【西区】次世代へ伝えたい伝統工芸品 「今宿人形」

 今宿の地で発祥し、100年以上の歴史を持つ「今宿人形」。庚申祭(こうしんさい)の日に早良区の猿田彦神社で授与されることで有名な「猿面」もそのひとつです。職人が心を込めて丁寧な手仕事で生み出す伝統工芸品を紹介します。

■暮らしに密着した民俗人形
 今宿人形は博多人形の母体ともいわれる民俗土人形です。今津湾に面し、江戸時代に唐津街道の宿場町として栄えた今宿では、良質な粘土が採れたことから土人形が作られていました。明治38年に大橋清助が、この地に節句人形「人清(にんせい)」を開いたのが今宿人形の始まりです。
鮮やかな色彩と味わい深い造形が特徴の今宿人形の写真
 「猿面」は、「災いがサル(去る)」と玄関先に掛ける家も多く、昔から福岡の人々に親しまれています。招き猫や今宿めんこ等人々の暮らしに結びついた作品が多いのも特徴です。
猿面の写真
■守り続ける伝統
 現在は、3代目で博多人形師の絵付け技術を持つ佐藤由美子さんが伝統を継承しています。今宿で粘土の採掘が困難なため、現在は、良質の粘土が採れる城南区七隈に移り住み、一家で制作しています。
佐藤由美子さんの写真
 人形は代々受け継いできた鋳込み型に粘土を手押しして、型を作り、乾燥させた後、900度で素焼きしたものに絵付けして完成させます。
鋳込み型の写真
 素朴で温もりが感じられる今宿人形は、福岡県知事指定特産工芸品・民芸品にも指定されています。

■次世代へつなぐ
 由美子さんは、「100年以上続く伝統を伝えていくためには、受け継いだ技術に磨きをかけ、試行錯誤を繰り返しながら、時代に合わせた作品を生み出すことも必要です。人形の存在を多くの人に知ってもらえるよう、展示会や今宿公民館で絵付け教室も開催しています」と話します。
 「猿面」の絵付けを手伝う息子の圭比古(よしひこ)さんは、昔ながらの技術に現代的な感覚を取り入れ、斬新なデザインで人形ファンを喜ばせています。
現代風にアレンジされた「猿面」の写真
 今宿人形についての詳細はホームページ(「今宿人形 佐藤家」で検索)で確認を。

【問い合わせ】
西区企画振興課 
電話 092-895-7007 
FAX 092-885-0467










 








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