【発行号】令和7年10月1日号【掲載面】市政記事面【カテゴリー】お知らせ

第57回人権スケッチ
「ビジネスと人権」って企業だけのこと? ―― いえ、私たちにも関係があります

 「ビジネスと人権」という言葉をご存じですか。これは、企業には利益を追求するだけでなく、人権を尊重しながら活動する責任がある、という考え方です。2011年に国連が「ビジネスと人権に関する指導原則」を採択し、今ではこの考え方が世界中に広がっています。

 もともと人権を守るのは国や政府の役割とされていました。現代社会では、私たちの生活に与える企業活動の影響力が大きくなっています。例えば海外の工場での過酷な労働環境、あるいは国内でのハラスメントや長時間労働など、企業による人権問題が社会的にも注目されるようになりました。こうした背景から、「ビジネスと人権」という考え方が生まれたのです。

 この「ビジネスと人権」は、企業だけでなく、私たち市民の日常生活にも深く関係しています。例えば、最近注目されているフェアトレード商品は、生産者に正当な対価を支払うことで、途上国の人々の働き方や生活を守る仕組みの中で生まれたもので、コーヒー豆やカカオ豆などが代表的な商品として知られています。「ビジネスと人権」の考え方を具体化した取り組みであり、私たち市民にとっても、買い物を通じて遠く離れた誰かを守ることにつながります。

 私たちが普段利用している商品やサービスは、どのような環境で、どんな人たちが作ったのか――普段から意識を向けてみる、その小さな気付きと選択が、人権が尊重された社会を育む大きな一歩になります。

■問い合わせ先/市人権啓発センター 電話 092-717-1237 FAX 092-724-5162