「ヤングケアラーについて考えよう~子どもと家族を支えられる地域へ~」 (504kbyte)
(講師プロフィール)
福岡市子ども家庭支援センター「SOS子どもの村」センター長、広島国際大学客員教授、臨床心理士、公認心理師。
これまで、福岡市児童相談所心理判定員、児童相談所長、九州大学人間環境学研究院教授、広島国際大学教授等を経て、
2022年4月より現職。虐待や社会的養護、その危機にある子ども・家庭への支援、里親養育支援に取り組んでいる。
7月の「福岡県同和問題啓発強調月間」に合わせて、人権を尊重し多様性を認め合うまちづくりを目指して毎年「城南区人権を考えるつどい」を開催しています。
今年は、LGBTと家族の在り方を描いた映画「彼らが本気で編むときは、」の上映会を実施しました。
(文責 城南区生涯学習推進課 岩瀬 賢治)
(C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会
この映画は、トランスジェンダー(注1)のリンコと母親からネグレクト(育児放棄)をされている小学生トモの交流を通して、家族の在り方やLGBTQの問題について描いた作品です。
物語のはじめ、とある小学校の教室の風景が映し出されます。その黒板一面にはトモの小学校の同級生カイをからかう落書きがされていました。カイは男の子として生まれましたが、同性の先輩に思いを寄せており、学校では「HOMO」「おかま」など言葉のいじめを受けていました。
放課後、学校から帰宅したトモは母親から何度目かのネグレクトをされてしまいます。そんな時、トモは叔父のマキオを頼ることにしていたようです。ただ、今回は少し事情が違っていました。マキオはトランスジェンダーのリンコと一緒に暮らしていたのです。トモは最初、戸惑いながらも3人での生活が始まります。
日々の暮らしの中で、キャラ弁を作ってくれたり、編み物を教えてくれたりする心の美しいリンコにトモは次第に心を寄せていきます。そしてリンコのすべてを受け入れているマキオとともに3人の幸せに満ちた素晴らしい時間が流れていきます。
ある日、リンコとトモが買い物をしているところを、カイ母子に見られます。カイの母親はトモを心配して言ったのでしょうが、トモが店内で一人になっている時にリンコのことを「普通じゃない」と言ってしまいます。その言葉に怒ったトモは「普通じゃないってなんだよ!」と、買う予定で持っていた洗剤をカイの母親に噴射し、大騒ぎになります。警察署でリンコが謝罪して済みましたが・・・・翌日、学校の黒板には『変態家族』などの落書きが。
一方、カイは1学年上の男子に心寄せていて、ラブレターを書きますが、母親に見つかり、「罪深いこと」と、破り捨てられてしまいます。絶望したカイは睡眠薬を大量に飲んで自殺を図ります。一命をとりとめ、入院しているカイにトモは「あんたの母親はたまに間違う」と言います。リンコが中学生の時にリンコの母親に「おっぱいが欲しい」と言ったとき、リンコの母親はブラジャーを買い、編み物で胸パッド(ニセ乳)を作った場面とは対照的でした。
世の中には様々な「常識」や「普通」などの言葉や概念があります。社会生活を営んでいくためや人間関係を円滑にしていくために必要な部分ではあるでしょうが、そのことにとらわれ過ぎると物事の本質を見誤りかねません。
幸せとは?心の平和とは?多忙な日々の中で忘れかけている問いを思い出させてくれる、また何をもって家族というのか、家族の定義を考えさせてくれる素晴らしい作品でした。
(注1)トランスジェンダー(Transgender)
生まれた時に割り当てられた性別とは異なる性別を生きる人(性同一性障がい者を含む)
様々な人権課題についての資料を掲載しております。下記よりダウンロード可能です。研修会などでご活用ください。