区内には、「パブリックアート」と呼ばれる彫刻や芸術作品が多数存在しています。
パブリックアートとは、広場や公園などの公共空間に設置される芸術作品のことです。
街の中に点在するアート作品を紹介します。
●市美術館学芸員に
アートの楽しみ方を聞きました
「アートは難しい…」そんなことはありません。
まずは、じっくり作品を見てみましょう。
どんなことに気付きますか。
小さな気付きや発見があるはずです。
「どうしてこのような作品が作られたの?」「誰が作ったの?」など興味が湧いたら、近くにある作品タイトルや作者の名前を探してみましょう。
アートの謎を解くヒントが、見つかるかもしれません。
○風のプリズム
(西中洲 水上公園)
「風のプリズム」は、新宮晋(しんぐうすすむ)氏が制作した「動く彫刻」です。
本市の「彫刻のあるまちづくり事業」第1号作品として、昭和58年4月に設置されました。
この動く彫刻は、かつてこの地に大陸文化の風が海の向こうから吹き込んで、新しい光として全国に広がったことを象徴して「風のプリズム」と命名されたそうです。
○プリーズ・リクエスト
(天神一丁目)
「プリーズ・リクエスト」は、サックスを持ちベンチに腰掛けている男性の像です。
市役所九州広場に設置されています。
作者は黒川晃彦(あきひこ)氏で、「この彫刻は未完成です。ベンチの空いている所に人が座って完成します」とコメントを残しています。
作品の隣に座り、彫刻を完成させてみましょう。
○無題
(舞鶴二丁目)
「無題」は、市健康づくりサポートセンターあいれふ(舞鶴二丁目)前にある、高さ4メートルの大きな彫刻です。
作者は、1980年代に活躍したアメリカの作家キース・へリング氏です。
犬をイメージして造られ、とても鮮やかな赤い色に塗装されたこの作品は、へリング氏の数少ない野外彫刻の中でも、当時最大級の大きさを誇っていました。
【問い合わせ】
住宅都市局都市景観室
電話 092-711-4589
FAX 092-733-5590
市美術館の屋外彫刻も見てみよう
市美術館が所蔵し、2階屋外広場エスプラナードの一角に設置されている「南瓜(かぼちゃ)」は、草間彌生(やよい)の屋外彫刻第1号です。
香川県の直島にある「南瓜」がよく知られていますが、本作は、同じ年に制作されました。
草間彌生は、現在国際的に最も著名なアーティストです。
昭和32年に単身渡米した彼女が間もなく発表した作品は、水玉や網目模様の絵画、布を袋状に縫って綿を入れたものを密集させたソフトスカルプチャーなど、どれもがニューヨークのアートシーンに衝撃を与えました。
以後、現在まで次々に独自の表現を世に出し、現代アートに大きな影響を与え続けています。
●27年前、天神に出現
この「南瓜」が初公開されたのは平成6年10月のことでした。
場所は、中央区天神の銀行前。
日常空間に突如現われた大きな黄色い南瓜は、行き交う人々を驚かせたに違いありません。
この展示は、天神で開催されたアートプロジェクト「ミュージアム・シティ・天神 '94 Fukuoka,Japan」の一環で行われました。
この時、草間が長年熱望していた屋外彫刻が実現したのです。
それ以降、花や帽子など、色鮮やかな草間の彫刻は世界中で人々の目を楽しませています。
屋外彫刻の魅力は、多くの人に開かれていること。
生命力にあふれた「南瓜」の堂々とした姿は、エネルギーに満ちあふれています。
市美術館
学芸員・正路(しょうじ)佐知子