福岡アジア美術館Fukuoka Asian Art Museum

電話 092-263-1100

 FAX 092-263-1105

【連載】アジアのトップアーティストたち
 
「福岡アジア美術館ベストコレクション展」(来年4月まで開催)に展示されるアーティスト10人の作品を紹介します。

第6回 ツァイ・グオチャン
 ツァイ・グオチャン(蔡國強)≪私はE.T.天神と会うためのプロジェクト:外星人のためのプロジェクト No.4≫1990年 火薬、墨、和紙、画布
黒い染みのような模様は、一見抽象的な水墨画のようですが、実はこれ、火薬を爆発させて描いたものです。
 作者は、中国由来の火薬を爆発させる大規模なプロジェクトやパフォーマンスで注目され、現在はニューヨークを拠点に世界中の展覧会に出品しています。最近では国立新美術館(東京)で大規模な個展が開催されました。斬新なアイデアで、東洋と西洋の垣根を超えた地球規模のメッセージを発信し続けています。
 彼は駆け出しの頃、日本で活動しており、福岡市とも縁があります。粕屋郡篠栗町の畑で発見された「ミステリーサークル」に想を得て、平成2(1990)年に中央区天神近くの空き地に火薬を円形に配し爆発させました。「爆発の瞬間に人類がE.T.(地球外生物)と交感する一瞬を創造する」という趣旨で、この時のパフォーマンスをカンバスに表現したのが本作品です。
 宇宙から見れば、われわれ人類もまた外星人(宇宙人)に違いありません。パフォーマンスは、こうした交信の可能性と、宇宙の中の人類という世界観を提示したのです。
 (学芸員 山口洋三)



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