日時 平成29年10月16日(月曜日)午後6時00分から午後8時00分
場所 福岡大学 ヘリオスプラザ2階 地域交流サロン
(ななくま元気にするっ隊の活動について)
「ななくま元気にするっ隊」は、警察庁が若い世代の防犯ボランティア支援事業を始めたことをきっかけに、平成22年6月に発足した団体で今年で活動を開始して8年目になる。大学生を中心に、若い世代が地域のボランティアと共働で防犯活動の促進を図り、さらに安全安心な社会になるべく活動に励んでいる。
現在、74名の学生が所属中で、団体発足から過去最高人数となった。男女比は約3対2、法学部の学生が多く、将来公務員や警察官を志望する学生が現職の方々と活動する機会を持てる点が魅力となっている。
行っている主な活動は3つ。福岡大学に隣接する七隈片江金山で行う夜間防犯パトロールは、地域の方々と徒歩で見回りを行い挨拶をすることで、地域との繋がりを深めている。また、福岡市の企業や団体、住民で構成されるwe love天神と中央区役所、中央警察署の職員の方々と一緒に、天神・大名地区の落書消しと清掃活動を行っている。最近は性犯罪が増えていることから、性犯罪の抑止に関する啓発物を配る街頭啓発キャンペーンを行い、犯罪の撲滅を目指す活動も行っている。
もう一つは、第一生命と連携したライフサイクルゲーム授業である。第一生命が作成された消費者契約をテーマとしたボードゲームを通して、保険の重要性や詐欺にあった時の対処方法をゲーム感覚で学ぶものである。福岡市内の中学校高校で教材を用いた授業を行い、そのサポートをしている。
昨年行った活動は、「中央区安全安心フェスタ」という防犯をテーマとしたイベントで、列の整備やゲームの抽選くじの受渡、総合案内の受付等を担当した。また福岡工業大学で行われた「サイバーパトロール報告会」では、福岡県警サイバー犯罪対策課の指導のもとサイバーパトロールモニターに登録し、売春や麻薬の密売を行っている掲示板や自殺サイト、殺人予告等の違法情報をIHC(インターネットホットラインセンター)に報告し、警察に通報するという活動をしている。
今年は学生が増えたことで、去年より一層精力的に活動をできるのではないかと考えている。犯罪のない住み良い街づくりのためにこれからも活動を行っていきたい。
(応援団の地域活動について)
福岡大学応援団は昭和32年に創立され、団員不足により一旦活動が休止してしまった時期もあったが,復活し、平成27年に恒例であった演舞会を21年ぶりに開催することができた。主な活動は試合応援をすることだが地域ボランティア活動も行っている。
地域ボランティア活動は、大学に設置されている地域ネット推進室を通じて行っている。応援団内部の担当として、地域担当を設置し、地域ネット推進室と連絡をとり、定期的に活動を行うよう心がけている。
実際に行った活動としては、南片江公民館で行った素麺流しの準備とお手伝いや、油山公園で行われた夏祭りの会場設営や食事提供などがある。昨年参加させて頂いた南片江校区の運動会で餅つき大会の依頼を受け、南片江公民館と七隈小学校の餅つき大会を手伝わせていただいた。
福岡大学の一員として、七隈の地域の方々のおかげで勉強や部活など不自由なくできていると感じ、何か恩返しをしたいと考えたことが,地域ボランティアを始めたきっかけである。
ボランティア活動を行う時に大事にしていることは3つある。まずは、地域の方と積極的にコミュニケーションをとること。地域の方々と話すことで、学び感じることは多い。コミュニケーションをとること自体の大切さも感じている。2つめは、ボランティア活動に参加できることを感謝すること。飲食店や地域のお店など、様々な場所でお世話になり、少し騒いでも大きく受け止め許してもらっていたりと、恵まれた環境で学生生活を営むことができるのは地域の方々のおかげだと考えている。3つめは応援団として全力で地域と大学を応援することである。
自分達にはない地域や企業の皆様の力を借りることで、クオリティの高いボランティア活動ができるのではないかと思っているので、今後も地域ボランティア活動を継続していきたい。
(「コミュニティの基礎体力づくり」大学、企業と連携した取組みについて)
福岡市内にある約100団地3万戸を建設後管理している。高齢化が急速に進む中、団地内のコミュニティを活性化させ持続させることを、団地マネージャーとして担当している。コミュニティの崩壊を防ぐためには、日頃から団地の基礎体力づくりが必要で、福岡市内の複数の大学や企業、地域や団地の方々と連携し、活動を行っている。
築40~50年となったURの団地では急速な高齢化が見られ、単身高齢者層、高齢者夫婦層が最も多く、子どものいる世帯が激減し、コミュニティの弱体化が起こっている。また、近年、同じ団地内で経済格差が生じ、朝食を食べられず登校している小学生もいるといった、子どもの貧困の問題も抱えている。
このような状況の中で、これまで、バリアフリー化などハード面での対応を中心に行ってきたが、ソフト面でのサービスの充実が必要となり、そのための連携を積極的に進めている。
福岡女子大学とは、相互の資源を持ち寄り課題を解決することを骨子とした連携協定を結んでいる。地域課題を解決する連携で注意することは、それぞれの異なる目的を確認することである。違いをはっきりさせて何が共有でき活動していくのかを忌憚なく明らかにすることが必要である。また、最も重要な点は、地域の方々との意見交換をしっかり行うことである。自分たちで地域の課題を設定し活動していて、後から地域の方々に猛反発を受けたことがある。計画し実行した後チェックすること、検証すること、地域へフィードバックすることも重要である。
