現在位置:福岡市ホームの中のくらし・手続きの中の人権・男女共同参画の中の男女共同参画の中の男女共同参画推進センター・アミカスの中のアミカス出版物からAmikas Voice vol.10
更新日: 2024年2月15日

Amikas Voice vol.10 
 2024 FEBRUARY  

プロサッカー選手が子連れで単身赴任!


多賀さん、大久保さんの写真

左:多賀 太 Futoshi Taga
愛媛県出身。関西大学教授で、専門は男性学、家族社会学、教育社会学。九州大学教育学部卒業後同大学院に進む。1男の父。主な著書に『ジェンダーで読み解く 男性の働き方・暮らし方』(時事通信社)などがある。

右:大久保 嘉人 Yoshito Okubo
福岡県出身。元サッカー日本代表。国内外で活躍し、J1リーグ3年連続得点王、J1リーグ最多得点記録を残す。2021年現役引退。4男の父で、過去にベストファーザー賞を受賞。著書に『俺は主夫。職業、現役Jリーガー』(講談社)がある。



Talk Session 
アミカスフェスタ2023

まずは今日からキックオフ!
~男性の家事・育児を考える~

2023年11月3日に開催した「アミカスフェスタ」で、大久保嘉人さんと多賀太さんをお迎えし「まずは今日からキックオフ!~男性の家事・育児を考える~」と題してトークセッションを行いました。
大久保さんからは、現役時代、三男の橙利(とうり)さん(当時9歳)と約1年間の子連れ単身赴任をしたご経験を、多賀さんからは、家事・育児におけるジェンダー課題について、男性側の視点を交えてお話ししていただきました。


トークセッションの様子

多賀:大久保さんは苅田町出身だそうですが、どんなお子さんでしたか?
大久保:両親が、僕にサッカー選手になってほしいと思っていたこともあり、サッカー以外は勉強も家の手伝いも何もしなかったです。サッカーの準備も学校の準備も、母が完璧にしてくれて、それを持っていくだけでした。

多賀:では、結婚された後はどうですか?
大久保:家事は妻任せで、何にもしてませんでした!(笑)すぐそこにあるリモコンも取ってもらってました。料理も目玉焼きしか作れなかったです。

多賀:そんな大久保さんが、子連れ単身赴任をしようと思ったのは、どうしてですか?
大久保:自宅は横浜なのですが、セレッソ大阪に移籍が決まって家族に伝えたら、橙利が「一緒に行きたい」と言ったんです。「宿題も学校の準備も全部自分で完璧にするならいいよ」と言ったら、完璧にするわけですよ。もう連れていくしかないなと。

多賀:家事の経験がない中で、よく決心されましたね。
大久保:まずは、自分自身が成長できるかなと思い、チャレンジしてみようと。それに、連れて行かないと言うと「遊ぶつもりだろう」と思われますし(笑)。

多賀:私も海外に住んでいた時、幼い息子を1週間妻不在で世話しただけでも、大変でした。一番苦労したことは何でしたか?
大久保:子どもの学校のことですね。学校の連絡帳に「コンパスがありません」「ノートが足りません」と、足りない持ち物が毎日書かれているんですよ。連絡帳を見るのが怖かったですね(笑)。当時はコロナ禍で店が早く閉まっていたので、本当に大変でした。単身赴任するまではわからなかったけど、妻は毎日これをしてたんだな、世のお母さんたちはすごいなと実感しました。

多賀:単身赴任の時は、料理もいろいろされていますが、遠足の日にはお弁当も作ったそうですね。
大久保:遠足があるとわかってから、ずっとその日が怖くて怖くて(笑)。当日は大事な試合の前みたいにイメージトレーニングして、かなり早く目が覚めました。作り出したら意外と簡単で20分でできました。


手作りのお弁当の写真

手作りのお弁当



多賀:これはすごい、完璧です。橙利さんも喜んだのでは?
大久保:サプライズで、中身を見せずに持たせました。でも、走って学校に行ったそうで、残念ながら食べるときにはぐちゃぐちゃになっていたみたいです(笑)。

多賀:単身赴任をするときに「家事の心得 七ヵ条」をつくったそうですが、これは楽しく、前向きな気持ちになりますね。男女問わず、家事が苦手な方も、ヒントになると思います。家事を全くしていなかったということでしたが、参考になるアイデアがたくさん詰まっていますね。


大久保嘉人的 家事の心得 七ヵ条!


  1. すぐにやる
    汚れた時にすぐに洗えば、自分がラク。何事もためると、どんどんしたくなくなる。
  2. 無理をしない
    「絶対やらないといけない」と思わず、料理したくないときは、外食したり、フードデリバリーを頼んだりする。
  3. 新しいことに挑戦する
    料理も洗濯も「挑戦」と思ってやってみる。ただし、頑張りすぎると続かないので頑張りすぎない。
  4. ルーティンはつくらない
    つくってしまうと、やらないと気持ち悪くなったり、忘れたときに不安になったりする。
  5. すべてを楽しむ
    絶対やらないといけないのなら、どうせやるなら、楽しみながらやる。
  6. 自分のやり方を見つける
    指示されてやるのはツラい。自分のやり方を見つけて、工夫しながらやると、ストレスも全く感じない。
  7. やりながら修正する
    はじめから完璧を求めるのではなく、まずはやってみて、少しずつステップアップしていく。



