災害時に命の危険から身を守るためには、日頃からの備えが大切です。市は、災害時の避難行動をまとめる「マイ・タイムライン」の作成を推奨しています。ぜひお役立てください。
地域防災課の矢野貴広係長(50)に聞きました。
皆さんは、災害発生時に自身が取るべき行動についてイメージできていますか。大雨による災害の恐れがあり、避難情報が発令されると、備蓄や非常持ち出し品など万全の準備をしていても、すぐに行動するのは難しいのではないでしょうか。そこで役立ててほしいのが、「マイ・タイムライン」です。
●ハザードマップで自宅の災害リスクをチェック
マイ・タイムラインとは、災害時に「いつ」「誰が」「何をするか」を時系列で整理するためのものです。
まずハザードマップで自宅周辺に浸水や土砂災害などの危険はないか、そしてどこに逃げればよいかを調べましょう。作成の過程で、災害について知り、気付き、考えることが、備えになり、いざというときに慌てずに行動できます。
●早め早めの行動を
避難のタイミングは、「警戒レベル」を参考にしてください。身の危険を感じた場合は、より早めの行動が必要になります。
災害時に最新の情報が得られるよう、事前に情報の入手方法を確認しておくことも大切です。気象情報や避難情報は、リモコンの「dボタン」を押すと、テレビのデータ放送で確認することができます。
マイ・タイムラインを、別々に暮らす家族と共有しておくことも大切です。近くにいれば、一緒に避難することができます。離れて暮らす家族には避難を呼び掛けてあげましょう。
避難とは、「難」を「避ける」ことをいいます。マンションの上階など、自宅の安全が確保できていれば、無理して避難所などに行く必要はありません。電気やガスなどライフラインの停止に備え、自宅に水や食料、カセットコンロなどを備蓄しておくと安心です。
●災害を「自分ごと」として
市は、災害対策本部室の整備や、公民館等の災害時の電力確保に取り組むなど、大規模災害への備えを進めています。
災害は、いつどこで起こるか分かりません。自分や家族の命を守るためには、皆さん自身の備えが大切です。マイ・タイムラインの作成を通して、災害を他人ごとではなく、自分のこととして考えるきっかけにしてほしいと思います。
■問い合わせ先/地域防災課
電話 092-711-4156
FAX 092-733-5861
災害への備えは知ることから
防災に関する情報を正しく理解し、避難行動につなげましょう。
●ハザードマップで災害の危険性を確認
▽洪水▽土砂災害▽高潮▽博多駅周辺地区の内水▽地震による揺れやすさ▽津波―の災害リスクや避難場所などの情報を一つにまとめた「総合ハザードマップ」を、市ホームページ(「福岡市総合ハザードマップ」で検索)に掲載しています。災害種別を選ぶと、自宅周辺など確認したい地点の災害リスクが地図上にまとめて表示されます。
また、区ごとに作成した紙版のハザードマップ(洪水、高潮、博多駅周辺地区の内水、地震による揺れやすさ)は、情報プラザ(市役所1階)、各区役所情報コーナー、各区総務課、入部・西部出張所で配布しています。
●警戒レベルで、いつ逃げるかを確認
災害に対する警戒レベルは5段階で示されます。高齢者や障がい者など避難に時間がかかる場合は、レベル3で避難を開始してください。それ以外の人もレベル4までに避難を完了させましょう。
警戒レベル 避難情報等
5 災害発生または切迫 緊急安全確保
〈警戒レベル4までに必ず避難!〉
4 災害の恐れが高い 避難指示
3 災害の恐れあり 高齢者等避難
2 気象状況悪化 大雨・洪水・高潮注意報
1 気象状況悪化の恐れ 早期注意情報
マイ・タイムラインを作ろう家族で共通認識を
市職員の林博文(45)です。マイ・タイムラインを家族で作ってみました。
わが家はマンションの1階にあり、近くには川が流れています。ハザードマップで調べると、2~3メートルの浸水が想定されていました。「水が天井まで届くかもしれないよ」と子どもたちに話すと、とても驚いていました。
災害が起きそうなときは、市内の実家に早めに車で避難すること、避難が難しい場合は、上階に住む友人宅に逃げることをみんなで決めました。
また、避難先に持って行く物のリストには息子の希望でカードゲームを加えました。気がめいりがちな避難生活に何か楽しみが欲しいと、子どもなりに考えたようです。
家族が別々の場所で災害に遭うことも考えられます。日頃から家族のスケジュールを把握しておくことも必要だと感じ、毎朝、みんなで一日の行動予定を確かめ合うようになりました。
マイ・タイムラインの作成を通して、家族みんなに災害への心構えができてよかったと思います。
作成の手順
<1>住んでいる地域に起こり得る災害をハザードマップで確認する
<2>家族構成や災害リスクの状況を踏まえ、避難先や避難経路を決める
<3>どのタイミングで避難するかを決める
<4>テレビやラジオ、インターネットなど、情報収集の手段を確認する
<5>非常持ち出し品のチェックや在宅避難に備えて備蓄を行う
マイ・タイムラインの作成シートは、市ホームページ(「福岡市 マイ・タイムライン」で検索)からダウンロードできるほか、情報プラザ(市役所1階)や地域防災課(同15階)、各区役所情報コーナー、各区総務課、入部・西部出張所で配布しています。
