福岡100これからをよりよく生きるために終活を始めよう

 人生100年時代といわれる今、長い人生をどのように生きるか考えることが求められています。市は、市民の皆さんが最期まで自分らしく生きていけるよう、それぞれの終活を応援します。
 終活を始める際に、どのようなことを心掛ければよいのでしょうか。終活セミナーで講師を務める「ウェルネスサポートLab(ラボ)」の吉武ゆかりさん(61)に話を聞きました。
 吉武ゆかりさん
●自分にとって大切なモノ・コト
 
終活には、相続や遺言書の作成など、人生の最終段階に向けての「備え」というイメージを持つ人が多いかもしれません。もちろん備えは必要ですが、もっと大事なのは、自分がこれからの人生をどう生きたいと思っているのか、その思いを家族や周囲の人にどれだけ伝えられるかだと思います。
 自分にとって大切なものは何かが分かっていないと、思いを伝えることはできません。その基準になるのが価値観です。
 
●何度でも、いつからでも
 
人の気持ちは変わります。今日大切に思っていることが、明日もそうだとは限りません。そのため、終活は何度も見直す必要があります。
 これまで私は、たくさんの終活相談を受けてきました。100人いれば100通りの終活があり、開始時期に早いも遅いもありません。自分にとって大切なものを日々の暮らしの中で見つけてほしいと思います。そしてその思いを、折りに触れて周囲の人に伝えてください。
 
●命に関することは最優先で
 
病気や事故で突然、意思表示ができなくなるかもしれません。命に関することは、元気なうちに話しておきましょう。どのような医療やケアを望むのかが共有できていれば、家族が医師から治療方針などの決断を迫られたとき、判断基準にもなります。
 死について語ることを嫌う人もいますが、自分の望む最期について伝えておくことは、縁起の悪いことでも、悲しいことでもありません。よりよく生きるために、自分なりの終活に取り組んでみてください。これからの人生を楽しみましょう。

吉武さんお勧め「玉手箱方式」
 玉手箱方式のイメージ図
<1>思いつくまま、大切なことや好きなものをメモ紙に書く(写真でもよい)。裏に大切な理由や好きな理由を書いて箱に入れる。
<2>年に1度(誕生日など)、メモの内容をチェックする。思いに変化があれば、紙を入れ替える。
<3>メモの内容に変化がなくなってきたら、それを基にこれからどう生きたいかや、家族に伝えたいことをエンディングノート等に記していく。
※思い出などがよみがえり、それが大切なものであることに気付きます。また、箱の存在を周囲の人にも伝えておきましょう。

相談は終活サポートセンターへ
 
終活サポートセンターでは、相続、葬儀、医療同意など、終活に関するさまざまな相談に対応するほか、情報提供なども行っています。さらに必要に応じて専門機関につなげます。
 
●専門家による無料相談
 
第1、3、5水曜日は終活アドバイザーが、第2、4水曜日は弁護士が面談で相談に応じます。時間は午後1時から4時(定員3人、1人1時間)。予約制です。
 
●終活出前講座
 出前講座の様子
ふれあいサロンや地域カフェなどに職員が出向き、出前講座を行います。
 6月に田隈校区(早良区)のふれあいサロンで行われた出前講座に参加した佐藤道子さん(82)は、「実際に終活を行った人の事例や、葬儀に関する最近の傾向などを聞き、参考になりました。今を大切に生きようと思いました。いつまでも健康でいたいし、友人とも旅行をしたいです」と話しています。
 
●死後事務委任事業
 
身寄りがない人など、自身の葬儀等の死後事務に不安を抱える人を支援しています。
 毎月定額の利用料を支払って死後事務を委任する「やすらかパック事業」と、預託金の中から死後事務を行う「ずーっとあんしん安らか事業」があります。
 
■問い合わせ先/終活サポートセンター(中央区荒戸三丁目 ふくふくプラザ4階 市社会福祉協議会内)

電話 092-720-5356(平日午前9時から午後5時)

FAX 092-751-1509

終活豆知識
 
遺言書には、「自筆証書遺言」と、公証人が作成し、公証役場で保管しておく「公正証書遺言」があります。
 自筆証書遺言は、遺言者自身が手書きで作成できるメリットもありますが、紛失してしまったり、改ざんされたりする恐れもあります。防止策として、法務局に保管してもらう制度もあります。

オンラインによる終活応援セミナーを実施「エンディングノートの使い方」
 吉田時成所長
「これからの人生をより良く生きるために」をテーマに、終活サポートセンターの吉田時成所長(40)が、医療・財産・葬儀などに触れながら、エンディングノートの使い方を説明します(約40分)。
 来年3月31日(金)まで、市ホームページ(「福岡市 終活応援セミナー」で検索)で配信しています。手元に市が配布する「マイエンディングノート」があると、一層理解が深まります。

●エンディングノートとは…
 エンディングノートの表紙
自分の望む人生を送るために、必要なことや考えをまとめるためのノートです。
 自分や家族のこと、財産やもしものときのことなど、テーマ別に書き進めるうちに思いを整理できます。
 市は、情報プラザ(市役所1階)、各区役所情報コーナー、入部・西部出張所で「マイエンディングノート」を配布しています。また、市ホームページ(「福岡市 マイエンディングノート」で検索)からもダウンロードできます。ぜひご活用ください。
 
■問い合わせ先/地域包括ケア推進課 

電話 092-711-4373 

FAX 092-733-5587

判断能力がなくなったときのために権利や財産を守る「成年後見制度」
 
成年後見制度とは、認知症や知的障がい、精神障がいなどで判断能力が十分でない人を法律的に支える制度です。後見人が財産の管理や、生活に必要な契約・手続きを行います。
 判断能力があるうちに、本人が将来に備えてあらかじめ後見人を選んでおく「任意後見」と、判断能力が不十分になってから後見人を決める「法定後見」の二つがあります。
 任意後見は、誰にどんなことを頼むのかを決めて、本人が後見人と公正証書で契約を交わします。法定後見では、親族等の申し立てにより、家庭裁判所が適切と判断した親族や、専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士等)が後見人に選ばれます。
 
●相談会を開催
 
市成年後見推進センター(中央区荒戸三丁目 ふくふくプラザ3階)で、成年後見制度の利用に関する相談などを受け付けています。▽物忘れがひどく、銀行での手続きができなくなった▽身寄りがなく、認知症になったときに支えてくれる人がいない─などの相談に応じます。
 毎月第2火曜日および8月、11月、2月の第4火曜日午後1時から4時には、弁護士や司法書士、社会福祉士のいずれかが面談で応じます(1人45分。要予約)。電話かホームページ(「福岡市成年後見推進センター」で検索)の専用フォームで申し込みを。先着順に受け付けます。
 
■問い合わせ先/市成年後見推進センター 電話 092-753-6450(火から土曜日午前9時から午後5時 ※祝休日を除く) FAX 092-734-2010

後見人に支払う報酬の助成対象者を拡大します
 
市は、資産が生活保護水準を下回り、後見人への報酬の支払いが困難な被後見人に、その費用の一部または全額を助成しています(後見人が弁護士や司法書士、社会福祉士等の専門職の場合に限る)。
 これまでは、身寄りがない、身内から虐待を受けている等の理由で、市長が申し立てを行った場合のみが対象でしたが、対象拡大により本人、配偶者、4親等以内の親族が申し立てを行った場合にも適用されます。
 詳細は、市ホームページ(「福岡市 成年後見報酬助成」で検索)でご確認ください。
 
■問い合わせ先/地域包括ケア推進課 

電話 092-711-4373 

FAX 092-733-5587





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