【発行号】令和7年8月15日号【掲載面】市政記事面【カテゴリー】お知らせ

夏を乗り切るための睡眠習慣

夜、眠れていますか

 

毎日、厳しい暑さが続いています。夏の疲れをため込まないためには、良質な睡眠を取ることが大切です。睡眠について振り返り、夏を元気に乗り切りましょう。
 

睡眠には、体や脳を休めるだけでなく、傷ついた細胞を修復したり、記憶を定着させたりする働きがあります。私たちが意識していないだけで、眠っている間にも、明日に備えて体の手入れを行っています。

夏の睡眠不足は、熱中症や夏バテを招くこともあるため、注意が必要です。厚生労働省が発表した令和5年の「国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の1日の睡眠時間は約6~7時間が最も多く、30から50代の男性、40から60代の女性では、6時間未満の人が4割を超えました。また、「睡眠が十分取れていない」と回答した人は全体の約2割を占め、その数は年々増加しています。

市健康づくりサポートセンターで健康指導を行う保健師の池田千枝さんに、良い睡眠の取り方について聞きました。

「食事や運動も、睡眠 の質を決める大事な 要素」と話す池田さん
私たちは、忙しいとついつい睡眠がおろそかになりがちです。睡眠不足になると、日中に眠気や疲れが生じ、作業効率が低下します。睡眠不足が自律神経に影響を及ぼすと、食欲を刺激するホルモンの分泌が促され、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病につながることもあります。さらには認知症などの発症リスクが高まることも明らかになっています。

また、睡眠不足が続くと、体がその状態に慣れてしまい眠気を感じにくくなります。そのため、よく眠れていると思っていても、実は寝不足だったというケースもあります。この機会に自身の眠りを見直しましょう。

■成人は最低6時間の睡眠が必要
良い眠りのためには、睡眠の「量」と「質」を意識することが大切です。成人は、最低でも6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保しましょう。

良く眠れているかどうかは、日中の眠気や体調などから判断できます。個人差もあるため、日中すっきりと過ごせていれば、問題ありません。

厚生労働省のガイドラインによると、小学生は9~12時間、中学・高校生は8~10時間を目安に睡眠時間を確保することが推奨されています。夜更かしが習慣化すると、朝起きるのがつらくなり、睡眠不足の状態で学校に行くことになります。また、遅刻が増え、不登校の原因になることもあります。

なお、高齢者は、睡眠時間が長すぎると健康を害することが多くの調査で分かっています。寝床に入ってから起床するまでの時間が8時間以内になるよう心掛けましょう。

■規則正しくめりはりのある生活を
生活のリズムが一定に保たれていれば、夜に眠気が生じて、朝決まった時間に目が覚めます。

朝日を浴びると、脳が覚醒して、体内時計をリセットしてくれます。休日はいつもより遅く起きる人も多いと思いますが、なるべく同じ時刻に起きるようにしましょう。平日と休日の起床時刻が大きくずれると、体内リズムを狂わせてしまいます。

朝食も体内時計を整えるのに有効です。準備が大変な場合は、おにぎりやバナナ、ヨーグルト、カップスープなど、手軽な物で構いません。まずは、朝食を取る習慣を付けることが大切です。

日中によく動くと寝付きがよくなります。運動習慣のない人は、徒歩で行ける距離はなるべく歩くなど、無理なくできることから始めるといいですね。

夜は、睡眠に向かうための大事な時間です。エアコンなどで室温を調節し、室内の照明を暗くしたり、就寝の1~2時間前に入浴したりして環境を整え、入眠の準備をしましょう。昼夜めりはりのある生活が良い眠りを促します。

■入眠前のルーティンワークで自然な眠りに
スムーズに眠りにつくためのポイントは、脳を興奮させないことです。読書をする、ストレッチで体をほぐすなど、自分なりのリラックス法を見つけて習慣化すると、体が「眠る時間」を認識してくれます。

眠れない時は、無理に寝る必要はありません。一度寝床を離れ、照明は明るくせず、静かに過ごして眠気を感じてきたら、また寝床に戻りましょう。あまり難しく考えず、自分なりの睡眠の取り方を見つけてください。