福岡大学の学生と地域の方々と勉強会を行った際、高齢者と子どもたちの交流が少ないことから、子どもの声が騒音の対象となっているなどのコミュニティについての課題が挙げられた。その解決方法の1つとして、多世代が交流できるカフェを団地内のコミュニティスペースで行おうということになった。現在、多世代が集まり食事ができる場所をつくり、子ども食堂の団地版のようなものを実施しており、高齢者の孤食などの対策にもなっている。野菜の出張販売なども行い、田川市の道の駅「ひこさん」やTSUTAYA九州、フードバンクなどに食材や古本の提供、支援をいただくなどの連携を行っている。
また、熊本地震や東北地震でボランティア活動を行っている西南学院大学のボランティア活動団体「いと」には、地域の子ども達を大学へ連れて行き、防災教室を開いていただいた。このような活動によって子ども達が大学に興味を持つきっかけにもなればいいと考えている。
さらに、高齢化が進み車の保有台数が減り放置された駐車場に手を入れ、共同農園にするという計画を,九州大学などと進めている。地域からも共同農園を使いたいという意見は多く、具体的な使い方についてワークショップを始めている。コミュニティ活動には資金が必要で、ボランティアだけで活動の継続は難しいため、この共同農園を行いながら資金を生み出すことができないかも検討している。収益を出せた場合は関わられた地域の方々に対価を払い、余剰がでればコミュニティ活動、共同農園を運営する経費にあてられないか、皆様と相談し検討を進めているところである。
(循環生活研究所の取組みについて)
循環生活研究所は、地域の中で、ものが循環する暮らしをしていこうという普及活動している団体である。具体的には各家庭で出る生ゴミを家庭の中で堆肥化し、堆肥を使って野菜を育てて食べるといったような循環である。家庭の落葉、剪定した草木、和白干潟の海藻あおさなども堆肥化しており、環境学習としてプログラムを組んで進めている。誰でもどこでもできる手作業で行うのが特徴。半径2キロメートルの中でできた小さな循環の輪が集まり、これらが集まって大きな循環になることを期待しており、全国で年間380~450回程度コンポストの講習会を行っている。講座の回数が増え、当初のメンバーだけでは運営が難しくなったため、平成17年から内閣府の助成を受けて人材育成も進めており、現在では200名ほどの指導者が各地でコンポストの指導を行っている。
大学生との関わりは大きく分けて3つある。1つ目はインターンシップである。2週間から2,3年参加する学生もおり、企業から派遣されてくることもある。2つ目はイベントボランティアとしての参加である。3つ目は大学のカリキュラムや授業などでの参加である。昨年は、西日本短期大学の実践型授業で、実際に農地を使った勉強を行った。現在、九州産業大学経営学部で行っている授業では第6次産業を勉強している。土づくりから作物を育てて販売するところまで、どれくらいの時間と手間がかかり、いくらで売ると儲かるのかを身をもって体験してもらう授業である。商品になったものは、タマネギドレッシングや芋焼酎、リキュール、柚ごしょうなどがある。
イベントでは、より多くの方と関わりを持ってもらえる。平成12年から行っている「子どもくるくる村」は学生を中心とした実行委員会形式で行い、子どもたちが社会疑似体験できる場所を提供している。役場や工房、スーパーといった仕事場があり、工房はリサイクル体験を通した環境学習ができる。子どもたちは遊びながら学び、物やお金の流通、人の流れを体験する。1日あたり約500人の子どもたちを受け入れており、これまでの参加者は4万人以上となっている。
この受け入れを行うのがボランティアの方々である。学生や社会人の方と、1日あたり60~90人、中学生から70代で構成される。この大勢のボランティアを実行委員会メンバーがまとめている。
イベントボランティアに参加した動機を聞くと、ボランティアをしてみたい、友人知人に誘われた、子どもが好き、サークル活動として参加した、学校の単位に換算される、友達ができると思った、自分がいつかイベントを主催したいと思いノウハウを学びにきたとったものであった。また小学生の頃「子どもくるくる村」に参加した方が、ボランティアとして参加したという人もいた。
大学生との活動で難しいと思っていることは、活動時間が土日しかない、夜しか時間がない、サークルやバイトがあって忙しいなどと言われること。また、こちらが常識と思っていることが通じず、話を理解してもらえていないこともある。育ててきた学生が卒業し、福岡を出て活動に参加できなくなることも課題である。
一昨年、実行委員会と一緒にボランティアのことを伝えるためのマニュアル冊子を作り、学生が学生に向けたリーダー研修会も行っている。研修会に参加した後、イベント趣旨や目的がわかりおもしろかったという学生は継続して参加していて、自分達が作る自分達のイベントだと認識できるようになっている。大人が指示して行動させるのではなく、学生たちが学生たちを繋げるボランティアの作り方を行っている。
登壇者の事例発表後、パネルディスカッションを行いました。学生さんがボランティア活動をするにあたっての希望や現状など、一歩踏み込んだお話などを聞くことができました。
事例発表、パネルディスカッション終了後、名刺交換&交流会を行いました。学生、企業、NPO、行政など、様々な方が参加され、新しいつながりが生まれていました。