速さを競う世界から、長く続く世界へ
テクノロジーで社会を豊かにする
PROFILE
佐々木 久美子 Kumiko Sasaki
株式会社Zebras and Company 地域共創テクノロジースペシャリスト
福岡県生まれ。エンジニアとしてキャリアを重ね、2011年に株式会社グルーヴノーツを創業。スタートアップ経営を通じてクラウドサービスや教育事業「TECH PARK」を立ち上げ、産業や教育の現場に新しい仕組みを導入してきた。近年は福岡県の行政改革推進委員や一般社団法人こどもDX推進協会顧問などを務め、社会課題の解決と人材育成を推進している。趣味は魚釣りとソロキャンプ。休日は電波の届かない所へ行く。1女1男の母。
システム開発やクラウドサービス事業を行う株式会社グルーヴノーツを福岡で起業し、子どもがプログラミングを学べる学童保育「TECH PARK(テックパーク)」を天神に立ち上げるなど、テクノロジーで社会を豊かにしてきた佐々木久美子さん。現在は、株式会社Zebras andCompany(ゼブラアンドカンパニー。以下、Z&C)やNPOなど、7団体のアドバイザーや社外取締役を務めている佐々木さんにインタビューしました。
■グルーヴノーツを起業された経緯は?
小5の時、父の仕事の関係者からプログラミングの雑誌をもらってプログラミングに興味を持ち始め、学校卒業後はエンジニアとしてIT企業数社でキャリアを重ねていました。子どもが2人いて、離婚をしていたので、当時
はとにかく時間がありませんでした。私が進みたい道を考えた時、起業したら時間に融通が利き、もっと自由に働けると周囲から薦められ、2011年にグルーヴノーツを起業しました。
グルーヴノーツでは、AIや量子コンピュータを使って、物流や生産システムの最適化などを行っています。例えば物流では、物量を予測し、働く人の作業やシフトの最適化、配車・ルートの最適化、在庫の最適化などを行います。テクノロジーで人間の生活を便利で豊かにすることを目指しています。
■「TECH PARK」を作ったきっかけは?
ワーキングマザーの一人として、自分が子どもを預けたい場所を作ろう、そう思ったんです。上の子の時は、両親に助けられながら、なんとかやってきましたが、IT業界は夜間作業も多く、下の子が小学生になった時、預け先に困るようになりました。自分が困っていることは、他の人も困っているのではないかと思い、2016年グルーヴノーツの社内に「TECH PARK」を事業としてスタートしました。会社にいる時間が長いので、会社に子どもを預けられたらいいな、しかも自分が信頼している社員がみてくれたら安心だなと考えたのが始まりです。
そして、ただ預かるだけの場所ではなく、子どもの成長につながる場にしたいと思い、私の得意なテクノロジーを教えることにしました。
うちのようなちょっと珍しい預け先があることで、働いている親を応援できますし、子どももテクノロジーを学びながら楽しく親を待っていられます。

■昨年10月、新たな一歩を踏み出されたそうですね

グルーヴノーツの代表を退任し、Z&Cのアドバイザーに就任しました。
これまでスタートアップの世界で、ユニコーン企業(注1)を目指して、常に生産性や効率性を求めながら生きてきました。それは意義あることですが、一方、子どもや福祉、地域の文化と向き合う中で、「大きくなること」とは別の価値もあると気づきました。
例えば、もつ鍋屋さんは小さいお店が多いですけど、福岡の貴重なもつ鍋文化を担う、なくしてはいけない存在ですよね。同じように「TECH PARK」はお子さんを預かっているので、規模を大きくするより保育の質が大切だと考えているんです。
そういう想いを持っていたので、たとえ小さくても社会に必要なもの、長く続くもの、そういった企業を支える経済の形、ゼブラ企業(注2)という存在に魅力を感じるようになりました。その考え方が、自分がこれまで資本主義の中で感じてきた違和感や、望んでいた社会像と重なっていくのを感じました。Z&Cでは、優しく健やかで楽しい社会を作るため、投資や経営支援を通じて、ゼブラ企業を応援しています。人が人であるために、人がやらなくていいところはテクノロジーで自動化するなど、ゼブラ企業のお手伝いができたらいいなと思っています。
注1)設立10年以内、企業価値が10億ドル(約1500億円)以上の、未上場スタートアップ企業。
注2)ユニコーン企業に危機感を覚えた米国の4人の女性起業家が2017年に提唱した概念。経済性と社会性の両立を目指し、持続可能なビジネスモデルを持つ企業。
■最後にメッセージを
50歳になって大病を患い、初めて、命に限りがある現実と向き合いました。それまで信じてきた成長やスピードよりも、今は自分のこれまでの経験を「伝えていきたい」「役立ててもらいたい」と考えるようになりました。特に、これからの世代や女性たちが安心して挑戦できる社会を後押ししたい。テクノロジー系の会社で、女性がトップに立っていると、理系を目指したり、トップを目指したりする女の子も増えると思います。私たちの仕事は技術職。ライフイベントにも対応しやすく、男女ともに、働き続けたいと思う人にはおすすめの職業です。
今は誰でも挑戦できる時代。だからこそ、情報が大切です。与えられた情報をそのまま信じるのではなく、「なぜ?」と一歩深く考える力が求められているのではないかと思います。見出しや噂だけで判断せず、背景を知ろうとすること。そして「女性だから無理」と自分で可能性を狭めないこと。性別は制限ではなく、その人らしさの一部にすぎません。自分で選び、自分で決めることが、これからを生きるいちばんの力になるのだと思います。

