
第17回 永蔵と紙役所
・炭役所
現在の大手門三丁目のすのこ芝生広場付近に、かつて福岡藩の経済を支えた三つの施設がありました。

●永蔵
「永蔵(ながくら)」は、江戸時代に藩が年貢米を保管するために建てた大規模な倉庫群です。藩内から年貢として納められた約15万俵の米が収納され、藩の食糧管理や財政に欠かせない施設でした。
港から船で出荷する時期には、倉庫に入り切れないほどの大量の米が運ばれました。
納められた米は、永蔵奉行らによって、品質、乾燥状態、俵の作り方、計量などを厳格に管理され、規定に合わない場合は、村全体の年貢米が差し戻されることもありました。
その後、明治維新により年貢米ではなく金銭で税を納める制度が導入されました。これにより、米を管理することがなくなり、永蔵は一時的に獄舎として使われました。
●紙役所・炭役所
福岡藩では、年貢の増収が難しくなると、紙や石炭、蝋(ろう)などの特産品を藩の専売品として扱い、藩の財政を支えました。
紙役所は、紙の製造や販売を監督し、品質管理や価格の調整、流通ルートの統制などを行い、藩の収入源の一つとしての役割を果たしていました。
炭役所は、石炭の取引や流通・販売、品質管理を行うために作られた施設です。石炭は主に製塩の燃料として使われていましたが、加工して悪臭を抑えたものは「石炭(いしずみ)」と呼ばれ、家庭用の燃料としても売られていました。
【問い合わせ】
中央区企画振興課
電話 092-718-1013
FAX 092-714-2141
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