郷土色豊かな伝統的工芸品の博多人形・博多織の制作や、人から人へと大切に伝えられた伝統芸能に区内で取り組む人々を紹介します。
【博多人形】
江戸時代の1600年ごろ、黒田長政は福岡城を築くために多くの職人を集めました。その職人が作った素焼きの人形が、博多人形の原型だと伝えられています。
博多人形には、和服姿が麗しい美人物、愛らしい表情の童(わらべ)物、力強さのある武者(むしゃ)物など、さまざまな種類があります。
博多祇園山笠では、博多人形師によって山笠の人形が制作され、その勇壮さや優美さで多くの人を魅了しています。
【白金の工房で生まれる表情豊かな博多人形】
伝統工芸士の川﨑修一さん(73歳)は、昭和47年(1972年)から50年間、博多人形を作り続けています。平成7年(1995年)からは、博多祇園山笠の千代流などの人形も制作しています。
<粘土で徳川家康の人形を成形する川﨑さん>
川﨑さんは、「博多人形は、豊かな表情や繊細な彫り込みなどに、作家の個性が表れます」と語っていました。
今年は新たに、博多人形の技法を用いて、宇賀神社(大宮二丁目)の絵馬を造形・彩色し、地域の人々に博多人形の魅力を伝えています。
<馬人形をあしらった絵馬、「落ちない馬」として受験生に好評>
【博多織】
鎌倉時代の1241年、宋に渡った博多商人と僧が織物の技法を習得し、代々伝えたのが博多織の始まりだといわれています。
江戸時代には、黒田長政が博多織の反物と帯を幕府へ献上したことから、博多織を代表する柄は「献上博多織」と呼ばれるようになりました。
美しい博多織の柄は、縦糸と横糸の緻密な設計の下、作られています。
【大宮の工房で作られる手織りの博多織】
伝統工芸士の荒木希代さん(50歳)は、博多織のデザインや絹糸の染色、織り作業などの工程全てを一人で行っています。荒木さんは海外に行った際、日本の工芸品の良さを改めて感じたことから、博多織を守り、広く伝えようと、帯や着物を制作しています。
<織り機で作業を行う荒木さん>
平成26年度全国伝統的工芸品公募展に、約80時間かけて制作した長さ13メートルの反物を出展し、内閣総理大臣賞を受賞しました。
<荒木さんの作品「石畳道」>
荒木さんは、「絹糸の染色は、松や栗などを原料とした植物染料だけでなく、化学染料も使って、美しい色を作っています。織る際は、糸の打ち込みを確認しながら、落ち着いて慎重に取り組んでいます」と話していました。
【問い合わせ】
市地域産業支援課
電話 092-441-3303
FAX 092-441-3211
【伝統芸能「狂言」を学ぶ子どもたち 草ヶ江公民館】
狂言は、室町時代から約650年続く日本を代表する伝統芸能で、庶民の生活を明るく描いたせりふが中心の喜劇です。
草ヶ江公民館のサークル「福岡大蔵(おおくら)会こども狂言 たんぽぽ」は、平成30年(2018年)に発足しました。狂言師の指導の下、子どもたちが月に2、3回練習しています。サークル名は、狂言の衣装である装束に「たんぽぽ」の模様が描かれていることから名付けられました。
<能舞台で演日「いろは」を発表しています>
練習中の小学生は、「装束を着て演じる発表会が楽しみです」と目を輝かせて話していました。
【問い合わせ】
草ヶ江公民館
電話 092-741-7998
FAX 092-741-5812