人権スケッチ第44回

「差別」が感染拡大の原因にも/HIVと新型コロナ
 国の人権啓発キャンペーン動画で、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が「不安を差別につなげちゃいけない」と呼び掛けています。
 命を奪うような感染症ほど差別が起きやすいのは、恐怖を避けるために人を遠ざけようとするからです。コロナ禍の今、対策のつもりが過剰に反応してしまい、当事者や濃厚接触者、医療従事者の人権を侵害する事例が後を絶ちません。
 似たような事象は、HIV(エイズウイルス)の感染者が国内で初めて確認された30数年前にも起きました。「死に至る病」と恐れられた当時、根拠のないデマや偏見が感染者や同性愛者を苦しめました。プライバシーを暴かれ、自殺者も出ました。
 医学が進歩した今では、HIVに感染しても薬でエイズの発症を抑え、普通に生活できます。それでも、陽性だと知られて採用を取り消されたり、福祉施設の利用を断られたりする事例が無くならないのは、正しい情報がきちんと理解されていないからです。「無知」も差別につながるのです。
 差別を恐れて受診をためらうと、自らが感染源となって病気を拡大させることになり、コロナ禍でも同じことが起きています。
 感染者を責めるような言い方はせず、差別的発言に同調しないようにしましょう。手洗いやマスク着用などの感染症対策はもちろん、不確かな情報に惑わされないことも大切です。

■問い合わせ先/人権啓発センター
 
電話 092-717-1237

FAX 092-724-5162

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