プロピレングリコールにつきましては、エチレングリコール自体が毒性を一部含んでいるという指摘もあって、大きな流れとして航空会社のほうもプロピレングリコールに変えてきています。
会長他の委員の方々で、前回の自分の発言の趣旨がこの概要ではうまく伝わっていないという点がございましたらご指摘いただけますか。
委員新福岡空港でいろいろなことが検討されたとき、私はこの中の委員もしておりました。クロースパラレルをこんなに近く設定できるのは世界的に例がないという話も聞きましたので、それを確かめたい。知事選挙で、ある候補者は増設案を主張し、前知事は新設案を主張されましたが、併設案に対しては技術的にできないと、当時の運輸省か国土交通省は盛んに説明されていました。ところが、2008年か2009年ごろに滑走路の増設の決定がなされました。そのときの報道では、妙案としてかさ上げ案が出ていました。つまり、新しい滑走路は水平につくるのではなく、かさ上げして現滑走路よりも高くつくる。そうすると乱気流の影響や南側からの進入の場合の都市高速の高さ制限も解消できるとのことでした。ところが、今回の方法書にそういう話は一切出てこない。
かさ上げは盛土だと思いますが、そうすると地盤沈下は検討材料の一つではないかと思います。また、盛土の量はざっと計算しても数十万トンぐらいあるのではないか。トラックでどんどんどんどん運んでくると、工事の騒音も考えなければいけないと思います。
会長かさ上げの話はこの計画の大前提となっている。しかし既設の滑走路を使いながら工事しますから、増設滑走路の全区間を同時に工事をすることは不可能で、区間を区切って工事していくことになる。だから1カ所1カ所の工事量はかなり少なく、しかも主な工事の時間帯は夜が多いということがわかっています。土砂の堆積場がないからその都度必要なものを運ぶので、工事期間を通じて平均して運び込まれることになります。ただし土をどこから持ってくるのかとか、どの時期にどれだけの量を運ぶのかということは、これから検討される事柄であり、その上で、必要に応じて工事に伴う自動車騒音についても予測をするということだったと理解しています。
事業者工事計画、まだ詳細のものは手元にございませんが、その具体化とともに、準備書においては予測の前提として想定を置いて予測評価してまいりたいと思います。
あと1点、滑走路間隔210メートルでございますけれども、国内では百里飛行場、海外ではベルリンのテーゲル空港、こういうところは滑走路210メートル間隔で設定をしております。
会長盛土に伴う地盤沈下についても予測の必要があるのではないかとのご指摘が出てきたわけですが、この点についてはいかがですか。
事業者軟弱地盤に土を乗せますと粘性土の中の水分がしみ出して沈下していく。それが地盤沈下の現象であります。当然、あるレベルの地盤沈下はするのですが、空港の外に影響するようなものではなく、盛土をした直下部分に限られると考えております。
委員地下の地質は分かっているんですか。
事業者ボーリング調査をやって、わかっています。
委員ボーリングをやったという資料は方法書には一切出てこないですね。
沈下というのは、地下水を抜くか上に物を乗せれば起こります。この場合は乗せるほうで、これだけ長ければ不等沈下が起きるわけです。当然、地質は一定ではなく、あるところは沼地になっていたのです。現在も沼地がありますけれども、縄文海進のときの地層が出ていますので、軟弱地層があるのは間違いありません。
会長事業者の考え方としては、既にボーリングなどで地質についても調査済みで、事業区域の外にまで影響を生ずるような地盤沈下は想定できない。それに対して委員のご意見は、それだけの重量のものを乗せれば影響があるかも知れない。こういうお話であります。
事業者先生のご指摘は、滑走路が波打ったりするのではないかというご懸念だったと思っております。滑走路も道路のようなものですから、路床・路盤を強固なものにして滑走路の基準におさまるものをつくっていく予定でございます。
会長地盤沈下に関するご指摘に関して、それが当審査会の意見として意味を持つとすれば、工事区域外にも影響を及ぼす可能性があるかどうかの話です
事業者盛土をしますので、滑走路の直下については当然若干の沈下はあり得ると考えていますけれども、滑走路の区域の外まで影響するとは考えておりません。
会長一般環境に多少影響があるとすれば西側・南部分だと思いますが、最南端の部分でどのぐらい工事区域外との間の距離がありますか。
事業者南側に対しては滑走路と安全区域240メートルに、また同じぐらいの幅をとって、盛土したところから500メートルぐらいのスパンがあります。西側につきましては、およそ200メートルは幅があるのではないかなと思っております。
会長西側との距離はその程度しかないですか。
