第9回「桧原桜賞」入賞作品決定
短歌を通じて思いをつなぐ

「桧原桜」のエピソード 
昭和59年3月、道路拡張工事のために伐採される予定だった桜に一人の住民が

花あわれ せめてはあと二旬  ついの開花を ゆるし給え

と桜への思いを短歌に託して掲げました。すると、花を惜しむ短歌が次々と桜に吊り下げられ、その中には

桜花(はな)惜しむ 大和心の うるわしや とわに匂わん 花の心は

と進藤市長(当時)の返歌がありました。地域住民の思いは届き、工事計画が変更されて桜は伐採を免れました。
 
短歌によって住民と行政が心を通わせたこの物語を後世に語り継ぐため、平成21年に伐採を免れた桜の周辺が桧原桜公園(桧原一丁目)として整備され、また、「さくら」をテーマに心と心の触れ合いや自然保護の思いを詠んだ短歌を表彰する「桧原桜賞」が創設されました。
 
今回は国内外から4373首の応募があり、4部門・24首が入賞作品に選ばれました。その一部を紹介します(下記、敬称略)。
 
一般部門の市長賞を受賞した石井大成(だいな)さん(23)は「短歌は人生と密接に結びついていて、短い言葉でその時々の自分を表現することができます。継続が大事だと思うので、これからも詠み続けたいです」と話しました。
 
小学生部門の市長賞を受賞した松隈晃一さん(12)は「桜が僕たちのことを見守っているように感じて詠みました。いろいろな言い回しを考えて短歌にまとめました」と笑顔で話しました。
 
選考委員長の桜川冴子さんは「応募作品から、桜を背景にしたさまざまな人間像が感じられ、人生のドラマを見る思いがしました。桜の短歌は『自分のこころの定点観測』になります。毎年詠むことで成長や変化、深化を感じてほしいです」と語りました。
 
その他の入賞作品は区ホームページ(「桧原桜賞 選考結果」で検索)に掲載しています。
 
【問い合わせ先】
 桧原桜賞実行委員会事務局(区企画振興課内)
 電話 092-559-5064
 FAX 092-562-3824
詳細は下記へ

◇一般
市長賞 もう好きということにしていいような桜大路をぬっと漕ぎ出す 福岡市西区・石井 大成
市議会議長賞 パティオより病廊へつづく花びらの軌跡をひきてゆく車椅子 福岡市西区・信國 まり子
南区長賞 吾が部屋の畳替えして待ちくれし吾子のやさしささくら咲く街 福岡市南区・姫野 洋子

◇高校生等
市長賞 おくりものついでに加えたあいさつに親しみこめた桜の句点 福翔高等学校2年・井上 結香
市議会議長賞 父さんと初めて行ったお花見はちやほやされた会社の行事 福翔高等学校2年・木田 翼
南区長賞 終わりかなうまくいかないなにもかも私を映す散りゆく桜 福翔高等学校2年・今村 友哉

◇中学生
市長賞 ネクタイを結ぶことすらなれてないいってきますと桜散る朝 春吉中学校3年・田上 輝希
市議会議長賞 お見舞いに行けず会えないおじいちゃんベッドの上から見てるかな桜 春吉中学校2年・秋吉 一樹
南区長賞 花がちり人が去ろうがしげらせるあの葉桜がぼくは好きです 春吉中学校1年・川野 真嘉

◇小学生
市長賞 学校のろうかのはしにいっぱいにピンクのけらい見守っている 老司小学校6年・松隈 晃一
市議会議長賞 桜並木人の心に花咲かせ強い根っこで天へとのびる 西高宮小学校6年・立橋 勇平
南区長賞 桜さくうしろの池は見えないが桜ちりゆき池あらわれる 東花畑小学校5年・横田 七菜


  • この記事をシェアする

  • LINEシェアのリンクアイコン
  • はてなブックマークのリンクアイコン