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更新日:2025年3月17日

Amikas Voice vol.12 
 2025 FEBRUARY  

西鉄バス研修センター 唯一の女性指導員

 

定道 博子さん 写真

 

定道 博子 
Hiroko Sadamichi

西日本鉄道

バス研修センター指導員

 

PROFILE 

1976年兵庫県宍粟(しそう)市生まれ。短大時代を福岡で過ごし、卒業後は姫路市で保育士として働く。2006年30歳の時に西日本鉄道株式会社に入社。バス運転士として勤めたのち、2021年に西日本鉄道バス研修センターの指導員となる。日本テレビ「人生が変わる1分間の深イイ話」にて、神ワザ運転テクニックを披露。趣味はゴルフ。お酒とラーメンが好き。

 

 

 

Interview
かろやかにチャレンジし続ける

 


西日本鉄道(以下、西鉄)ではバス運転士が3,376人、うち女性は148人(約4.4%)です。(2025年2月時点)バス研修センターで11人いる指導員のうち、唯一の女性指導員、定道博子さんにインタビューしました。


定道博子さんお写真

 

西鉄で運転士になったいきさつは?

19歳の時、車の免許を取得しました。運転が大好きで、どこに行くにも移動手段は車でしたね。福岡に祖父母がいて、短大時代を福岡で過ごしました。卒業後は兵庫に戻り保育士として働いていたのですが、その保育所が閉鎖になったんです。普通はショックかもしれませんが、昔から大きいものを運転したい気持ちがあったし、福岡にいた時から西鉄バスに憧れがあり「よし、チャンスや!」って思いました。西鉄には、バス運転士になるために必要な大型二種免許の取得代を負担してくれる制度があったので、2006年30歳の時に入社しました。

 

運転士さんの1日を教えてください

私は百道浜営業所で、主に天神・博多を走る路線バスに乗務していました。1日の仕事はアルコール検査からスタートします。その後バスの点検を行いますが、点検項目はなんと110項目もあります。そして、路線の注意事項、健康状態の確認等を行います。無事に乗務が終了したら営業所に戻り、バスに給油をしたり、洗車をしたり、車内の確認等を行います。

路線バスは発車、停車が多いですし、お客様は立っている方もいるので、車内で事故が起こる可能性もあります。外を見るのはもちろんですが、車内も注意して見ておかないといけません。雪など天気の悪い日は大変ですね。前日から待機して、バスが運行できるかどうかを判断したり、雪を溶かす塩化カリウムを道にまいたり、タイヤにチェーンを巻いたりします。

時々、貸し切りの観光バスも運転しました。いろんな道を走って、いろんな所へ行けるのが楽しかったです。ここは通れるのか、曲がれるのか、判断能力が必要になります。初めての道は、体もかなり疲れます。

 

 

 

運転の楽しさとは?

運転席が高くて、見晴らしがいいです。都市高速で、普通車だと壁で見えない海も、バスからなら見えます。大きいものを動かしているという充実感もありますね。

以前、貸し切りバスで狭い難所を通り抜けた時、お客様から「おおーっ!よくこんな狭い所いけたな!」と歓声と拍手が起こりました。そういう時は達成感があります。

最近では、普通車の運転の方が下手です。駐車場に真っすぐ停められません(笑)。

 

 


大変だったことはありますか?

路線バスを運転している時、踏切で渋滞し、15分ほど遅れたことがありました。車内アナウンスで謝罪したものの、女性のお客様が降りる際「これだから女の運転手は」とおっしゃって降車されました。これだけは悔しくて忘れられないです。

貸し切りバスの場合、はじめお客様に挨拶すると、みんな一瞬「え?女性で大丈夫なの?」という顔をしますね。そしてほぼ「何年運転しているの?」と聞かれます。女性の運転士だと、皆さん不安を感じるようでした。

 
 
 

どうやって大変さを乗り越えましたか?

運転にこだわっています。ギアを変えるときのショックを最小限にし、加速、停止するようにしています。カーブでお客様を揺らさないよう、ブレーキで「カクッ」とならないように気を付けています。

車内案内も「車両混雑のため、〇分遅れが生じております」など、丁寧に伝えるよう心掛けています。ある時、男性がつかつかと寄ってきて、何か文句を言われるかなと思ったら「僕、今日イヤなことがあったんですけど、バスの案内を聞いていたら、それがスッとなくなりました。ありがとうございました。」と言われました。私の案内がお客様の心に届いたようで、うれしかったです。「運転が優しい」「安心する」と言われることも、うれしいですね。

 

 

 

研修センターの指導員になったのは?