事業者西側は、空港のすぐ外に水田等があります。そこまでは200メートルぐらいかもしれません。
会長では、地盤沈下については、後ほど検討させていただきます。
ほかに、この委員意見の概要の部分について、何かございますか。
委員なし
会長事務局でまとめた審査会の見解案について、次にご意見をいただきたいと思います。
PM2.5に関しては、特に予測評価といった意味での調査項目に挙げる必要はなく、既に福岡市のデータがあるので、それらをきちんと整理しておけばいいというのが、ここでの整理でございます。
大気や騒音等については、具体的な工事計画が出て初めて中身については答えを出せる面があるので、これは方法書の段階では審査会の指摘ということにとどめて置かざるを得ないのではないかということでありました。
黄色で囲んである部分は重要だと考えております。大くくりで言うと、どう変化するかということについては明らかにすることが大前提になるわけですが、その大前提に立った上でどう変わったかがわかるようにする。
Ldenについては当然地上騒音も内容に含まれることは明らかでありますけれども、念のためにそのことについては繰り返して指摘をしておいてはどうかというのがこの原案です。
睡眠妨害についてですが、環境基準の形での評価というものは屋外評価をするわけですし、屋内影響は現在との違いがはっきりすればそのことから推測できます。審査会では睡眠妨害について予測評価をするようにというようなことは書きづらいということでございます。
低周波に関しては、天候や風向きなどの影響も考慮しなければいけませんし、調査地点についても十分に考えていただく必要があるだろうということでございます。
水質に関しては、排水がどこに出ていくのかは概ねわかっているわけですが、具体的工事計画を踏まえて調査地点を考えていただくことになるということでありました。
それからバードストライクに関しては、安全性の観点から十分に調査が行われるであろうから、それをちゃんとやっていただければ、市長意見として書かなければならないということはないのではないかというのが、ここの整理であります。
植物に関しては、水生植物について問題があるだろうということでここに挙げたわけですが、本日、魚の絶滅危惧種についてもちゃんと調べてほしいという意見がありましたので、つけ加えておきたいと思います。
景観に関しては、これはご意見として承っておく以外にないだろうということでありました。
新しい観点からの福岡空港の目的や課題に関してもご意見をいただきましたけれども、これは事業者に参考にしてほしいということであります。
地盤沈下に関するご意見については、少なくとも工事区域外への影響があるかどうかということに関しては審査会として意見を述べる余地があります。影響があるかどうかについてはよく調べていただきたいということを書くことにしましょう。
委員水生植物の場合は、どういう水が流れてくるかによって相当変わりまして、どういう生き物がいるのか予測がつかない。湧き水みたいな由来の川だと相当貴重なものが出てくる可能性があると思います。方法書に従ってきちんと調べていただいて、貴重な種類が出てきた場合には何らかの対応をしていただければと思います。
会長ほかに何かございますか。
特にご意見がないようでしたら、審査会として市長の意見の中に盛り込むべきこととしては、今ここに黄色でマークにつけたもの、それから絶滅危惧種の水生動物についても同様に考えなければいけないということでありましたので、それも入れることにします。それから工事区域外への地盤沈下の影響についてご意見が出ましたので、これは少し表現を考えて市長意見の中に盛り込ませていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
他の事業の審査の際にも同様の指摘をしておりますが、全般的な事項として、既存の状況と新しい状況とどう変わるかをはっきりさせていただく。それがアセスでは第一大事なことだということです。特に、本件事業は既設空港の滑走路増設事業であって、全く施設を新しく作るというわけではない。現況に上積みがあるかどうかですから、その意味でもどのように変化するかの予測評価が重要で、その結果をわかりやすく書いてほしい。これが一般住民の方に対する情報発信としても重要ですので、そういうことを全般的事項としてまず書いておきたいと思います。
こんなところで、私に審査会としての意見のとりまとめをご一任いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。
委員異議なし
会長一任いただけましたので、これは早急に整理をして皆さんにもお知らせした上で市長に対して意見として提出することにいたします。市長はそれをさらに速やかに県知事にお出しいただけると思いますので、それを受けた形で、県知事意見がさらに県の環境影響の審査の委員の意見も踏まえながらまとめられることだと思います。


