日時 | 平成25年8月22日(木曜日)午後1時30分~午後2時30分 |
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場所 | 福岡市役所15階講堂 1504会議室 |
議題 | 1 環境影響評価審査会部会における検討について(最終報告) |
出席者 | 浅野委員、小野委員、小島委員、佐々木委員、薛委員、野上委員、平田委員、 藤本委員、柳委員、山田委員(50音順) |
会議資料 | 資料1 環境影響評価審査会部会における検討について(最終報告) 資料2 福岡市環境影響評価技術指針(案) 【その他資料】 福岡市環境影響評価審査会委員名簿 平成25年度第1回福岡市環境影響評価審査会座席表 |
発言者 | 発言内容 |
会長 | それでは、暑い中お集まりいただいてありがとうございます。 前回、1月11日に審査会を開きましたが、今、局長からお話がありましたように、10月1日に配慮書に関する改正条例の施行が迫っておりますので、必要な検討を部会にお願いしておりました。 本日は、部会の報告をいただき、最終的に条例の改正スタートに間に合わせることにいたしたいと存じます。 では、部会長から部会の報告をお願いいたします。 |
委員 | それでは、お手元の資料1及び2に基づいて説明させていただきます。 まず、資料1、福岡市環境影響評価審査会部会についてをご覧ください。 平成24年7月の環境影響評価審査会において、施行規則と技術指針の改正をすることにあたりまして、調査、審議をするために部会が設置され、私ども部会の委員が検討を行ってまいりました。 この部会で検討した内容ですが、(1)にありますように、福岡市環境影響評価施行規則に関する事項と、福岡市環境影響評価技術指針に関する検討であります。 検討にあたりました部会の委員は、(2)にございますように、5名であたりました。専門調査員として、次世代エネルギーを専門とされております九州大学の古山教授に入っていただきまして、他4名は当審査会の委員でございます。 部会の検討経緯は、(3)にございますように、合計4回の部会を開催し、検討を行ってまいりました。 対象事業として追加をする風力発電所並びに太陽光発電所の規模要件を決定し、風力発電所に関しては1,500キロワット以上を基本とするということ等を既に前回の審査会でご報告申し上げております。 計画段階環境影響評価技術指針につきましては、計画段階配慮を行う時期として、位置、規模または配置構造の検討段階とすることなど、計画段階配慮に必要な指針について結論を得て、ご報告いたします。 詳細につきましては、続いて事務局にご説明をお願いしたいと思います。 以上です。 |
会長 | では、事務局、お願いします。 |
事務局 | (資料に基づき説明) |
会長 | それでは、ただ今、部会長及び事務局から資料1及び資料2についてご説明いただきました。以上のご報告につきまして、委員から質問、ご意見がありましたらお願いします。 資料1が検討の内容で、それを指針という形で行政文書化したものが資料2ということになります。 ですから、資料2では技術的な表現がとられている部分が多いのですが、中身は全部資料1に書いてあるとおりです。 内容は大きく分ければ、計画段階配慮事項についてということが第一です。そして、次に風力発電所、太陽光発電所について。もう一つ今後事後調査の手続きが詳しくなりますから、事後調査の終了の判断についてということです。部会では関係の専門分野の先生にも入っていただいて十分にご検討いただいていますが、全ての分野の先生が部会に加わっておられたわけではありません。 資料2の15ページには、計画段階配慮事項が項目ごとに、こういう事業計画の特性がある場合には、この項目についてもやってほしいという趣旨のことが書かれています。 16ページには、各項目に共通することですが、こういうやり方で調査してほしい、予測はこんな方法でやってほしい。生態系についても、注)がついていますが、そういうことになっています。 |
委員 | 今回、資料1の4ページにある複数案(ゼロ・オプション)が大きな特色かと思います。資料2の指針の中では、ゼロ・オプションの取り扱いに関して、どこに書かれているのか教えていただけますか。 |
事務局 | 資料2の2ページ、(5)位置等に関する複数案の内容というところに、「位置等に関する複数案については、事業者が実行可能な案を設定することとし、事業を実施しないこととする案を含めた検討を行うことが合理的である場合には、当該案を含めるものとする」ということで、ゼロ・オプションについてはこちらで記載しております。 |
