文政11(1828)年8月9日(新暦9月17日)深夜、北部九州に強い台風が上陸しました。過去300年間にわが国を襲った台風の中で最強クラスと言われ、博多湾、有明海などでは高潮が発生し、九州、中国地方を中心に、多数の死者や、家屋の全半壊などの大きな被害をもたらしました。
この台風は、襲来した年が戊子(つちのえね)に当たることから「子年の大風」と呼ばれています。また、この台風によって、当時日本に滞在中であったドイツ人学者、シーボルトの船が座礁し、その船の修理の際に積み荷から禁輸品が発見された、いわゆるシーボルト事件にちなみ「シーボルト台風」とも呼ばれています。
当時の筑前福岡藩の資料には、奈多、和白、香椎、志賀など博多湾沿岸での被害が詳しく記述され、現在の東区にあたる地域もかなりの部分が浸水したとあります。
近年、強い勢力を維持したまま日本列島に接近する台風が増加傾向にあり、高潮発生のリスクが高まっています。「子年の大風」が博多湾に大きな被害をもたらしたことを考えると、日頃から災害に備えておくことの重要性を教えてくれているようです。
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