これまで事故なく勤めてきたので、当時の所長が推薦してくれたようです。せっかく声をかけられたので、チャレンジしてみようと思い、2021年に指導員になりました。西鉄は充実した研修センターを持っているので、他のバス会社も見学に来るほどです。

新人はここで32日間、訓練します。女性も入ってきていますし、40~50代の人もいます。最近担当した新人の中に女性が1人いましたが、運転が一番上手でした。

新人に運転技術を教える時にいつも感じるのは、言葉で伝える難しさです。運転は感覚が多いので、それをどうやって言葉で伝えるか、日々考えています。生徒が巣立って、無事故で活躍していること、辞めずに続けてくれること、バスの運転が楽しいと言ってくれることは、自分のやりがいにつながっています。

 

 

 

 

 

 

今後の目標・メッセージを

保育士の仕事も楽しかったけど、やはりバスの仕事は自分の天職だと思います。当時30歳でしたが、憧れていた仕事にチャレンジして、本当によかったと思います。

今後はトレーラー(けん引車)に乗ってみたいですし、BRT(連節バス)にお客様を乗せて走ってみたいですね。

悩みや壁もありますが、上司から「思い通りに行かないから楽しめるんだよ。スーパーマリオのゲームが敵も襲ってこない、コインも取り放題だったら、何が面白い?高い壁があるから、やり遂げた時の達成感が味わえる」と言われました。その言葉をもらってから、無敵なスーパーマリオは面白くないと意識し、思い通りに行かないことも楽しめるようになりました。

職場が閉鎖になったり、女性運転士というだけで不安に思われたり、一見マイナスに思えることも、考え方を変えて見てみると、チャンスだと思います。先入観にとらわれないで、何歳になっても、興味あるものにはチャレンジしていいんじゃないかと思います。

 

 

 
西鉄バストリビア

 

 

#アミカスに相談してみた #ルッキズム #ボディポジティブ #摂食障害

お悩み:
20代女性、独身、ぽっちゃり体型です。付き合っている彼氏から「もっと痩せたほうがいい」と言われました。努力して一時は体重が落ちましたが、「太るのはダメ」といつも言われ、食べることが怖くなりました。拒食と過食を繰り返し、自己嫌悪に陥る日々です。痩せないと自分は愛されないのか、自分に価値はないのかと悲しくなります。


お答え:

あなたは今のあなたのままで十分、大切な存在です。彼から「太るのはダメ」といつも言われ、傷ついてこられたあなたは「痩せている=美しい」と思い込むようになっていませんか?

外見で人を判断することを「ルッキズム」といいます。「ルッキズム」は単に外見を重視することだけでなく、見た目だけで人格を判断してしまうなど、さまざまな差別や偏見を生み出す可能性もあります。メディアやインターネットの影響で「ルッキズム」が助長されていると言われていますが、そんな社会の風潮にあなたは取り込まれていないでしょうか?

もしあなたが「外見を変えれば、二人の関係はうまくいく」と思っているとしたら、今一度立ち止まって考えてほしいのです。あなたの体はあなたのものであり、その決定権はあなたにあります。あなたがどんな体型がいいのか、どんな自分でいたいかは、あなたが決めていいのです。

あなたにとって「美しい」とはどのようなものでしょうか?あなたには外見だけではなく、内面にも人と違う価値があるはずです。外見を見てどう思うのかは人によってさまざまです。自分の評価を人に委ねず、自分軸を持って生きていくことができ「私は私のままでいい」「今の私が好き」と言えるようになればよいですね。

 

                   相談員

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 

写真とことば
ジェンダー・デザイン・コンテスト
作品紹介

福岡市と九州大学芸術工学研究院 社会包摂デザイン・イニシアティブが連携し、ジェンダー平等について考えるきっかけをつくるポスターを募集。福岡県内から143点が寄せられた。



 

2023年 最優秀作品 

山田 智博



 

自分がこれまでに撮ってきた写真をジェンダーバイアスの観点で見返してみました。すると海辺で撮った写真の中に、落とし物らしきウルトラマンのフィギュアを見つけ、同時に「あーどこかの男の子が落としたのだな」と何も意識せずに考えてしまっている、そんな自分に気づきました。別にこれを落とした人は男性かもしれないし女性かもしれないし、大人かもしれないし子どもかもしれない。何も確定していないのに、自分の潜在意識だけで「ウルトラマン=男の子」というふうに結びつけてしまっていたことを再認識し、この気づきを作品にしました。写真を見て誰もが思うこと、それが実はジェンダーバイアスかもしれません。こうした状況は日常にありふれています。

作品の工夫点としては、直接的な表現のことばを用いることはせず、自分はこう思ったけど皆さんはどう思いますか?という含みをもたせた文言にしたことです。