市健康づくりサポートセンター
【場所】 中央区舞鶴二丁目(あいれふ4階)
電話 092-751-7778
FAX 092-751-2572
健康に関する講座や運動教室、よかドック・各種がん検診などを行っています。詳細は、ホームページ(「あいれふ」で検索)で確認を。
本紙8面に健(検)診情報を一部掲載しています。

あなたの睡眠をチェック
チェックが多い人ほど要注意。生活習慣を見直しましょう。
□朝、すっきり起きられない
□日中に眠気が生じる
□休日に寝だめをする
□夕方以降によくコーヒーなどのカフェインを取る
□喫煙や寝酒の習慣がある
□部屋の中が蒸し暑い
□就寝前にスマートフォンやパソコンを見る
□電気やテレビ、ラジオをつけたまま寝る
 

●短時間の昼寝で作業効率をアップ
正午から午後3時の間に15~30分程度の昼寝をすると、午後からの仕事や家事などの作業効率が上がります。昼寝の時間が長くなると深い眠りになり、夜の睡眠を妨げます。熟睡しないよう、椅子に座ったまま寝るか、机にうつ伏せになって寝るのがお勧めです。

●腹式呼吸でリラックス

腹式呼吸
寝付けない時には、腹式呼吸を試してみましょう。呼吸に意識を集中させることで、副交感神経を優位にし、リラックス効果が高まります。
【腹式呼吸の仕方】
▽鼻からゆっくり息を吸い込み、おなかを膨らませる
▽おなかをへこませながら、口からゆっくりと息を吐き出す
―この動作を繰り返す。

 

バランスの取れた食事を
食事と睡眠の関係について、管理栄養士で地域保健課の安元雅代係長に話を聞きました。
規則正しい生活を送るためには、3食欠かさず食べることが大切です。主食・主菜・副菜を基本に、さまざまな食品を用いてバランスの良い食事を取るよう心掛けましょう。

「栄養を取り、夏バテ を防ぎましょう」と話す 安元係長
また、遅い夕食は、眠りを妨げるだけでなく、朝の食欲不振にもつながり、体内リズムを乱してしまいます。仕事などで夕食の時間が遅くなる場合は、おにぎりなどの主食を夕方に、帰宅後におかずなどの主菜、副菜を軽く取ると、睡眠への影響が少ないといわれています。深酒や寝酒は、睡眠の質を悪化させる恐れがあります。アルコールは、適度な量で楽しみましょう。
 ▽ 主食=ごはん、パン、麺類などの炭水化物
 ▽ 主菜=肉、魚、卵、大豆製品などのタンパク質
 ▽ 副菜=野菜、キノコ、海藻、イモなどのビタミンや、ミネラル、食物繊維

使う食材にも工夫
暑さで体力が消耗して食欲がない時は、おかずを中心にいろいろな種類を少しずつ食べたり、1食を2回に分けたりして、必要な栄養素を補いましょう。
唐辛子やカレー粉などの香辛料や、大葉、ネギ、ショウガなどの香味野菜、レモンなどのかんきつ類や酢の酸味は、食欲を増進させます。また、納豆、オクラ、メカブ、長芋などのねばねば成分は、胃の粘膜を保護して、胃の負担を軽くしてくれます。
ねばねば食材と、タンパク質の取れるマグロや卵を、ごはんの上にのせた「ばくだん丼」は、1皿で主食・主菜、副菜がそろう料理です。冷たいうどんやそうめんにのせて具材と絡めながら食べるのもお勧めです。
■問い合わせ先/地域保健課
電話 092-711-4374
FAX 092-733-5535
 

夏に取りたい栄養素
▽ビタミンB1=不足すると疲れを感じやすくなる。ウナギ、豚肉、レバー、玄米、大豆製品など
▽カリウム=体内の水分量を調整し、余分な塩分を排出する。野菜、海藻、イモ類、大豆製品、果物など
▽ビタミンC=抗酸化作用を持つ。野菜、果物、イモ類、レバーなど
 

