新型コロナウイルスについて~大切な命を守るために~

 新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」による感染が、市内でも急拡大しました。感染力が強く重症化しやすいといわれるデルタ株から命を守るために、正しい知識を得た上で感染予防対策を徹底しましょう。

 九州大学医学部グローバル感染症センター長(九州大学病院総合診療科教授)で、福岡市感染症危機管理専門委員会の委員長でもある下野信行氏(61)に話を聞きました。


市の陽性者数

福岡市では7月下旬以降、4~5月の2倍という猛烈なスピードで感染が拡大し、8月中旬の陽性者は5月のピーク時の約2倍、過去最多となりました。
 福岡県では、7月初めから増加し始めたデルタ株が、これまでのアルファ株から置き換わり8月中旬に全体の9割を超えました。デルタ株は従来株の2倍の感染力があり、家庭や職場などでいったん広がると抑えられなくなっています。

感染動向
年代別の感染動向としては、7月以降、30代以下の若者が陽性者の約7割を占め、特に10代以下の陽性者が増加しています。夏休みということもあり、家庭での感染が目立ちました。
 また市の重症者のうち、約8割が50代以下の人で、20代や30代も含まれています。

治療の最前線
薬物療法と酸素療法が中心です。インフルエンザの薬のような特効薬といえるものはありませんが、抗ウイルス薬やステロイド薬など、いくつかの薬を用いて治療します。この病気は、血中の酸素濃度が低下すると酸素投与が必要となります。血中の酸素濃度が低くなっても気付かない場合があるので、パルスオキシメーターで小まめなチェックが必要です。酸素投与をした場合でも症状が改善しない場合は、人工呼吸器やECMO(エクモ)(人工肺)などを適用します。

多様な後遺症
長期にわたって倦怠(けんたい)感や味覚・嗅覚障害、頭痛や息切れなどが残り、さまざまな後遺症に悩まされることがあるのが、この病気の厄介なところです。
 
今できること
 どの病気も100%予防できるワクチンはありませんが、新型コロナワクチンは、発病や重症化のリスクを高い割合で抑えています。自分の周りの大切な人を守るためにも、ワクチン接種や感染予防に努めてほしいと思います。
 デルタ株に対しても、基本的な感染予防対策は同じです。マスクを適切に着用し、丁寧な手洗い、部屋の換気を十分に行ってください。

市新型コロナウイルス感染症相談ダイヤル
 電話 092-711-4126(24時間) FAX 092-406-5075
 ※発熱等の症状がある場合は、かかりつけ医など身近な医療機関に電話で相談を。

家庭内で注意するポイント
新型コロナウイルスの感染者または感染が疑われる人がいる場合
 
 <1>感染者と部屋を分ける
 感染者と家族の部屋を分ける。部屋が分けられない場合には、少なくとも2メートル以上の距離を保つ。
 <2>世話は限られた人で
 感染者の世話は、可能な限り1人に決める。※基礎疾患のある人、妊婦等はなるべく避ける。
 <3>全員マスクを使用
 感染者、家族の両方がマスクを着用することで、ウイルスの拡散を防ぐ。
 <4>小まめなうがい・手洗い
 ウイルスの付いた手で顔を触ると感染することがあるため、小まめにせっけんでの手洗いやアルコール消毒を行う。
 <5>日中はできるだけ換気を
 感染者のいる部屋はもちろん、家族の部屋も定期的に換気する。
 <6>ドアノブなどの消毒を
 共用部分は薄めた漂白剤で拭いた後、水拭きするかアルコールで拭く。タオルは共用しないようにする。
 <7>汚れた寝具、衣服を洗濯
 汚れた衣服等を触る場合は手袋やマスクを使用する。家庭用洗剤で洗濯し完全に乾かす。
 <8>ゴミは密閉して捨てる
 鼻をかんだティッシュ等は感染の恐れがあるため、ビニール袋に入れ密閉して捨てる。


新型コロナワクチンについて

●妊婦へのワクチン接種
妊娠している人が接種を希望する場合は、優先的に予約の調整を行います。希望する人は、市新型コロナワクチン接種コールセンター(電話 092-260-8405)にご連絡ください。家庭内感染防止の観点から、同居している人も優先予約の対象です。

●12歳~15歳への接種
12歳から15歳までのワクチン接種については、地域のクリニックでの個別接種を推奨しています。接種を実施しているクリニックは、市ホームページ(「福岡市 ワクチン空き状況」で検索)で検索できます。予約の上、保護者同伴でお越しください。問い合わせは、同コールセンター(電話 092-260-8405)へ。

