福岡アジア美術館 Fukuoka Asian Art Museum

電話 092-263-1100 
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【連載】アジアのトップアーティストたち
 「福岡アジア美術館ベストコレクション展」(4月まで開催)に展示されるアーティスト10人の作品を紹介します。

第7回 イー・ブル
 作者は、1964年生まれの韓国出身のアーティストです。1980年代後半から、漫画やアニメ、SF映画から影響を受けたパフォーマンスや彫刻で注目を集め、国際的に評価されています。
 写真の作品は、生物と機械が融合した「サイボーグ」から発想を得て造られました。昆虫のような羽、ひょろひょろと頼りなく伸びた触手、ロボットのような関節が組み合わされた彫刻は、韓国の白磁のように真っ白くコーティングされ、静かに展示室につり下げられています。
 長い眠りから目覚めるような姿は、地球上のあらゆる生物を超越する新たな生命の誕生を予感させます。一方で、誰かにつられることでしか自立できない、不安定な弱さも感じるでしょう。
 作者が活動を始めた頃の韓国は、民主化とソウルオリンピックの熱気に沸いていました。しかし新しい社会が始まる興奮の裏で、女性たちは相変わらず「女性らしさ」を強く求められ、その怒りが作者を「強さと弱さが共存するような異形の肉体」をテーマにした作品制作に突き動かしました。(学芸員 趙純恵)

作品の写真

■「世界遺産大シルクロード展」を開催
 1月2日(火曜日)から3月24日(日曜日)、日中平和友好条約45周年を記念した「世界遺産大シルクロード展」を同館で開催します。
 東洋と西洋を結ぶシルクロードは、古代から交易路として栄え、多彩な文化が花開いてきました。本展は、シルクロードが世界遺産に登録されて以来、初めて中国国外で行われる大規模な展覧会です。東西文明が融合して生まれた絵画や、金銀細工の宝飾品、インドから伝わった仏教文化の至宝などを紹介します。詳細は、ホームページ(「福岡アジア美術館 大シルクロード展」で検索)で確認を。

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