会長 | ゼロ・オプションという言葉にはかなりの誤解があって、アセスでは何もしない案としてゼロ・オプションを必ず書くことにしなければいけないと強調している学者の先生もおられますが、もともと現況記述というのがそれに当たるわけですから、ことさら、ゼロ・オプションといって強調するのは、反対運動を意識しての話という印象さえうけるわけです。 例えば、事業者がある道路をつくろうとしている。しかし、既存の道路があります。 仮に、既存の道路を使って新しい道路をつくらないことを選んだとしたらどうなるかというと、多分騒音・振動や排気ガスの負荷が既存道路周辺では高く、このままではそれがさらにひどくなる可能性が高くで問題が多いということが予測されろとします。もしそういう場合であるならば、そのことをはっきりさせておけば、もう1本道路をつくりましょうという話を進めるうえで判断材料になると考えれば、事業者がそのことを書くということはありうるでしょう、ということです。 ただ大事なことは、事業者にとって選択の余地があるゼロオプションであるのかどうかです。人様が何かやってくれることを期待してのゼロ・オプションということでは、その事業を決定する際には意味のないことです。事業者自らの判断でゼロにすることももちろんできるということを書いてくださいという趣旨です。 |
委員 | 資料1の3ページで、風力発電所に関してですが、(1)の1、「風力発電所、太陽光発電所(一定規模以上の土地の改変を伴うもの)」ということで、要は、陸上に風力発電所をつくるという前提があるのですか。洋上の風力発電所というのがつくられる可能性もあると思いますが、海域に風力発電所をつくる場合はどうなるのでしょうか。 |
会長 | 太陽光発電所に関しては、土地改変を伴う場合だけです。 |
委員 | この括弧の記述は太陽光発電のみにかかることなのですか。 |
会長 | そうです。風力は粛々と見ていくということです。 |
委員 | わかりました。 |
会長 | ただ問題は、福岡市の条例がどこまで及ぶかです。そこは非常に微妙なところです。博多湾の中の立地であれば条例を適用することに問題はないと思いますが。 仮に玄界島の沖合海域5キロのところにつくりますという話が起こった場合は、それに対して福岡市条例でアセスを要求できるのかという話になると問題があるかもしれません。 |
委員 | その辺の行政範囲というのは、決まったものはあるのでしょうか。 |
事務局 | その辺については、一度、法制課とも協議しておりますが、見解がまだ出ておりませんので、今後仙台市で政令市の環境影響評価の担当者が集まる大都市会議がございます。そちらで他都市の状況等がどうなっているかを照会をかけているところでございます。その結果を踏まえて、私どものほうでも検討したいと考えております。 |
会長 | 少なくとも、規模が7,500キロワット以上であれば、国のアセス法がありますから、それはそれで国の手続きでお願いすればいいのですが,問題は県条例もあるのです。 そして福岡市条例のほうがさらに規模が小さいものにまで適用されます。ですから、福岡市地先の5キロ沖というときに、県条例なのか市条例なのかという問題は起こります。 太陽光発電については、遊休地に太陽光発電をつくるときにアセスを要求することになります。これはあくまでも土地の改変に伴って自然環境が大きく変わる、あるいはそこに存在する動植物に影響が及ぶことを防ぎたいわけですから、一般の面開発の場合にも一定規模以上のものにはもちろんアセスが要求されますけれども、太陽光発電の新設のための土地の開発であるならば、それより小規模であっても、この際ちゃんとやってもらいましょうということです。 通常の面開発よりは小さいことでも、太陽光発電の目的のために山を削る人がいるなら、それは土地の改変ということになるわけですが、現実に、福岡市内で山を削ってメガソーラーをつくろうという人はいないと思います。空き地があって、土地代がただだからやろうというのであって、山を削って金をかけてソーラーをつくろうというようなことを考える人はまずいないと思います。 |
会長 | 〇〇委員は何かご意見がありませんか。 |
委員 | 私は、部会の委員もさせていただきまして、中身も十分に理解しております。 |
会長 | ありがとうございます。〇〇委員いかがでしょうか。 |
委員 | これはどのように発表というか、広報されるのでしょうか。 例えば、ホームページ上で発表される、記者会見をするということはあるのでしょうか。 |
会長 | これはどちらかと言うと、一般市民に広くお知らせするというよりも、事業者の方々が事業をやるときに、アセス条例があるので、どのようにアセスするのですかという疑問をいだかれたときにこれを見ていただくというものです。 |
委員 | しかし、ホームページでは一応公開するのですよね。 |
