健康な心と体を育む 学校給食

 今から約130年前、貧困救済のために始まった学校給食も、時代とともに様変わりしました。現在、市内の小学校144校、中学校69校、特別支援学校7校で、12万人以上の児童・生徒が毎日給食を食べています。市の給食の歩みと、食育への取り組みを紹介します。

福岡市の学校給食の歴史
現在の小学校の給食の写真
 市民からの寄贈により、昭和10(1935)年に奈良屋小(現博多小)、13年に春吉小に給食施設ができ、米飯とおかずのみの給食が始まりました。
 戦時中の食糧不足で中断されましたが、市は、昭和22年に市内32の市立小学校で給食を開始しました。当時の学校給食は、アメリカ等から脱脂粉乳やジュースが供給され、家庭から米飯等を持参する「補食給食」でした。
 そして、昭和25年にはアメリカ寄贈の小麦粉を使ったパンを主食として取り入れ、脱脂粉乳、おかずがそろった「完全給食」をスタートさせます。
 昭和46年に脱脂粉乳が牛乳に完全に切り替わり、48年には那の津(中央区)と有田(早良区)に給食センターを開設します。中学校でも給食が始まり、現在の福岡市の学校給食の原型が出来上がりました。
昭和13年の給食を再現した写真。発芽米、サバの塩焼き、野菜の煮物。昭和25年の給食を再現した写真。コッペパン、脱脂粉乳、カレー汁。

正しいマナーを身に付けるために 

 昭和55年に米飯を試験導入し、段階的にご飯を主食とする給食を増やしていきました。また、平成3(1991)年には先割れスプーンを廃止し、スプーンとフォークを導入します。
 平成21年には米飯給食を週に3回実施するようになり、同年、見た目にもおいしく楽しい給食となるよう、小学校でPEN(ペン)(ポリエチレンナフタレート)樹脂食器の使用を開始しました。アルマイトの食器から、熱が伝わりにくいPEN樹脂食器に変わり、子どもたちは器を持って食事ができるようになりました。
 その後、正しい食事マナーを身に付けられるよう、中学校で使用していた一枚の食器皿(ランチプレート)を、個別食器に順次変更していきました。

より安全で、よりおいしい給食を

 市の学校給食の献立は、栄養教諭が栄養バランス等を考えて作成し、校長や保護者の意見も参考にしながら決定します。食文化への理解を深めてもらおうと、献立には自分たちが住む地域の郷土料理や、季節を感じられる行事食のほか、諸外国の料理なども取り入れています。
 食材には、市内産の農水産物や市内産食材を使った加工品を積極的に使用しています。安全性、値段、味などを基準に選び、納品の際にも調理業務員が品質、鮮度、数量等を厳しくチェックします。また、給食時間の前には校長が検食を行います。

市立学校給食センター
小学校では、出来上がった給食を当番が給食室で受け取って教室に運び準備している様子
 小学校では、各校の給食室で調理を行っています。
 中学校と特別支援学校では、第1給食センター(博多区東平尾一丁目)、第2給食センター(東区香椎浜ふ頭二丁目)、第3給食センター(西区今宿青木)の三つの施設で給食の調理・配送を行う共同調理方式(センター方式)で実施しています。 ※能古・玄界・小呂・舞鶴・住吉中学校と今津・南福岡特別支援学校は単独校方式(自校方式)。
 同センターは、最新の衛生管理基準に基づき整備された機能的・衛生的な施設で、大型のフライヤーやスチームコンベクションオーブンなどを備えています。あらゆるメニューに対応でき、安全安心でおいしい給食を調理しています。
 専用調理室を設け、アレルギー疾患を有する児童・生徒向けにアレルギー対応食を提供するほか、かみ砕きやすく飲み込みやすい大きさ・軟らかさに配慮した給食(二次加工食)を希望に応じて提供するなど、個別対応も行っています。
 出来上がった給食は、保温性の高い食缶で時間通りに配送され、温かいおかずは温かく、冷たいおかずは冷たいまま届けられます。
 各給食センターでは、市民や児童・生徒の皆さんに「食」に関するさまざまな知識を楽しく学んでもらおうと、調理工程が見学できる通路や体験スペースなどを設けています。※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、現在見学は休止しています。
第3給食センターの煮炊き調理室の写真