17キロのキハダマグロを釣りました
佐々木さんの
3つのポリシー
お悩み:
30代男性。妻とうまくいっていません。家事、育児はできる範囲で手伝っていますが、妻にやり方が違うと怒られます。どうしても妻が満足しないので、途方に暮れています。妻は強気な性格で言い方もキツイので「それはひどいんじゃないか」と言い返したら、逆に私がDV夫だと言われました。これは妻のモラハラではないでしょうか?この先、妻とどう接していけばいいのかわかりません。
お答え:
自分は家事と育児を頑張っているのに、妻からは怒られ、言い返すとDVと言われる・・・つらい状況ですね。
家事や育児の分担はそれぞれの家庭で異なります。どんな場合も、夫婦がお互いに納得していることが大切です。まずは、夫婦の間で、対等にしっかりと話し合いましょう。
話し合いにはコツがあります。「あなたは〇〇(きつい、モラハラ)だ」と相手を批判する言い方「You(ユー)メッセージ」よりは、「私は〇〇(自分なりにやっている、責められるとつらい等)」と私を主語とした「I(アイ)メッセージ」を心がけましょう。相手の意見を責め立てるよりも、自分の意見を穏やかに提案し、気持ちも丁寧に伝え、相手の意見には十分に耳を傾けるよう心がけることにより、対立は生じにくくなります。
また、家事も育児も本来的に夫婦共同で取り組むもの、との意識がある人にとっては、パートナーの「できる範囲で手伝う」という「手伝ってあげる意識」は、怒りや不信を募らせる原因になることもよくあるようです。家事や育児が夫婦どちらかの仕事という思い込みがないかを考えてみることも大切です。
言いたいことを言えない、会話にならないなど、一方的に支配、コントロールされていると感じる時には、モラハラを含めたDVが考えられますので、詳しくお話をきかせていただければと思います。
男性相談員による男性専用の相談もあります。
相談員
福岡市と九州大学芸術工学研究院 社会包摂デザイン・イニシアティブが連携し、ジェンダー平等について考えるきっかけをつくるポスターを募集。福岡県内から143点が寄せられた。

2023年 三好 惠梨香
「パート従業員」と聞くと、どのような人を思い浮かべるだろうか。
私は近所のスーパーでレジ打ちをするおばさんが思い浮かぶ。もちろん、パートの募集に性別の項目が含まれることは実際にはほとんどないが、パートタイム労働をするのは女性、それも家庭を持った女性という考えが根付いていると感じた。実際、パート従業員について検索すると、その上位にあるサイトには「周りも主婦なので友達ができやすい」という記述がされていた。これは働き方の多様化を進めようとする時代の流れにはそぐわないものである。
この作品の意図は、父親と、彼にパートに応募するよう勧める子どもの会話を通して、「パートに応募する=女性」だけではないことに気づいてもらうことだ。写真に写るポスターは、ネットのパート募集ポスターテンプレートに少し手を加えたものだ。女性のイラストはもともとあったのだが、なぜ募集ポスターに女性のイラストなのかも考えてもらいたい。