福岡市男女共同参画推進センターアミカス
現在位置: 福岡市ホーム の中のくらし・手続き の中の人権・男女共同参画 の中の男女共同参画 の中の男女共同参画推進センター・アミカス の中のアミカス出版物 の中のAmikas Voice vol.15
更新日:2026年8月28日

Amikas Voice vol.15 
 2026 AUGUST

SNSで話題の「手抜き警察」
家事・育児を頑張る人たちを肯定し続ける理由

 

 

手抜き警察さん お写真

PROFILE

手抜き警察 Tenuki Police

1988年生まれ。福岡市在住の鍼灸師で、3児の父。2025年10月からThreads上で、家事や育児に対する反省・手抜きを告白する投稿をパトロールし、そっと褒める活動をしている。SNSを運営するメタ社からThreads3周年イベントに招待される。SNSの総フォロワー数は21.5万人(2026年8月現在)。好きなものは本とお笑い。

 

Interview
見えない頑張りに光を当てる

SNSで話題の「手抜き警察」をご存じでしょうか?その活動は、手抜きを取り締まることではなく、むしろその逆。「それは手抜きではありません」「十分頑張っていますよ」と、家事や育児を担う人たちを温かく肯定するものです。

誹謗中傷も目立つSNSで「肯定されてうれしい」「救われた」「手抜き警察さんみたいな人と結婚したい」と、女性を中心にフォロワーが広がっています。なぜ多くの人がその言葉に救われるのでしょうか?お話を伺いました。

 

■「手抜き警察」を始めたきっかけは?

SNSで「手抜き料理」と書かれているご飯の投稿に対して、「いや、これ全然手抜きじゃないですよ」とコメントしたのが始まりでした。すると、その言葉に共感してくれる人が想像以上にたくさんいて「誰かを否定するより、頑張りを見つけて認める方が喜ばれるんだ」と気づいたんです。その後「私のご飯はどうですか?」と声をかけていただくようになり、今の活動につながっています。
SNSで誰かの投稿を粗探しして、勝手にダメ出しをするいわゆる「〇〇警察」に違和感があって、「だったら自分は逆のことをやろう」と思ったんです。家事の中には気づかれにくい「名もなき家事」もたくさんあります。例えばお弁当なら、詰め方やちょっと振ったごま塩などの工夫や気配りがある。みんなが気付きにくいところに、その人の頑張りがたくさんあって、それを褒めることができたらいいなといつも思っています。

 

■これまででバズったやりとりは?
「洗い物が増えるのが嫌で、娘のおやつのかりんとうをティッシュに出した」という⺟親に「⼦育て世代におけるティッシュとは拭くものであり敷くものでもある」と回答したものは、反響がありました。
また、「夫に⼦どもを預け、映画を見に⾏った⺟親に、義父が笑いながら『母親失格』と言った」という投稿に回答した時も反響が大きかったです。

 

スレッズのスクリーンショット

反響のあった投稿

 

■活動を通して感じたことは?
こういった投稿の背景には、日本では女性が家事や育児をして当たり前、一方で、男性は少し手伝っただけで褒められがちという風潮があるのでは。そこに性別による負担の差があってはおかしいですし、男性ももっと積極的に家事や育児に取り組むべきだと思います。将来「イクメン」という言葉がなくなったらいいですよね。
手抜きに罪悪感を持つのは多くが女性です。SNSの影響も大きいですね。今は理想的な暮らしが見えやすく、「ちゃんとしなきゃ」と感じてしまう。でもSNSに映るのは人生の一部分、縛られ過ぎないでほしいと思います。


■活動してよかったと思うことは?
皆さんに喜んでもらえることがうれしいです。誰かを褒めると、自分も褒めてもらえる。結局僕が一番褒められています!(笑) 活動を始めてから自己肯定感がすごく高まりました。実は、一番救われているのは僕なんです。だから、第2、第3の「手抜き警察」が現われてほしいと思っています。


■コメントする時、気を付けていることは?
いきなり正論をぶつけないようにしています。例えば「⼦どもが寝なくてつらい」という投稿に対して「生活リズムが原因ですよ」と返すのは、正しいのかもしれませんが、困っている人が本当にほしい言葉は「大変だよね」「わかるよ」という共感だと思うんです。僕は、自分がかけてほしい言葉を相手にも届けたいと思っています。
また、投稿した人の過去の投稿を見たりして、その人がどんな状況でこの投稿をしたのかを想像するようにしています。「簡素なお弁当」にも、仕事が忙しかったり、体調が悪かったり、その人なりの事情や背景があって。投稿=結果だけでなく背景を想像することで、人はもっと優しくなれると思います。
あとは、面白さを必ずどこかに散りばめたいと思っています。ただ褒めている文章ってわざとらしくてちょっと気持ち悪いんですよね。ユーモアがあると、内容もスッと入ってきやすいように思います。

 

■その共感力や想像力、ユーモアはどこから?
自分が家事育児を頑張っているのもありますが、共感力は妻のおかげだと思います。以前は僕も正論を言っていたかもしれません。でも妻のことを理解したい、支えたいという気持ちがあって、「相手が求めているものは何だろう」と考えるようになりました。
僕は⼦どもの頃から、読書とお笑いが好きでした。思春期に、自分は学力や容姿では勝てない、でも、「面白いこと」と「優しくすること」は努力すれば伸ばせると思ったんです。モテたくて頑張ったんです!(笑)


