福岡市南区若久六丁目の静かな住宅街の中に、博多人形師・三宅隆さんの博多人形工房があります。家の塀には、博多人形作り一筋58年の長き歴史を語るように、天然木に書かれた『博多人形工房 三宅隆』の看板がかけられています。
歴史を物語る看板
三宅さんは、人形師・三宅長兵衛の長男として東区箱崎に生まれ、16歳で川崎虎雄氏に師事。74歳の現在まで博多人形を作り、博多の芸術文化の発展に尽くされています。
今日までに内閣総理大臣賞を5回、ほかにも数々の賞を受賞してこられました。平成16年には、黄綬(おうじゅ)褒章を受章。
三宅さんは、博多祇園山笠の飾り山の人形を35年間制作しています。昔は、飾り山専門の細工師が作っていましたが、明治時代に入り博多人形師が制作するようになったそうです。
今年は、一番山笠中洲流の表と十四番山笠福岡ドームの見返りの飾り山を制作されています。今年の飾り山の標題は、中洲流の飾り山(表)が「合戦宇治橋攻防(かっせんうじばしのこうぼう)」、福岡ドームの飾り山(見返り)が「南総里見八犬伝」です。題名は昔から奇数の文字数で漢字だけで付けられています。
ずっと支えてきた妻の恵美子さんと仲むつまじくツーショット
人形や背景の位置を記した図案
1月に飾り山設置の町内から依頼
2月ごろから標題・構図を考え始め、決まり次第山笠設置の町内と打ち合わせ
4月中旬から制作開始。毎年、5人の方が手伝いに来ます
6月28日、三宅さん自ら現場に赴き飾り付け
目力ここにあり!
また、毎年6月27日に選擇寺(博多の遊女をまつっている)に博多人形を奉納しており、これも20年以上続いています。
今年は、あでやかな紫陽花の着物をまとった女性の人形が作成されました。
博多祇園山笠、飾り山作り35年!博多人形師にインタビュー(後編)
このページに掲載している記事は「みなみ情報発信隊」隊員が取材し、作成したものです。
建物も見る角度から考えて立体的に作ります
作品と一緒に