会長 | もちろん、だれでも見ることができるようにしないといけません。それは当然やることですが、これをパンフレットにして配布するかと言われるとですね……。 |
委員 | 例えば要約みたいなものとかは。 |
会長 | 技術指針は、印刷物にはするのでしょうが、そこはどうするかですね。しかし、アセスに関して、こんな仕組みがありますよということを市民に知らせるためのPRパンフレットがもしあるのなら、そこに概要を記すというようなことでしょうか。事務局いかがですか。 |
事務局 | 今回、風力発電や太陽光の発電で独自のものを設定しておりますので、そのようなところについてよく知っていただくという意味で、パンフレットやリーフレットをつくらせていただいております。そういったものをもって事業者の方、市民の方への広報に努めていただきたいと考えております。 |
委員 | 多分これはどこの都市でもつくられていると思いますが。福岡市の場合は。 |
事務局 | はい。それぞれの自治体で規模要件が違いますので。 |
委員 | ということがあるのであれば、そこら辺がわかりやすく表現されていてもいいのかなと思います。 |
会長 | もし仮にPRをするとしたら、こういうことでしょうね。県や北九州市と違って、福岡市は必ずしも風力発電の適地がない。もし風力発電をつくるとなると、よっぽど住宅に近いところにできてしまう危険性がある。だから、県や北九州市と違って、かなり小さな規模でもアセスをやっていただくことにしています。ということは、福岡市の説明としては極めて重要です。福岡市の海岸線でつくられたら、すぐ住宅がありますから、影響が大きい。だから、そこははっきり県や北九州市とは立場を異にすることにしたわけです。 |
委員 | 資料1の3ページのイ、太陽光発電所の(ウ)特定区域、特に下に書いてあるゥの風致地区とかの場合、5ヘクタールを超えなければ、全然何もチェックが入らないのでしょうか。 |
会長 | 基本的には、太陽光発電は建物の屋上を使うタイプがものすごく多くて、地べたに直接パネルを並べるような、例えばメガソーラーのようにある程度規模を稼がなければいけないという場合が多いです。それにしても、もともと空地であったところで事業を行うのにまでこれはアセス対象に該当しますと言えませんので、今までのところ土地を削るというときだけです。ですから、さきほども言いましたが、5ヘクタール未満で土地を削って太陽光を並べようという事業者等はあまりいないだろうと思われます。 |
委員 | 5ヘクタール未満を少しずつ、少しずつやっていくという悪意に満ちあふれた人がいるということも考えられるなど議論しましたけれども、法的にそれをどうするのかということは、いい知恵が出てきませんでしたというのが本音です。そういうこともあり得るだろうなということは、部会の中では争点で出ましたが。 |
会長 | ただ、風致地区など規制がかかっていれば、まずそのような規制を外さなければいけませんという話ですね。 |
委員 | ただ、遠方にそういう風致地区が見える、そして手前にこういったものがあって、全体としての景観に影響を及ぼす場合があると思いますが、資料2の15ページの表4の中の地域特性に、景観などに関しては今までの技術指針のとおりで書いてあるのですが、文化や歴史などが入る余地というのはあまりないのでしょうか。全体でいうと歴史的にすごく特色のあるところも少し行ったらあるという場合、連動性みたいなものがあるから、間接的に影響が出ることがあるのではないかと思いますが |
会長 | それはアセスというより先に、景観条例などのほうの話をしなければいけないでしょう。福岡市の景観行政には、もう少し環境分野が首を突っ込まないといけないと思っています。色と建物の形のことしか考えてないのではないでしょうか。太宰府市ではほんとうに環境の観点から景観保全に取り組んでいて、小鳥のさえずりから小川のせせらぎに至るまで、みんなそれは景観の要素でございますと言って、取り組んでいます。その辺がどうも福岡市だけの問題でしょうが、そんな根っこのところの問題を何もやらないで、アセスがいきなり何かを言い始めると、おそらく混乱が起こるのではないかと思います。 |
委員 | それに関連してですが、3ページの太陽光発電のアセス対象ということで、例えば市街化区域だと20ヘクタールとか、そういう新しい太陽光発電という概念に対しての縛りというのはどこからの大きさですか。大きさの対象などは、何か国の指導とかがあったのでしょうか。 |
会長 | いいえ、全く国は何も言っておりません。 |
委員 | そうなんですか。 |
会長 | これは福岡市の考え方です。 |
委員 | では、頭の片隅には、メガソーラーと言われる分だとアセスの対象にしますということですか。 |
会長 | メガソーラーで、しかし空き地を使うメガソーラーは仕方がないですが、それこそ山でも削ってやりましょうという人がいる。そこはちゃんとアセスをしてくださいということです。 |
