おいしいそばは、『ひきたて』『打ちたて』『ゆでたて』といいます。「おいしいそばを食べたい」「自分で打ちたい」という人たちが集まったサークルが長丘にあります。
そば打ちの実技
打ちたてのそば
平成18年12月に、自分で打ったそばが食べたいと願う人々が集まり、長丘公民館で“そば打ち教室”が始まりました。
初回に作ったそばは、ちぎれてひどいものでした。そこで、長いそばを作りたいという思いと長丘の地名から『長そばの会』と名付けました。
『長そばの会』は、平成20年から、公民館サークルとして月に1回、定期的に開催されています。
長そばの会の皆さん
講師の岡本忠さん
講師の岡本忠さんは、平成16年に『市健康づくりセンターあいれふ』のそば打ち教室の一期生として、早良区のそば店『多め勢(ためせい)』の田口氏の指導を受けました。
あいれふでの講習終了後は、あいれふのそばの会『楽うち会』に所属し活動のかたわら、長丘公民館や長尾公民館でそば打ちの指導をしています。
長丘公民館主催の事業、『キッズクラブ(小学校4~6年生対象)』では平成18年度から、そば打ちの講座を取り入れ、今年で5年目になります。この講座も岡本さんが講師を務め、『長そばの会』の仲間も一緒に指導しています。
「水回し」
「くくり」こねる作業
「延ばし」
「切り」太くならないようそろえて切ります
子どもたちが打ったそばをざるそばにして食べました。「おそば屋さんよりおいしい!」と何度もおかわりする子どもも見られました。
そばが無くなると、そば湯を入れて、おいしそうに飲んでいます。そばつゆの飲み方を知っている子どもがいることに驚きながら、小学生でも本物の味が分かることを実感しました。
『長そばの会』は、平成18年11月から老人施設でそば打ちの出前ボランティア活動を行っています。施設側は、打ちたてのそばが材料代のみでおいしく食べることができ、『長そばの会』としてもそばを打つ回数が増えれば腕が上がり、喜んでもらえる充実感もあり、一挙両得というわけです。
訪問する施設の数も年々増加し、現在はチームを組んで、1カ月に8施設へ回っているそうです。
平成19年11月から、『グループホーム 大池デイサービスセンター 笑楽』を毎月訪問しています。
ホーム長である清水眞智子さんは「毎月、約50人分のそばを打ってもらいます。目の前で打ってもらったそばは、本当においしいと入所者やデイサービスの利用者も喜んでいるんですよ」と話してくれました。
こうした活動が評価され、平成22年2月には南区社会福祉協議会から、そば打ちの道具を購入する助成として“ふれあい奨励金”をいただきました。
大みそかには朝早くから、友達に食べてもらうそばを打ちます。平成22年の大みそかも長丘会館で朝7時から打ち始めました。この日は8人が集まり、1人が30人分から多い人で80人分を打ち、午後1時くらいまでに約300人分のそばが出来上がりました。
「おせちは昨日までに作り終わりました。掃除は娘に任せています。私は今から太宰府の友達のところにこのそばを届けます」というのは、神木たき子さん(写真右)。
お菓子の空箱にそばを詰めていたのは、そば打ち5年目の林美恵子さん(写真左)。「そばは、とても奥が深いんです。つゆに凝ってみたり、そば粉を使ったいろいろな料理にも挑戦しています」と楽しそうです。
「そば打ちは決して敷居の高いものではありません。打ち方さえ覚えれば、家庭にある道具に少し工夫を加えれば、誰でもおいしいそばを打つことができます。2月には長丘公民館で、初心者そば打ち教室を開催する予定です。これを機にそば打ちに親しんでもらえる人が増えれば、うれしいと思っています」と岡本さんは言っていました。
私も1カ月の取材を通して、『長そばの会』の皆さんと友達になり、家族4人分のそばをいただきました。つゆもとてもおいしく、今年の年越しそばは本物をいただくことができて、とても幸せでした。
おいしいものを口にするとき、人は笑顔になります。自分の手でその笑顔の素をつくりだし、自らの腕を磨き、楽しみながらたくさんの人を幸せにしている『長そばの会』の活動に今後も大いに期待していきたいと感じました。
このページに掲載している記事は「みなみ情報発信隊」隊員が取材し、作成したものです。