災害時に必要な物をそろえよう
電気やガスなどライフラインが停止すると、復旧までに時間がかかる場合があります。日頃から準備しておきましょう。
■ 備蓄
災害時に必要な物は、「ローリングストック」で備蓄しましょう。
ローリングストックとは、食料や生活必需品を普段からやや多めに購入しておき、賞味(使用)期限が早いものから順に使用し、その分を随時買い足していく備蓄法です。
●備蓄の目安は、人数×3日~1週間分
水は、飲料用と調理用で1人当たり1日3リットルが必要といわれています。
常温保存ができる食品を必要な分だけ、備蓄しておきましょう。カセットコンロやガスボンベなどがあれば、温かい食事を取ることもできます。下のイラストを参考に、家族の人数や好みに応じて、主食・主菜・副菜をそろえておくと安心です。
■ 非常持ち出し品
災害の状況次第では、自宅以外で避難生活を送ることも考えられます。
常備薬や粉ミルク、紙おむつなど、それぞれの家庭で必要な物を、最低でも3日分はそろえておきましょう。感染症対策のためのマスクや消毒液、体温計も必要です。持ち出し品を厳選し、リュックにまとめてすぐに持ち出せる場所に置いておきましょう。
■問い合わせ先/地域防災課
電話 092-711-4156
FAX 092-733-5861
最新の防災情報を入手しよう
迅速な避難行動のためには、最新の気象情報や避難情報などの入手が不可欠です。
●テレビのデータ放送
テレビのリモコンの「dボタン」を押すと、気象情報や防災情報が表示されます。災害時には、市が発令する避難情報(高齢者等避難や避難指示など)、避難所の開設状況等を見ることができます。
●市防災メール
気象情報や注意報、避難指示などの防災情報を携帯電話やスマートフォンにメールでお知らせします。 メール t-fukuoka-city@sg-p.jpへ空メールを送信し、登録してください。
●市LINE(ライン)公式アカウント
受信情報で防災・気象情報を事前に設定しておくと、住んでいる地域の情報を即座に受け取れます。また、平常時から、近くの避難所の情報や災害時に取るべき行動を確認できます。
●防災アプリ
「ツナガル+(プラス)」
平常時は、地域やグループの電子掲示板として情報発信・情報交換などに利用できます。災害が起きると「災害時モード」に切り替わり、近くの避難所が地図上に表示されます。
また、避難所内のコミュニティに参加すると、市からの物資支援の情報なども入手できます。
登録方法など詳細は、市ホームページ(「福岡市 防災登録」で検索)でご確認ください。
■問い合わせ先/防災推進課
電話 092-711-4153
FAX 092-733-5861
避難情報の入手が難しい人は…
市は、次の<1><2>のいずれかに該当し、避難情報の配信を希望する人に、電話やファクスで避難情報をお知らせしています。
<1>視覚や聴覚に障がいがある<2>75歳以上で▽携帯電話を持っていない、または操作が苦手▽1人暮らしである、または同居している人などから避難情報の提供を受けられない
情報を受け取るには登録が必要です。申込用紙は、地域防災課(市役所15階)や、各区役所情報コーナー、各区総務課で配布しています。申込用紙の送付を希望する場合は、地域防災課(電話 092-711-4156 FAX 092-733-5861)へ連絡を。
災害時には備蓄品で調理を
高気密性のポリエチレン袋に食材を入れて湯せんするだけの「パッククッキング」は、災害時にお勧めの調理法です。
市民防災センターは、昨年募集したパッククッキングの防災レシピ37点を市ホームページ(「福岡市 防災レシピ」で検索)に掲載しています。
●今年も防災レシピコンテストを開催
市内に在住または通勤・通学する人を対象に、パッククッキングを活用した防災レシピを募集します。
使う食材は、常温で3カ月以上保存が可能なものに限ります。主食、おかず、デザートなどジャンルは問いません。入賞者には非常用備蓄品を進呈します。
消防局ホームページ(「福岡市 消防」で検索)で詳細を確認の上、6月1日から8月15日にメールで応募してください。問い合わせは下記市民防災センターへ。
サバ味噌と梅のホクホクご飯
【材料】
米(2合)、サバみそ煮缶(190g)、水(260ml)、しょうゆ(小さじ2)、みりん(大さじ2)、梅干し(2から3個)、白ごま(適量)
【作り方】
<1>ポリ袋に白ごま以外の材料を入れて15分間置いた後、袋の上から手でサバをほぐす
<2>沸騰したお湯の中に<1>を入れて30分間湯せんする
<3>お湯から取り出して10分間蒸らした後、白ごまをふりかける
来て!見て!体験!消防たい(隊)
【日時】 6月12日(日曜日)午前10時から午後0時半
【場所】 早良消防署、市民防災センター(早良区百道浜一丁目)
水害についてパネル展示で学べるほか、はしご車の試乗(抽選)もできます。天候や災害の発生状況により、入場制限やイベント縮小の場合もあり。実施の可否や詳細は、6月8日(水)以降に随時消防局ホームページ(「福岡市 消防」で検索)に掲載します。
■問い合わせ先/市民防災センター
電話 092-847-5990
FAX 092-847-5970