議題2 環境影響評価審査会の部会における検討について(中間報告) 

 
発言者 発言内容
会長続いて環境影響評価審査会の部会の検討について案件に移りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
事務局(資料に基づき説明)
会長条例改正に伴って新たに加わる事柄について、部会で細かい点についてご議論をいただいております。本日はそのうちの第1回目の報告として、風力発電の規模要件及び太陽光発電所の規模要件、この二つについて部会での結論が出たということでございますので、それを当審査会にご報告いただきました。本日ここで皆様方からお認めいただけますと、これをもって条例施行時の規模要件にすることとなろうかと思います。
まず風力発電については、1,500キロワットの規模以上のものを基本とする。例外的に、1,000キロワット以上のものについてもアセスを行うべしというものがあるということになります。
それから太陽光発電については、新たに一定規模以上の土地の改変を伴う場合にはアセスをやってください。既に更地になっている場所に新たに発電所をつくるというような場合にまでアセスを要求することはしませんということです。土地の改変を伴う場合が対象でありまして、これを現行のその他の土地造成と同じような扱いにしようということです。
土地造成というのは明らかに土地の改変になりますけれども、土地の形状の改変行為であれば、土地造成の概念に必ずしも当たらない場合でも太陽光発電に関しては対象となり得ます。若干のニュアンスの違いがありますから、広さが同じだから無駄なことを決めなくていいという議論にはなりません。これはこれなりに意味があると理解をすればいいと思います。報告では、20ヘクタール、あるいは市街化調整区域はその半分、特定区域はさらにその半分という考え方を提案しておられます。
委員風力発電の規模要件の考え方のところで、「500メートル以内に住環境等がある」とあります、その住環境というのは住宅というよりもっと広い意味を指しているのでしょうか。
委員検討を進めました部会の委員長です。ちょっとわかりにくい言葉になっていますけれども、居住の実態がある場合には1戸でも住環境と考えております
委員例えば集落、里山、入会地などがあったらそういうところも考えていますか。
委員そこに居住しているという人が1戸以上あれば住環境に該当いたします。
会長山の中に家はあるけれども、もう過疎化で無人になっているという場合があるので、「住宅がある」と書くとちょっとまずいなという配慮だろうと思います。
委員太陽光発電の規模要件ですが、例えば、更地がもともと15ヘクタールあって改変する面積が5ヘクタールだった場合にはかかりますか。
事務局改変の面積がこの面積以上ということになるので、今のお話からするとかからないということになると思います。
会長太陽光発電施設の設置については、審議会では反射光の問題もあるという意見もあましたけれども、そこまで広げることはなかなかやりづらい。設置に伴う自然改変で自然系の環境に影響を生ずることを考えることにする。したがって改変行為の広さが前提です。
風力発電の場合は、国の検討会での議論では、騒音そのものも結構問題がありそうですし、それから住宅地の近くでは羽が動くときに日陰になるシャドーフリッカーが生活妨害としては大きいというのを実感しました。しかし、風力発電施設については、フルスペックでアセスをやらなければならないということは、ほとんどあり得ない。何項目かだけがそこの土地の条件によって決まってくるということになると思います。そういう意味では、ほかの発電に比べればかなりアセスの調査内容は少なくて済むということがはっきりしています。
委員大型の風車の場合にはトビなんかは明らかに回転しているところにみずから入っていって遊んでいる場合もある。飛翔能力の高いタカ類に比べ、カモは飛ぶのがわりと得意ではない。洋上発電で低いところをカモが飛ぶ場合は大変気になります。風の吹き抜けるところなので渡り鳥のコースになっているんですけれども、鳥によって随分雰囲気が違うと感じています。
会長これは、マニュアルつくるときにしっかり書いてもらう以外ありませんね。
ちなみに、福岡県・北九州市が考えている規模より福岡市のほうが規模は小さくなっています。
それでは、特にご異論がないようでしたらこの中間報告を了承するということでよろしゅうございましょうか。
委員異議なし
会長ありがとうございます。それでは、この件に関しては了承いただきましたので、条例に基づく風力、太陽光発電の規模については、当審査会としてこの原案を了承してこれを結論とすることにいたしました。