昼間は何もない歩道にどこからともなく現れて、まちの風景に溶け込む屋台は、市ならではの魅力の一つです。多くの人に親しまれている、福岡の屋台の「今」を紹介します。
市内には現在101軒の屋台があり、全国の屋台の約9割が福岡市に集中しています。まちの魅力にもなっている、この「屋台のある風景」を未来に残すため、市は平成25(2013)年に全国で初めて屋台基本条例を制定し、同28年には新たな屋台営業者を募集する「屋台公募」をスタートさせました。
4回の公募で選ばれた屋台39軒が現在営業しています。ラーメン、おでん、焼き鳥などの定番メニューの屋台はもちろん、フレンチや多国籍料理、カフェなど、これまでの屋台にはなかったような新しい形態の店舗が次々に登場し、家族で楽しめる屋台も増えました。
□経済波及効果が100億円を突破
昨年11月に市が行った調査で、屋台の年間利用者は119万700人、売上高は前回(平成23年)の調査から約6億円増の22.9億円と推計されました。
屋台客約300人を対象に行った調査では、出張や観光の「ついで」ではなく「屋台が目的」で福岡市を訪れた人の割合が、前回調査時の約2倍の11.4%でした。屋台利用者が移動や宿泊、買い物などを行うことによって、福岡市にもたらした経済波及効果は104.9億円と推計され、前回調査時の約2倍になりました。
□魅力ある屋台へ
令和5年度の市政アンケートおよび屋台に関する観光客へのアンケートで、屋台のイメージを「良い」「どちらかといえば良い」と回答した人は、市民が74.0%、観光客が93.0%で、いずれも過去最高を記録しました。
また、屋台の良い点として「福岡(博多)らしさ」「観光に貢献」「屋台のある景観」などが挙がりました。市民の皆さんも観光客も、屋台を「まちの魅力」として捉える人が増えています。
市内で営業中の屋台には、上下水道や電気設備等が整備され、皿やグラスなどを流水で洗える環境が整っています。また、汚水に含まれる油脂類は、分離させて排水しています。「提供直前に十分加熱する」といったルールも徹底され、食品衛生上も細心の注意が払われています。
■「ウルトラC」店主の日笠和(たかし)さん(31)の話
以前は東京で飲食の仕事をしていました。地元福岡で店を持ちたいと思っていたので、公募の話を聞き、迷わず応募しました。上下水道の整備など、市の支援で安心して営業できます。
屋台では珍しい串揚げなど、揚げ物を中心に提供しています。常連の地元の人はもちろん、周辺にはホテルも多く、観光客もたくさん来られます。お客さん同士が仲良くなれるのも屋台の魅力。私も全力でもてなしますので、ぜひお越しください。
電話やインスタグラムなどで予約ができる屋台も増えています。屋台情報は、よかなび屋台ホームページ(「よかなび屋台」で検索)でご確認ください。
市は、これからも屋台が福岡のまちと共存し、未来へと続いていくよう取り組んでいきます。ぜひお気に入りの一軒を見つけて、屋台で楽しい時間をお過ごしください。
■問い合わせ先/まつり振興課
電話 092-733-5933
FAX 092-733-5901
「長浜屋台街」復活から1年
昨年6月5日、長浜地区に新たな屋台が開業し、「長浜屋台街」が復活しました。
長浜ラーメン発祥の地として知られる長浜地区には、平成12(2000)年時点で15軒の屋台が並んでいましたが、令和3年にはわずか2軒に減ってしまいました。
「かつての長浜屋台のにぎわいを取り戻したい」と、令和4年、4回目の屋台公募に7人の意欲あふれる営業者が名乗りを上げました。7人の平均年齢は38歳。長浜ラーメンだけでなく、中華や、めんたいこ料理専門店など個性的な屋台がそろいました。
■「屋台のたまちゃん」店主の鳥巣(とす)大介さん(45)の話
16年前から長浜で焼き肉店を営み、このまちをずっと見てきました。ここには、やはり屋台が必要だと思います。おいしい料理と楽しい会話でお迎えします。長浜にたくさんの人が来てくれるよう、地域を盛り上げていきます。
新規屋台営業者を募集します
市は、天神東地区2区画、渡辺通地区3区画、長浜地区1区画の計6区画で、来年4月からの屋台営業者を募集しています。 ※筆記試験、書類審査、面接あり。
募集要項は、まつり振興課(市役所14階)、情報プラザ(同1階)、各区役所情報コーナー等で配布する他、市ホームページ(「福岡市 屋台公募」で検索)でもダウンロード可能です。7月26日(必着)までにご応募ください。
●募集説明会を実施
6月23日(日曜日)午後0時30分から、フクオカグロースネクスト(中央区大名二丁目)で募集説明会を実施します。併せて、前回の公募で選出された2人の店主・鳥巣氏(屋台のたまちゃん)、日笠氏(ウルトラC)を招いて、「スタートアップとしての屋台」をテーマにトークセッションを行います。問い合わせは、まつり振興課へ。