委員 | 福岡市で言うと、これの対象には絶対になりそうにないぐらいの大きさでは。 |
委員 | 私は北九州市の審査会委員でもありますが、北九州市では何もないです。 |
会長 | おそらく太陽光で面開発であるにしても、アセスの対象にしているということは、全国的に珍しいでしょうね。 |
委員 | 7ページと8ページの風力発電と太陽光発電で、ほんとうに影響するかどうかの調査なのですが、生物と植物、生態系は工事の実施ではなくて存在・供用で行うということですけれども、その理由は。 できてしまった後で評価するのですか。 |
会長 | いえ、どちらでもいいのです。要するに、工事に伴う影響と見ても悪くはないんでしょうけども、それよりも、どうせ調べなさいということです |
委員 | どうせ調べなさいというのは。 |
会長 | どうせ調べないといけないので、どちらに丸をつけてもいいと思います。 |
委員 | 存在・供用というのは、できてしまった後に調べるとか後のことということではなくて、そういうものができてしまったとしたら、面を押さえてしまったら、どんなが影響があるでしょうということですから、最初から念頭に置くことには変わらないと思います。 工事の実施というのは、あることは構わないけれども、工事の仕方によっては何かの影響を及ぼすかもしれないから工事の仕方に気をつけなさいというのがこちら側に書いてあって、面でぴたっとモノができますということについての影響をしますと、こっち側に丸がついているんです。 |
委員 | 面積的に広いのが存在・供用のほうと考えるのですか。 |
委員 | それはちょっとあまり関係ありませんが。 |
委員 | そうですか。面積はあまり関係ないのですか |
委員 | わかりませんが、できてしまった後で見るのかとおっしゃった点については、事前に見るのも全く一緒です。つくられた場合の影響を考えましょうということを言っている仕分けです。 |
会長 | 例えば、少し屁理屈だけど、工事実施についての影響をよく見なさいと言ったら、その間ちょっと移植して、供用開始後にまたもとに戻したらそれで済んでしまう。今度、日陰になったら、それは大変。どちらでもいいのだけど、やっぱりそういう面開発が行われて、施設もできたあとのことまで考えて、影響を見ていただくほうが論理的には筋が通ります。 |
事務局 | 風力の場合は、バードストライクといったところが問題になることが全国的には多くなりまして、工事中で何か問題になるという事例はあまりございませんので、基本的には存在としてしっかり見ていく必要があるのかなと考えております。 |
委員 | はい。そういうお考えだということで。 |
会長 | 他はいかがでしょうか。よろしいですか。〇〇委員、何かお気づきの点は。 |
委員 | こういう環境影響評価というのは非常に重要な仕事だと思うんです。そういう中で、実際に私がいろいろな所でいろいろな生き物を見ていて感じるのは、フィールドで判別できる人間がものすごく少ないのです。フィールドを歩いて、ここにどういう植物があるとかどういう昆虫がいるとかいないというのを確認できる人間が非常に減ってきている。という意味でいけば、確かに非常に立派な基準をこしらえるが、実際に見る人がいない、現地で確認できる人間が減ってきているというのが、僕はものすごく大きい問題ではないかなという気がしています。 知識にしても同じで、ヨーロッパあたりで小鳥類の研究をやっている連中は、飛び出した距離によって飛んでくる高さが違うと言っているんです。遠くから飛んできたら高いところを飛んでいく、近くからきたやつは低いところを飛んでいくという高さに対する感覚も持ちながらみんな見ています。そのような知識を持って、しっかり現地で見ることのできる人間がやっぱり重要なんだなと、最近、ますます感じています。 |
会長 | ありがとうございました。人材養成にもう少し市をはじめみんなで努力をすべきである、というご意見です。 まことにもっともだと思います。よろしくお願いします。 |
委員 | はい。 それとやっぱり、例えば、最近の野鳥のファンでもそうですが、珍鳥にはみんなうわっと集まるのです。植物も珍しい植物というとみんな注目を引くのですが、そうでなくて、そこ辺にあってしかるべき植物やいて当然な昆虫にもぜひ目を向けてもらいたいというのが私の印象です。 |
会長 | ありがとうございます。ほかにございませんか。 |
(「なし」の声あり) | |
会長 | それでは、特にご異論もないようでございますので、本日、部会長から報告を受けた部会検討最終報告の内容を、当審査会として了承したということでよろしいでしょうか。ご異論がないようです。そのように決定いたしました。 |