市は、誰もが自分らしく遊べる「インクルーシブな子ども広場」を、来年春までに市内全区に設置します。同広場への取り組みについて紹介します。
市は、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサルデザイン都市・福岡」を目指した取り組みを行っています。その一環として、年齢や性格、障がいの有無などにかかわらず、安心して自分らしく遊ぶことができる「インクルーシブな子ども広場」を各区1カ所、計七つの公園で整備を進めています。インクルーシブとは、「全てを包み込む」を意味する言葉です。
●市民の声を基に3年かけて整備
令和3年から5年にかけて、誰もが快適に利用できるユニバーサルデザインに配慮した遊具を舞鶴公園(中央区城内)に設置し、検証を行いました。
広く市民に実施したアンケート調査では、「年齢の離れたきょうだいを一緒に遊ばせたい」「小さな子どもも楽しめる遊具が欲しい」といった声が寄せられました。障がいのある子どもを持つ保護者からは、「他の子どもに迷惑をかけるのではないか心配」「自分のペースで遊ばせたい」「大きな声や音が苦手なので、にぎやかな公園には近づけない」などの意見もありました。
これらの意見を基に、七つの公園それぞれで何度もワークショップを開き、地域の住民や障がいのある子どもを持つ保護者などと一緒に整備プランを作成しました。百道中央公園(早良区)、東平尾公園(博多区)、西南杜(もり)の湖畔公園(城南区)に広場がオープンし、残り4区での整備も進んでいます。来年春には全区にオープンします。
●子どもの特性やペースに応じて遊びが選べる
広場には、子どもが自分の特性やペースに合わせて過ごせるよう、体を動かして元気に遊ぶエリアと、周囲を気にせずに一人遊びがしやすいエリアが設けられています。
遊びの種類も、滑り台やブランコのように身体を動かすものや、触ると音が鳴り、触覚や聴覚などの五感を刺激するパネル遊具などさまざまです。芝生に寝そべって、草の手触りや匂いを感じて自然に触れることもできます。
■安全性に配慮し、見守りスペースも確保
誰もが利用しやすい広場にするためには、さまざまな配慮が必要です。そのために、ワークショップでさまざまな立場の人からたくさんの意見を出してもらい、プランを練り上げてきました。
例えば、百道中央公園では、「子どもが安全に遊べて、保護者が遊び場を見渡せるようにしたい」という意見が上がりました。それを受け、どの広場にもゆとりのあるスペースに遊具を配置しています。
また、「子どもに多動傾向があるので、飛び出しにくくしてほしい」「体幹が弱いので、他の子どもとの衝突を避けたい」という声にも応え、遊び場を囲うようにベンチを配置しています。遊具周辺の地面は、転倒時のけがのリスクなどを考えて弾力性のあるゴムチップで舗装しています。
公園は、誰もが自由に訪れることができる場所です。インクルーシブな子ども広場も決して特別な場所ではありません。さまざまな特性の子どもたちが同じ空間を共有し、思い思いに自分らしく遊ぶことができる、そんな広場を目指しています。広場が完成した後も、利用者の皆さんの声を聴き、より利用しやすい広場づくりを進めていきます。
インクルーシブな子ども広場の詳細は、ホームページ(「福岡市 インクルーシブな子ども広場」で検索)でご確認ください。
■問い合わせ先/みどり整備課
電話 092-711-4410
FAX 092-733-5590
市民の皆さんの意見はこんな所にも
●楽しく過ごせる場所に
遊び場の周辺を単調なゴムチップ舗装ばかりにすると、人工的で味気ない雰囲気になってしまうという意見もワークショップで寄せられました。地面遊びができるよう、楽しい絵が描かれた所もあるので、探してみてください。
また、日陰が欲しいという要望を受け、屋根のある休憩場所や木陰を増やしています。
●トイレの機能を分散
バリアフリートイレは、ベビーチェア等を備えているため、乳幼児を連れて利用する人が多いことがアンケート調査で分かりました。バリアフリートイレの混雑を避けるために、既存の男女別トイレにもベビーチェアを設置しています。
インクルーシブな子ども広場に行ってみよう!
3区にオープンした同広場を紹介します。
●百道中央公園
【場所】
早良区百道浜三丁目
電話 092-711-4410
FAX 092-733-5590(みどり整備課)
子どもに大人気の築山(つきやま)に、スロープでも上がれるようになりました。地域の人々の散歩コースでもある公園の外周には、健康遊具や一人用のジャンプ遊具も設置されています。
ベビーカーや車椅子が通れるようにつくられた芝生広場の小道は、景観を重視する住民の要望に応え、アスファルトではなく、特殊な土で舗装されています。
●東平尾公園 大谷広場
【場所】
博多区東平尾公園二丁目
電話 092-409-7810
FAX 092-751-5005(管理事務所)
ブランコや回転遊具、最大で16人が同時に乗れるジャンプ遊具等が加わり、草スキー場の人工芝も新しくなりました(ソリは無料貸し出し)。カフェも併設され、全面ガラス張りの店内から芝生広場を見渡せます。
さらに、起伏に富んだ地形を生かしたアスレチックや、林の中を縫って進むローラー滑り台等を改修しています。展望デッキも新設され、来年春に全面オープンします。
●西南杜(もり)の湖畔公園
【場所】
城南区七隈六丁目
電話 092-863-7929
FAX 092-834-8463(管理事務所)
ふれあい広場で、チョークで壁に絵を描いたり、シャワーで水遊びをしたりできます。視覚障がい者のための触知図案内板も設置されています。
園内には、遊歩道もあり、四季折々の景色を楽しめます。
5月25日(日曜日)に桧原運動公園(南区桧原五丁目)に、来年春にアイランドシティ中央公園(東区)、かもめ広場(中央区)、今津運動公園(西区)に広場がオープンします。
詳細は、ホームページ(「福岡市 インクルーシブな子ども広場」で検索)で確認するか、みどり整備課(電話 092-711-4410 FAX 092-733-5590)に問い合わせを。
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