夏を乗り切る簡単レシピ
ねばねば食材たっぷり「ばくだん丼」

火を使わず簡単
【材料2人分】
ごはん300グラム、マグロ80グラム、納豆1パック(付属のたれも)、オクラ4本、長芋100グラム、キュウリ60グラム、ミニトマト2個、メカブ1パック、キムチ(またはたくあん)30グラム、大葉4枚、麺つゆ大さじ2、ごま油小さじ1、刻みのり少々、卵黄2個分、ごま小さじ3分の1、梅干し2個
【作り方】
<1>マグロは食べやすい大きさに切り、納豆はたれを混ぜておく。オクラをレンジで1分ほど加熱し、輪切りにする。長芋の皮をむき、すりおろすか、さいの目に切る。キュウリ、ミニトマト、メカブ、キムチは食べやすい大きさに切る。
<2>梅干しの種を取り、包丁でたたく。
<3>器にごはんを盛り、<1>と大葉、刻みのり、卵黄、ごま、梅干しをのせて、麺つゆとごま油をかけていただく。

中学生考案「鶏むね肉とオクラの梅おろしスープ」

のどごしが良く、梅の酸味と 黒こしょうの辛みがアクセント
昨年度に市が主催した学校給食コンテストで特別賞を受賞した、東光中学校2年平禰寧(たいらねね)さんのレシピです。
【材料2人分】
鶏むね肉100グラム、酒小さじ1、片栗粉大さじ1、オクラ4本、大根200グラム、梅干し2個、鶏がらスープ(顆粒)小さじ1月2日、塩小さじ1月4日、黒こしょう少々
【作り方】
<1>鶏むね肉を薄くそぎ切りにし、酒と片栗粉を加えてもみ込む。オクラを輪切りにする。大根はすりおろし、梅干しの種を取り包丁でたたく。
<2>鍋に鶏がらスープと塩、黒こしょう、水400ミリリットルを入れて煮立たせ、鶏肉を入れて中火で煮る。
<3>鶏肉に火が通ったら、オクラ、大根おろし、梅干しを入れて煮る。

公式インスタグラム「いくちゃんねる福岡市」に、「夏を乗り切る」をテーマにした料理を掲載しています。ご活用ください。
 

就寝前のストレッチでリラックス
ストレッチは、筋肉の緊張を和らげ、リラックスや血行促進、ストレス解消に効果的です。無理せず心地よい程度に行うのがポイントです。ホームページ(「福岡市健康づくりサポートセンター 基本のストレッチ」で検索)で紹介しています。
健康運動指導士・西内久人さんのお薦め
※ ストレッチは安定した椅子で行いましょう。

健康運動指導士・西内久人

伸ばしている筋肉を意識しながら自然な呼吸で20秒以上かけて行いましょう。

胸を前に出し、肩 甲骨を背骨に寄せ る。後ろに組んだ 手を体から離すよ うに上げる
胸を前に出し、肩甲骨を背骨に寄せる。後ろに組んだ手を体から離すように上げる

手を組んで前に 出す。おへそを 見るように、頭を 下げながら手を 前に伸ばす
手を組んで前に出す。おへそを見るように、頭を下げながら手を前に伸ばす

椅子に横向きで浅く座り、片方の足首を持って息を吐きながら、斜め上に引き上げる
椅子に横向きで浅く座り、片方の足首を持って息を吐きながら、斜め上に引き上げる

つま先が外側や内側に向かないよう、脚を後ろに伸ばす。両足のかかとを地面に着けて体を前に倒す
つま先が外側や内側に向かないよう、脚を後ろに伸ばす。両足のかかとを地面に着けて体を前に倒す

お尻を座面にしっかり着け、両脚を横に軽く広げ、片膝を斜め前方に伸ばす。つま先を上に向け、息を吐きながら上半身を少しずつ前に倒す
お尻を座面にしっかり着け、両脚を横に軽く広げ、片膝を斜め前方に伸ばす。つま先を上に向け、息を吐きながら上半身を少しずつ前に倒す
 

タオルストレッチもお薦め
タオルを使うと体のバランスが取りやすく、効率良く筋肉を伸ばせます。

肩幅程度にタオルを握り、両手をゆっくり上に 上げる。そのまま両手を肩まで下げる
肩幅程度にタオルを握り、両手をゆっくり上に上げる。そのまま両手を肩まで下げる

タオルを握ったまま、両手を上げてゆっくりと体を右に傾ける。姿勢を元に戻し、同じように体をゆっくりと左に傾ける
タオルを握ったまま、両手を上げてゆっくりと体を右に傾ける。姿勢を元に戻し、同じように体をゆっくりと左に傾ける