福岡看護大学教授で日本ワクチン学会理事長の岡田賢司氏(68)の話

ワクチン接種を迷っている人は、特に若い世代に多いようです。ためらっている理由で最も多いのが、接種後の副反応への不安という調査結果が出ています。
 若い人ほど、接種後に発熱などの症状が出やすいことが分かっていますが、体内で異常が起こっているわけではありません。これらの症状は抗体を作るために体がしっかり反応している証拠ともいえます。接種後の痛みや発熱のほとんどが、2~3日以内にはよくなります。
 ワクチンを接種しても100%感染を防げるわけではありませんが、未接種と比べて感染や発病、重症化のリスクを約20分の1に減らせることが分かっています。一方、かかってしまうと、若い人ほど後遺症が残りやすいとする調査もあります。
 接種するかどうかを判断するときは、ワクチンの有効性と副反応のリスクに加え、かかったときの病気の怖さも考えて、納得した上で接種に臨んでほしいと思います。
 判断に迷ったら、インターネット上のデマに惑わされないように、国や県、市、学会等の公的機関のホームページも参考にしてください。

新型コロナウイルスに係る事業者支援について

■休業する飲食店等への家賃支援

対象期間に休業を行った飲食店等を対象に、店舗等の1カ月賃料の最大5分の4(上限50万円)を支援します。

■問い合わせ先/市家賃支援事務局
電話 092-687-5193(午前9時~午後5時) 

FAX 092-687-5196

■売り上げが減少した事業者への支援
飲食店の休業・時短要請や不要不急の外出・移動の自粛等による影響で売り上げが減少した事業者のうち、国の月次支援金や県の協力金等の対象とならない事業者に対し、1カ月当たり法人は20万円、個人事業者は10万円を上限に支援します。
 申請期間は、8月分が9月1日から、9月分が10月1日からです。

■問い合わせ先/市売上が減少した事業者への支援事務局 
電話 092-286-7137(平日午前9時~午後5時) 

FAX 092-286-7261

家賃支援の申請期間や各支援策の申請方法など、詳しくは市ホームページ(「福岡市 事業者支援」で検索)でご確認ください。

心の健康を保つために
今、この瞬間に向き合って

市は昨年、医療や福祉の最前線で働く皆さんに、毎日を元気に過ごしてもらおうと「いまここ・ふくおかプロジェクト」を実施しました。これは心の健康を保つために世界で実践されている手法「マインドフルネス」を活用した事業です。
 マインドフルネスには▽ストレスを軽減する▽うつを予防する ▽不安や心の不調を抑える―などの効果があることが分かっています。同プロジェクトの参加者からは、「自分の感情に振り回されなくなった」「大変な状況を乗り越えることができた」などの声が寄せられました。

 同プロジェクトに関わった産業医科大学准教授の丸山崇氏(45)に話を聞きました。

コロナ禍で感染への心配はもちろん、人に会えない寂しさや将来に対する不安など、私たちはさまざまな感情を抱えながら生活しています。加えて感染状況を伝える報道に振り回され、知らないうちに心が疲れてしまっているかもしれません。
 まずは、自分の心と身体の状態を見つめてみてください。▽イライラする。やる気が起きない▽頭痛や肩凝りが続いている▽食欲がない、または食べ過ぎてしまう―などの変化はありませんか。今の自分の状態に「気付く」ことが大切です。
 意識を「いまここ」に向ける
 マインドフルネスは「心の筋トレ」ともいわれ、自身の気持ちや体の状態に気付き、それを最適な状態に保つための心の整え方のことです。過ぎてしまったことを必要以上に後悔したり、 現実に起きるか分からない未来を予測して不安になったり、私たちの頭の中は忙しく働いています。心の状態をあるがままに受け止め、余計な感情を手放すことができれば、もっと楽に自然体で過ごすことができます。今では多くの病院でうつ病等の再発予防に活用され、企業研修等にも用いられるようになりました。
 日頃から心のトレーニングをしていれば、予期せぬ出来事にも適切に対処できるようになり、過剰に心配したり疲れたりすることもなくなります。身構える必要はありません。毎日5分間、ぜひ実践してみてください(下記参照)。

■問い合わせ先/プロジェクトに関すること=健康先進都市推進担当

電話 092-711-4544

FAX 092-733-5587

記事に関すること=保健予防課

電話 092-711-4377
 
FAX 092-733-5535

マインドフルネス「心の筋トレ」実践例
呼吸エクササイズ
 椅子に座って目を閉じて、息を吸う、吐くを繰り返します。膨らんだりへこんだりするお腹を観察しているだけでも、今この瞬間「いまここ」に集中できます。また、呼吸を数えるのも有効な方法です。数が分からなくなったら、そっと最初に戻ります。大切なのは、感情に評価や判断をしないことです。

文字に書き出す
 ノートと鉛筆を用意します。頭に浮かんだことをひたすら書き出します。何を書いたらよいか分からない場合は「うれしかったこと」などテーマを決めてください。続けると心が安定し、さまざまな変化に気付きます。
 ※実践例を、市と共にプロジェクトを実施したマインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)のユーチューブ動画(「マインドフルリーダーシップ実践ガイド」で検索)で紹介しています。





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