料理中の大久保さんの写真

料理中の大久保さん



大久保:単身赴任前も、少しは家事をしたこともあったんですよ(笑)。家事をしないと怒られるのでやるんですが、「やり方が違う」と怒られ、結局やらなくなるっていう…。

多賀:これは世の男性からよく聞く話です。家族心理学に「マターナル・ゲートキーピング」という用語があるんですが、妻がいわば家庭の「門番」として、夫をどの程度、どのように家事・育児に参加させるか、無意識のうちにコントロールすることを言い表したものです。
夫にもっと家事・育児をしてほしいと願っていても、やり方をチェックするという妻は案外少なくないかもしれません。夫からすると、せっかくやろうとしているのに、したらしたで怒られる。でも、妻からすると、夫の家事スキルが自分の要求に追い付いていなくて、ますますイライラしてしまう、という悪循環に陥ることになるんですよね。

大久保:
男性は今まで経験がない人も多く、間違えることもあると思うんです。でも、「ありがとう」と言ってもらえると、それだけでうれしくて、「もうちょっとやってみようかな」って、広がっていくと思うんですよね。女性からの声のかけ方を工夫してもらえたら、もっと家事・育児がやりやすくなると思います。まずは、ごみ捨てとか、食事の後片付けとか、あまり間違えようのないことから始めるのもいいと思います(笑)。



桜咲くグラウンドで三男の橙利さんと
単身赴任中も、チーム2位の得点数で大活躍した



多賀:共働きであれば男性にもしっかり家事をやってほしいと思っている女性が大半でしょうし、専業主婦の方で、夫が家事をやらないことよりも、夫が自分の大変さを認識していないことに不満を感じている方も結構いらっしゃると思います。まずは男性も家事をやって、大変さをわかって、夫婦それぞれ分担の仕方を話し合って、家族みんなでやっていくことが重要なのでしょうね。
最後に大久保さんから、男性たち、特に若い方たちに対して、メッセージをお願いします。

大久保:家事も早いうちからしておけば、将来きっと役立つし、お互いのパートナーを楽にしてくれると思います。正解はないし、ミスしても、そこは成長するチャンスなので、仕事だけでなく、家事も無理せず楽しみながらやってください!

多賀:無理をしないというのは、長続きするために大切なことですよね。大久保さんのお話を聞いて、私たち男性は勇気をもらいました。ぜひ今日から、できることを一つ一つ取り組んでいければと思います。




#アミカスに相談してみた #夫の浮気 #許す? #別れる? #happy #lifestyle

お悩み:
30代女性。夫が浮気をしています。最近帰りが遅く、土日も出張と言って不在になることが多くなり、いけないとは思いつつ夫のスマホを見たら、女性とのやり取りを発見してしまいました。ショックと怒りがありますが、正直、別れるかどうか悩んでいます。小さい子どもがいますし、浮気以外はいい夫・父親です。私は出産で仕事を辞めてしまったため、別れた後、経済的にも心配です。

お答え:
夫が浮気をしていることがわかり、ショックで怒りもあり、つらい状況ですね。
夫は現在どう思っているのでしょうか?浮気を認めるのか否定するのか、これからの夫婦、家族の生活をどう考えているのか、一度話し合うことはできるのでしょうか?
もし夫婦での話し合いが難しいなら、信頼のおける人を間に入れて話し合うこともできるでしょう。また、家庭裁判所(調停)でも、話し合いが可能です。
しばらく別居して、夫と離れてみるのもいいかもしれません。距離を取ることで、気づくこともあります。
もし夫と別れることを選択する場合には、さまざまな公的支援があります。仕事や住まい、子どもの環境等、その後の生活のための具体的な情報を集めてみることも、あなたの力になると思います。
夫婦はお互いを尊重し、対等な関係であることが望ましいです。あなたが「自分らしさ」を大事にしながら、どう生きたいのかを考えて、行動できるといいですね。
誰かに話すことで、整理できることもあります。アミカス相談室では、一緒に考えることができます。
相談員



アミカス相談室。毎日10時から16時30分まで(休館日を除く)電話番号:092-526-3788





明日はもっといい日




須藤 美香
コラムニスト、コーディネーター


PROFILE
米国発のポジティブ心理学を学び、独立。
「自分らしく生きる」をテーマに、執筆やイベントのコーディネートを行う。
須藤美香ブログ
Podcast「mika の Inner Journey」



現在6歳になる上の子が1歳のときに決めたことがあります。それは「夕食は作らない」を、我が家の前提にすることです。

義務感で続けていた手作りの夕食
当時のわたしは、仕事を終えて保育園に子どもをお迎えに行き、遅くに帰宅する夫を待たずに、事前に作っておいた夕食を子どもと2人で食べるという生活をしていました。

まだ言葉が通じない小さな子どもと食卓を囲む毎日。子どもは好き嫌いもあり、作ったものに見向きもしない日もあれば、食べものをグチャグチャにすることもあります。それでも、自分が料理して食べさせないわけにはいかない…。

もともと、さほど料理が好きでも得意でもなかったわたしは、半ば義務感で続けるこの夕食作りに、ジワジワとつらさを感じることが増えてきました。

「もう、前提を変える!」
あるとき「もう、わたしは夕食を毎日作るっていう前提を変える。これからは、作らないを前提にする!」と決めました。

作らない、が前提だから、作った日は「わたし、えらいな」と思える。子どもと2人で外食しても、「だってうちは夕食作らないのが前提だし」と当たり前に思える。

実は、結果的に夕食を作る回数がそこまで減ったわけではありませんでした。でも「やって当たり前」だったことが、「やらないが当たり前」になることで、選択肢が生まれ、義務感から解放されたように思います。「やるかやらないかは自分で選んでいい」と思えるようになり、ずいぶん気持ちが楽になったのです。

今まで当たり前にしてきたこと、義務感で続けていることを「しない」前提に変えてみる。そこに選択肢が生まれ、選ぶ自由ができるでしょう。

みなさんも、変えてみたい前提はありますか?