「完全給食」はここから始まりました
昭和24年、西新小学校が選ばれ学校給食が始まった様子
 昭和24年、国はユニセフから脱脂粉乳の無償寄贈を受け、給食の実施計画を立てました。県のモデルスクールとして、当時2,800余人の児童が在籍していた西新小学校が選ばれ、支援物資による学校給食が始まりました。
 校長をはじめ全職員が熱心に給食教育に取り組み、同校が福岡県下の学校給食の模範となりました。

食物アレルギーへの対応
 食物アレルギーがある児童・生徒については、入学時や進級時に学校生活管理指導表や医師の診断書等を提出してもらい、面談を行います。
 その上で、例えば、卵アレルギーがある児童・生徒には卵を除いて提供するなど、個別対応を行っています。
小学校給食の食物アレルギー情報がLINEで確認できます
 福岡市LINE(ライン)公式アカウントを友だち登録し、「受信情報」→「学校」を選択してください。エリア・学校を選び、アレルゲンと配信時間を登録すると、毎日希望の時間に献立メニューやアレルゲン情報が届きます。
 ※登録できるアレルゲンはアレルギー特定原材料等28品目です。

学校給食で「食育」を推進
2年生に箸の持ち方を指導している永島先生の写真
 市は、小中9年間を通した食育を推進するために、栄養教諭が全ての担当小中学校へ週1回の訪問を行っています。
 片江小学校(城南区)に勤務する、栄養教諭の永島牧子さんに話を聞きました。
 現在、片江小、南片江小、片江中で子どもたちを指導しています。コロナ禍で、オンラインを活用した食育にも取り組み始めました。20年以上学校給食の仕事に携わってきて、食育の一端を担う給食の役割がますます大きくなってきたことを実感しています。
 食事のマナーを学び、正しい姿勢や箸の持ち方を意識するようになった子どもや、「給食で少しずつ食べていたら、低学年の時に苦手だったものが食べられるようになったよ」と自分の成長を元気に報告してくれる子どももいます。食べる姿から子どもの成長が感じられます。忙しい毎日でも、1日に1回は家族で一緒に食卓を囲む時間をつくってほしいと思います。
箸とランチョンマットは各自で持参し、みんなで「いただきます」をしている様子
 中学生になると、食事をしっかり取る生徒がいる一方で、朝食を抜いてしまう生徒もいます。小中9年間の食育を通じて、食について正しい知識を持ち、自分にとって適切な量や食べ方を、大人になってもできるようになることが大切です。
 子どもたちには、出された物を感謝して食べ、家で調理の手伝いをしたり食器の片付けをしたりしながら、中学を卒業する頃には、簡単なものでよいので自分で食事の支度ができるようになってもらいたいです。
 もっと「食」に関心を持ってもらい、「食」を通じて、健やかな体と豊かな心を育んでほしいと思います。
片江小学校の給食室の写真

食品ロスの削減のために
 市は、食べ残しのご飯やパン、おかずの一部については、回収して家畜の飼料などに再生利用しています。
 また、コロナ禍で休校や学級閉鎖になったときにキャンセルできなかった食材や、次の献立に回せなかったものについては、無駄にならないよう「フードバンク福岡」等を通じて、子ども食堂や福祉施設等に譲渡しています(※)。
 パンは消費期限が短く、大口の引き取り手を確保できないため、多く余った場合には、即売会を実施して広く市民に販売するなど、食品ロスの削減に努めています。
 ※フードバンクとは、賞味期限・消費期限内で、安全上問題なく、まだ十分食べられるにも関わらず廃棄される食品の寄付を受け、無償で必要な人や団体に提供する活動のこと。
 市はこれからも子どもたちの健全な発育のために、「安全安心でおいしい給食」を提供していきます。

■問い合わせ先/給食運営課 電話 092-711-4642 FAX 092-733-5865

給食の献立を毎日紹介しています
福岡市学校給食公社ホームページの献立の画面イメージ写真
市立の全小・中・特別支援学校の、毎日の給食献立の内容と写真をホームページ(「福岡市学校給食公社」で検索)に掲載しています。
 そのほか、学校給食のレシピ集や、市の地産地消への取り組みなど、市の給食に関するさまざまな情報を紹介しています。

■問い合わせ先/市学校給食公社 電話 092-555-2745 FAX 092-555-2749





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