■男性が変わるには、どうすればよいでしょうか?
退職後のことを考えてもらうのがいいと思います。退職すると、それまで評価の中心だった収入や肩書きがなくなり、家族との関係や、家庭の中での役割がより大切になってくるかもしれません。「今のままの自分で本当にいいのか」を一度立ち止まって考えてみてほしいです。
僕は仕事柄よく高齢の方と接しますが、おばあちゃんの中には、ご自身を後回しにして家族のために尽くし、「夫を見送った後、やっと解放された」と言う方もいらっしゃって。人生を共に歩んだパートナーからそんな風に言われるなんて、悲しいですよね。
一人暮らしもオススメです。仕事をしながら家事をすべて自分で担ってみると、その大変さがわかります。


■最後に読者へメッセージをお願いします。
家事や育児、仕事など、多くの人は十分頑張っています。でも大人になると、なかなか褒められません。だからこそ、家庭でも職場でも「ありがとう」「助かったよ」「頑張ってるね」と伝えてほしい。その一言に励まされ、自信が持てるようになる人がいます。
それにはまず、自分で自分を褒めることが大事です。そして余裕ができたら周りの人も褒めてみてください。相手の背景を想像し、誰かの頑張りを当たり前にしない人が増えれば、もっと生きやすい社会になると思います。

 

 

手抜き警察さんのHAPPY道(ヒントとアイデア)

  • 1.想像力を鍛える
    人には様々な背景があります。想像力を付けるために、読書、特に小説を読んでいます。
  • 2.ご褒美を用意する
    家事を終えた後のご褒美があると、やる気が出るし、継続できる。
    僕の場合は、おやつや妻とのおしゃべり時間。
  • 3.先に褒める
     日本には「お返し」の文化があります。だからこそ、褒められたい人ほど、まずは周りの人を褒めることが効果的です(笑)。
  

#アミカスに相談してみた #仕事と育児の両立 #ママの罪悪感 #頑張りすぎてない?

お悩み:
30代女性。既婚。仕事と育児の両立で悩んでいます。育休を取得後、仕事に復帰しましたが、子どもを保育園に預ける時に泣かれると、罪悪感が…。仕事でヘトヘトになって帰ってきて、家でも市販の離乳食を食べさせていると、自分はいいママになれないと思って、悲しくなります。毎日が綱渡りで、仕事を辞めたいと思ってしまいます。

お答え:

仕事と育児に追われる日々、思い通りにいかないことが多くて、心が折れそうになりますよね。保育園に預ける際は、多少なりとも罪悪感、後ろ髪を引かれる思いを抱えがちです。

しかしながら、お母さんが仕事を頑張っている間、お子さんも保育園という集団生活の中で多くのことを体験し、学んでいます。保育園の行事でお子さんの姿を見たり、お迎えの際に保育士さんから園での様子を聞いたりすると、お子さんの成長を実感でき、日々の励みになります。
共働き世帯も増え、生活スタイルも変化していく中で、すべてを完璧にこなすことは困難です。日本は「手作り=愛情」という手作り神話が根強く残っていますが、疲れているのに手作りにこだわって、お子さんと向き合う時間が削られるのは本末転倒です。「昔はこうだったのに」「母親はこうあるべき」という周囲の声はスルーして大丈夫。自分は自分です。
夫婦間の家事、育児の分担はどうなっていますか?日本では依然として、妻に負担が偏っているのが現状です。日々の家事、育児、そして、気付いてほしい「名もなき家事」をリストアップし、夫婦で役割分担の話し合いをしてみませんか?ただ不満をぶつけるだけだと、お互いギクシャクして解決に繋がりにくいです。困っていることを冷静に伝えることが大切です。時にはファミリー・サポート・センター(会員制の子育てに関する相互援助活動)や家事代行などを利用されるのもいいかもしれません。

 

相談員

 

相談室のご案内

写真とことば
ジェンダー・デザイン・コンテスト
作品紹介

福岡市と九州大学芸術工学研究院 社会包摂デザイン・イニシアティブが連携し、ジェンダー平等について考えるきっかけをつくるポスターを募集。福岡県内から160点が寄せられた。

 

作品の写真 女性のイラストが描かれたパート従業員大募集 の張り紙に「おとうさん、これやってみたら?」「…あそうか、俺も応募していいのか」というコメント

2022年  T・M

 

体温計のみを画面いっぱいに映し出すことで、体調を崩している女性(母)のしんどい気持ちが強調されている。
男性(父)、「え、夕飯どうすんの?」と不満を漏らす。父に悪意はなく、仕事から帰って夕食が用意されていないことへの軽い失望から出た言葉に過ぎない。
だが、母にとっては冷酷な言葉だ。この冷酷さを、体温計の無機質なイメージから想起させようとデザインした。
自らの苦しみを夫に理解してもらえない辛さや孤独を、日本では多くの女性が抱えているのではないか。まず「気づく」ことができなければ、理解することなどできない。本作が、多くの人々にとって「気づく」きっかけになれば幸いである。